20歳女子がMTの86を運転したらどうなるのか、検証してみました。
ドライバーの基本情報
(本人の写真撮影は許可してもらえず。手ならOKとのことなので、結果これ)
- 限定解除は7日前
- 路上教習の経験なし
- 教習所内の運転のみ
- 身長151cm
- 好物はみかん
AT限定で免許を取った彼女ですが、スポーツカーに興味がわき、ふたたび教習所へ。5〜6回の教習を経て限定解除しました。
で私の所有する86がマニュアルなので「運転させて」というわけです。
「イヤだよ」と即答しようかと思いましたが、「幸福とはすなわち他者貢献感である」というアドラー先生の言葉とその特徴的な丸メガネを思い出し、「いいよ」と答えました。いえ、答えてしまいました。
私の不安
この世には、2パターンの車と2パターンの人間が存在します。
まず車は、自動ブレーキ機能の有無です。これにより、ぶつからない車・ぶつかる車の2つに分類できます。
続いて人間は、注意力や習熟度です。これにより、ぶつけない人・ぶつける人に分けれます。
これらをまとめると以下の4パターンになります。
- ぶつからない車・ぶつけない人
- ぶつからない車・ぶつける人
- ぶつかる車・ぶつけない人
- ぶつかる車・ぶつける人
なにが言いたいかというと、4番じゃありませんように!ということです。
1〜4のなかで事故が起きるのは4番だけです。86には自動ブレーキ機能がありませんので、3か4しかありえません。
だから、4番じゃありませんように!です。
86いざ発進!
86が動き出しました。ちなみに車両保険には入っていません。
運転するのは限定解除したての20歳女子です。MTでの公道はこれが初めて。
身長は151cmだそうですが、幸いにもクラッチは問題なく踏みこめるようです。
エンスト
予想通りエンストしました。
教習車とちがって86はぜんぜん衝撃がない!と感動していました。
教習車とちがってあまりエンストしないで欲しい!と思いました。
一般的にエンストというと、ド派手にガッコン!というイメージですが、86のエンストは穏やかです。ピーという音が鳴るだけ。
で、結果的に20キロのドライブで3回のピーを聞きました。その度に、まるで心電図がピンチのときみたいなピーが鳴ります。
あまりハイペースでピーを繰りかえされたら86が本当にピーになっちゃうんじゃないかと心配でした。
大クラクション
MT初心者にとって右折はハードです。AT車なら余裕で曲がれるようなタイミングでも、MT車だと曲がれません。
クラッチを繋ぐのが絶望的に遅いですし、やっと動き出したころにはもう曲がれるタイミングではなくなっているからです。
で、案の定とでもいいますか、後続車に大クラクションをお見舞いされました。
「曲がれるだろー!」ってことだと思います。
「対向車が肉眼で捉えられなくなったとき!それがMT初心者の曲がるタイミング!」と彼女は言ってました。
彼女にマサイ族ばりの視力がないことを願うばかりです。
2速で回転数爆上げ
「流れに乗らなきゃ!」と思うのでしょう。
ギアが2速のまま加速していきます。ブロロロロロロ!と排気音が鳴り響きます。まるで、超ヤンキーが乗ってるスポーツカーみたいになっていました。
正しくは、超フレッシャーが乗ってるスポーツカーです。ちなみに本人はいたって真剣です。
2速からの5速
爆音鳴り響く車内で「変速しないと!」と私は声を張りあげました。
地元で「あの86超ファンキーだよね」のレッテルを貼られるのが怖い。その一心です。
ローギアで爆音とともに走る86なんてどう考えてもファンキーです。
「あ、そっか!」
慌ててギアチェンジした彼女がいいました。
「ねぇ、ぜんぜん加速しなくなった!」
加速しなくなった理由はシンプルで、2速から5速へ入っていたから。
小学2年生が3年生と4年生をすっ飛ばして5年生に進級するようなものです。それで「ぜんぜん分からなくなった」って言ってるのと一緒。日本に飛び級制度はありません。
青信号でも発進しない
信号が青に変わりました。
が、その場でブロロロロロロン!と爆音を鳴らすばかりで進みません。
焦る彼女はさらにアクセルを踏みこみます。位置はそのままにボリュームだけが大きくなって行きます。
ギアがニュートラルに入っていました。
さっきのおじさんだったら、すかさず大クラクションだったと思います。後続車のドライバーがさっきのおじさんじゃなくて良かったです。
86命がけの帰還
事故を起こすことなく無事に帰って来れました。
彼女がいいました。「すっごい楽しかった。また運転させてね」
検証結果
86が悲鳴をあげる。
所有者である私も、負けないくらい悲鳴をあげる。
今回、生死の境を彷徨った86はこちら。無事でよかった。