もしあなたが右利きだとしたら、ふだんあまり右脳を使えていない可能性があります。
(右半身は左脳、左半身は右脳がコントロールしている)
だけどそれではもったいない。
なぜなら、仕事の9割が右脳で決まってしまうから(著者がいうには)。
この記事では、七田眞著『仕事の9割は「右脳」で決まる!』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『仕事の9割は「右脳」で決まる!』の感想
右脳は凄いんだぞ!という情報がてんこ盛り。
それが本書です。
著者は右脳のパワーを大絶賛しています。
記憶力、決断力、発想力、問題解決力、情報処理能力など、仕事に必要な能力はすべて右脳に備わっているのだと。
だから右脳を使わなければ仕事で成功できない、というわけです。
本書には右脳のメリットばかり列挙されていて、デメリットや苦手分野についての言及がありませんでした。
どこかフェアでない印象を受けます。
右脳のトレーニング方法
右脳がすごいのはいいとして、私たち読者が知りたいのは「どうやって右脳を鍛えればいいのか」 という情報ですよね。
読んだなかから一つご紹介します。
たとえば右脳速読について。著者は右脳を使った速読法を提唱しています。
右脳速読のトレーニング方法として、1秒で全ページをめくれ、と述べていました。
「いーち」の間に本をバラバラっと全ページめくるそうです。
ただめくるのではなく、内容を読み取るように集中するのだとか。
で、次は5秒かけて全ページをめくる。10秒かけて全ページをめくる。
このように、3段階にわけて全ページをパラパラめくります。
そしたら仕上げに、本の内容(見えたこと)を書き出します。これが右脳速読です。
本を意識的に読むのではなく、内容を受け取るのがコツなんだとか。
そうすれば速読できるようになるそうです(以上が右脳速読トレーニング)。
やってみた感想
いちおう私も試してみました。
パラパラとめくっているときに、風でちょっとだけ涼しくなりました。
右脳速読は夏におすすめですね。
スピリチュアル感強め?
ここまでお読みいただいて、私が本書にどんな感想を抱いているか、だいたいお分かりかと思います。
少なくとも手放しで絶賛しているわけでないことは伝わっているはずです。
というのも、本書に書いてある内容は根拠に乏しく、論理的でないんですね。
著者は左脳が持つ「論理性」だけでは成功できないと述べていますが、それにしても本書は、あまりに論理的でなさすぎる。
たとえば著者は「願いを紙に書く」ことを勧めています。
私はポルシェ911が欲しいので、「ポルシェ911を買う」と紙に書きますよね。
これで夢は実現するそうです。
つまり私はポルシェ911をゲットできる、と。
紙に書けば無意識に刷り込まれる(なんで?)。
無意識のなかに刷り込まれたものは必ず実現する(どういう理屈?)。
だから叶う(だからなんで?)。
これが著者の主張です。なお、括弧内は私の心の声です。
よくいえばスピリチュアルで、悪くいえば胡散臭い。
どう感じるかは読者次第でしょう。
私は典型的な左脳人間なので、論理的でないことは受け入れません。
もし仕事の9割が右脳で決まるのだとしたら、残り1割で頑張る所存です。
まとめ
夢を紙に書いて1ヶ月以上経ちましたが、いまのところポルシェ911が納車になる予定は未定です。
右脳速読も、冷風を浴びる以上の効果を得られていません。
「仕事の9割が右脳で決まる」のかどうかはわかりませんが、本書の評価は、その9割が論理性の無さで決まりました。
以上、七田眞著『仕事の9割は「右脳」で決まる!』を読んだ感想でした。
そういえば、『仕事の9割は「段取り」で決まる!』という本も存在するんですよね。
『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる! 』というのもありますし。
『仕事は人間関係が9割』もあります。
あと『部下に9割任せる!』も……。
仕事って結局なにで決まるのでしょうか。
9割部下に任せて、9割断る。そんな人間、職場に必要ないのでは……。
もうわからなくなってきました。