現金をはやく廃止してほしい。
衛生的に現金ほど汚いものはないから。
……確かに、と思ったあなたには以下の本がおすすめです。
この記事では、社会学者・古市憲寿著『誰の味方でもありません』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『誰の味方でもありません』の感想
本書はエッセイに近い内容です。
古市氏がダイエット、お金持ち、呪い、嫌いな人との付き合い方などについて持論を展開しています。
どの意見も正論で、本質的で、かつ独特。
最初から最後まで面白く読めました。
限定は定番に劣る
たとえば古市氏は「限定は定番に劣る」と指摘しています。
というのも、(たとえば食品なら)本当に美味しいものなら定番に鞍替えされているはずだから。
定番はバツグンに美味しいから定番なのだ、というわけです。
松屋が期間限定のカレーを定番にし、これまで定番だったカレーを販売終了する事例がありました。
これこそが「定番への鞍替え」ですね。
期間限定カレーがめちゃくちゃ美味しかったので、このまま終了させるのはもったいない。定番にしちゃえ、と。
期間限定が定番に敵わないことは理解しました。
でも、ついつい手を伸ばしてしまうんですよね(期間限定柿の種「黒胡椒味」とか)。
フリーランスの成功条件
著者はフリーランスの成功条件についても言及しています。
曰く、いちばん大事なのは体力だ、と。
フリーで成功するためには、どんな才能よりもまず体力が欠かせないといいます。
体力があれば休息が少なくて済む。つまり時間が増える。トライアンドエラーの回数が増える。成功確率が上がる。
こういうわけですね。
なお、著者は自分で「体力がある」と語っていました。
もしフリーランスとして独立を考えているなら、書籍を読み漁るより、セミナーに参加するより、人脈づくりに励むより、まずは走るのが賢明なのかもしれません。
どうやら買うべきはビジネス書ではなく、ランニングシューズのようです。
嫌な人はサンプルだと思うべし
それから興味深かったのが、嫌な人との付き合い方。
古市氏は「嫌なヤツはサンプルだと思え」と述べていました。
サンプルとは調査対象です。なんとも社会学者らしい考え方ですね。
嫌な人を調査対象だとみなして、自分は調査者になる。
調査者とサンプルの関係だと割り切る。対等な関係だと思わなければ、嫌だとも感じないのだとか。
ようは「見下せ」ってことです。
ただ、それを調査者とサンプルと定義するあたりがなんともユニーク。
後続車に煽られたので
本書を読んでから、さっそくサンプル第一号に遭遇しました。
私が運転中に後ろから猛スピードで近づいてきたサンプルは、そのまま急接近し、中央線に寄ったりしながら蛇行運転をはじめました。
つまり煽ってきたわけです。
すっごく嫌なヤツ。サンプルのお出ましです。
そこでサンプルを調査すべく、アクセルを離してエンジンブレーキで減速し、制限速度以下(時速30km)で走ってみることに。
しばらくまるで小学生のように元気な煽り運転をかましていたサンプルは、2分ほど経つと距離を置き、離れて行きました。
なるほど。挑発に応じなければあきらめるのか……。
私はメモ帳を開き、「国道で三菱デリカ(もちろんナンバーもメモ)に煽られた。しばらく時速30kmで走ったところ、あきらめて距離をとった」と調査結果を記入しました。
デリカのドライバー様、調査へのご協力に感謝申し上げます。
……これはいいかも。
まとめ
来世があると信じて生きるススメ。AIに仕事を奪われるのか、など。
多くのテーマについて著者の意見を知ることができます。
端的にいえば、面白かったです。
自分の思い込みに気づけますし、新しい発見もありますし、かなり有意義な読書でした。
著者はチョコレートが大好きで、夢遊病のように知らぬ間にチョコレートを食べてしまう一面など、人間味があるところも窺い知れます。
(そのために「設定時刻まで絶対にフタが開かない箱」を買ったというのも衝撃でした。そんなものが存在するのか)
ぜひあなたも読んでみては?
以上、古市憲寿著『誰の味方でもありません』を読んだ感想でした。
ちなみに、「時間になるまで蓋が開かない箱」はキッチンセーフというそうです。
面白い商品ですよね。