この記事では、堀江貴文著『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』を読んだ感想を書いていきます。
本書にたいしては批判的なコメントや感想も多いようです。
それは当然ですよね。だってお金を使うかどうかは個人の自由だから。
ふつうに考えたら「お金をどんどん使え!」なんていわれたら「余計なお世話だ!」と反発したくなるものです。
というわけで、そもそも聞く耳を持たない読者が本書を読み、「低評価」をつけることはなんら不思議ではありません。
どうして読んだのかは不思議ですが。
『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』の感想
本書では一貫して「お金を使うこと」が推奨されています。
無目的な貯金(将来に備えたものも含め)は意味がないとし、もっと自分が好きなこと、やりたいことにお金を使うべきだ、というのがおもな主張です。
お金を使うことで自分自身が成長し、たくさんお金が稼げるようになる、というわけですね。
けっして無一文になるまで使い果たして破産しろという趣旨ではありません。
お金を増やす方法
お金を増やす方法はに2種類あります。
支出を減らすか、収入を増やすか。
支出を減らそうと思ったら、なるべく節約をする必要があります。
いっぽうで収入を増やしたければ、あらゆることを学び、経験し、お金を稼げる能力を身につけなければなりません。
どちらを目指すか、という話です。
前者の思考が強い人にとっては、おそらく本書から得られるものはほとんどないでしょう。
「自分にお金を使っても、収入が増える保証はない。だったら貯めたほうが確実」と考えるからです。
ホリエモンの主張を「そんなこと実現できるのはアンタだけだよ」と受け流して終わりでしょう。
向いている読者
そうではなく、本書を読むべきなのは「おれは自己投資をしてビッグになるぜ」的な野心を抱いているタイプの読者です。
「何にお金を使うべきか」を知ることができるだけでなく、自分が目指している方向はまちがっていない、という自信を得ることもできます。
ですので、自分がどちらのタイプなのかを考えてみてください。
シンクに水を貯めるときに、栓をして水が流れないように努力するのか、蛇口を思い切りひねって大量の水を出すのか。
冷静に考えることも大事
こうした自己啓発書で「お金はどんどん使うべきだ」という主張が多いのは、そのほうが著者が儲かるから、という側面もあるでしょう。
「よーしお金を使うぞ!」というマインドになった読者が、著者が出している他の本を買ったり、有料セミナーに参加したりするので。
このあたりは冷静に考える必要がありそうですね。
そもそもお金を使うとは?
お金を使ったからといって、価値がなくなるわけではありません。
もし本を買って読んだとすれば、そのぶんの知識が頭に蓄積されます。
つまり1000円を、1000円分(あるいはそれ以上に価値のある)の知識に変換しただけ。
見かけのお金は減少していますが、けっして「無」になったわけではなく、ただ移行しただけであると考えることもできます。
私はホリエモンの考えに概ね賛成で、書いてあることにも納得できました。
お金は手段に過ぎない
お金は「なにかに交換できる」ただの手段です。
その手段を使って「将来の収入を増やそうとする」人もいれば、貯めて「将来の不安を減らそうとする」人もいる。
どちらが正しい、まちがっているという話ではありません。
それぞれの考え方があるだけです。
ただ、どちらが楽しい人生なのかといえば、「将来の収入を増やすため」に積極的にお金を使うタイプかもしれません。
なぜなら将来に希望を抱いているから。
将来を悲観して貯金に励んだところで、幸福な人生が送れるとは思えないので。
まとめ
内容について反感を覚える人も多いようですが、私は本書を楽しく読めました。
「老後のために貯金をする」という行為はなんだか不思議です。
自分が成功することは信じられないけど、自分が高齢になるまで死なずに生きていることは頑なに信じているわけですからね。
どういう根拠があるのかわかりませんが、その自信のベクトルを成功へと向けてみれば、本書の印象はまたちがったものになるのではないでしょうか。
以上、『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』を読んだ感想でした。