86はいじるのが楽しい車だなんてよく言いますが、なかにはどノーマルのまま乗っている人もいます。たとえば私です。
こだわりがないように見えて、どノーマルにはどノーマルなりにこだわりがあるんです。
この記事を読めばきっと共感してもらえると思います。
そのままの86が最高の86
新車販売時の86がすでに最高の86です。いじる必要がありません。
高級レストランで出てきた料理に塩をかけたりしませんよね。おなじことです。
誰よりも86のことを考えて、誰よりも86のことを知り尽くしたプロたちが「これがベストだ!」と自信をもって世に出している精緻な工業製品です。
素人がヘタにいじったら、バランスや美しさが損なわれてしまいます。
86をいじったり改造したりするのは、ピカソの絵を買ってリンゴを描き足すのといっしょです。蛇足なのです。
すべての車に言えること
これは86に限った話ではなく、すべての車に言えることだと思います。
そのままのコペンが最高のコペンですし、そのままのマーチが最高のマーチです。
個人がいじった車で、オリジナル以上にかっこよくなった例を見たことがありません。
「そのウイングは要るのか?」
「そのウインカーの速さはどうした?」
「やたら震えてるマフラーは大丈夫?」
たいていは進化というよりも退化を遂げてしまいます。
自分のセンスなんて信用せず、プロの仕事を信用する。だからどノーマル。
私の祖母もかつてどノーマルのマーチに乗っていましたが、あれはたぶん、私とおなじ考えゆえの結果だと思います。
その気になればリアスポイラーだって付けれたはず。……祖母の信念を感じます。
どノーマルのカローラフィールダーに乗っている私の父も然りです。
「これが最高のカローラだぜ」と言いたげな顔をしています。
その気になればマフラー4本出しにも改造できますからね。……父の信念を感じます。
ディーラーオプションはあり?
ディーラーオプションは個人的にアリだと思っています。
なぜなら、86を知り尽くしたプロたちによるデザインだからです。統一感があります。
86専用のボディストライプ、86専用のエアロスタビライジングフィン、86専用のナンバーフレーム。どれもしっくりきますね。
たとえるなら、ピザといっしょに出てきたタバスコみたいな。シェフが「こいつは合うぜ!」っていってるんです。
出てきたピザに持参した山椒(謎のDIY)をかけるのは論外ですが、タバスコ(メーカーオプション)ならオッケー。
言いたいこと伝わってますか?
だからディーラーオプションはどんどん付けたらいいと思います。私はアームレストとフットランプを付けています。
運転テクニックの低さゆえ
サスペンションを交換したり、吸排気系のチューニングをしたりする人もいます。
公道をのんびり走るだけの私も改造すべきか。答えはノーです。
駐車場で何回も切り返す私にも、変速ショック大きめの私にも、峠道で軽自動車に抜かされる私にも、「ひ、ヒール安藤2?(どんな映画?)」な私にも、やはりこうした改造は不要です。
どノーマルですら性能を発揮できないのに、さらにパワーアップしてなんの意味があるのでしょう。
だから私はスタイリングだけでなく、走りに関連するパーツも一切いじっていません。
(わが一族に脈々と受け継がれるどノーマルのDNAッ!)
どノーマルはアブノーマルだ!
ここまで読んできて、「変なヤツだな」と思ったことでしょう。
否定はしません。だって、どノーマルにこだわる人は絶対にアブノーマルですから。
パッと見だと、ゴリゴリのスポイラーを付けてゴリゴリのマフラーを4本出した86のほうがアブノーマルな印象を受けるでしょう。
でも実際は、どノーマルの86も負けず劣らずアブノーマルなんです。
いじっててもアブノーマル。いじってなくてもアブノーマル。
あれ、待ってください。
でもそうなると、86は全部アブノーマルってことになってしまいますね。
あれ、おかしいですね。私……どこでまちがえたんでしょうか?
いじらない派最大のメリットは、妻や彼女と、車いじりにかかる費用について喧嘩にならないことです。
(……いや、だからってわけではありませんが。本当に)