この記事では、宇都出雅巳著『どんな本でも大量に読める「速読」の本』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『どんな本でも大量に読める「速読」の本』の感想
巷には速読本が大量に溢れていますね。
本書もそのうちの一つですが、ほかの速読本よりも本質的というか、現実的だと感じました。
著者は「速読技術だけでは無理がある」といいます。
で、速読になにが必要なのかというと、それはストックなのだそう。
ストックとは、自分のなかにある情報や知識のことです。
ストックがないと理解できない
たとえば経済学に関する本を読むとき。
経済学についていっさい学んだことがないとしたら、どれだけ速く本が読めても内容を理解できませんよね。
なぜなら、速読技術が上がったところで本の難しさは変わらないから。
だからある程度の情報や知識が必要だ、というのが著者の主張でした。
当たり前のことですが、ほかの速読本ではわりとノータッチだったりします(目を鍛えろ!といった主張ばかり)。
それでは早くページをめくることはできても、理解するのは難しいでしょう。
本を読め
そこで問題になるのは、どうやって基礎的な知識や情報を手に入れればいいのか、ということです。
著者曰く「まずは本を読め」と。
つまり、速読をしたいなら、ふつうの速度で本を読めということ。
身も蓋もないというか、地味というか、そんな結論です。
ですが、これが速読の本質というか現実だと感じました。
速読はけっして魔法のようなものではなく、もっとこう、泥臭いものなんだと思います。
いきなり「ビットコインの未来」みたいな本を読む前に、まずはブロックチェーンについて知っておいたほうがいい。
物事には順序があるので。
速読法を批判している
著者はさまざまな速読法について批判的な立場です。
具体的には、フォトリーディングやレバレッジリーディングを批判しています(どこがどういけないのかを、とっても丁寧に)。
本書に興味のある方であれば、こうした速読法に関する本を読んだことがあるか、あるいはどこかで名称くらいは聞いたことがあるかと思います。
本書を読んで欠点を知れば、いっそうニュートラルな視点で眺めることができるようになるでしょう。
なお、著者は速読そのものを否定しているわけではありません。
本書もいちおう速読法について書かれたモノなので、きちんと著者なりの速読術が紹介されています。
まとめ
視野を広く保つこと。文字を音にする癖をなくすこと。
これらはほかの速読本でも(本書でも)述べられているため、速読の基礎としてとらえても良さそうです。
あとは、どの著者の考え方を支持するか、という読者それぞれの問題ですね。
個人的には宇都出氏が考える速読こそが本質的だと感じています。
「2分間で目次だけを10回読め」など著者が提唱する方法はかなり独特ではあるものの、本書を読めば納得できるかと。
以上、宇都出雅巳著『どんな本でも大量に読める「速読」の本』をふつうの速さで読んだ感想でした。
なんというか、速読に近道ってないんだなって思いました。