「合理的に考えればあらゆる悩みが消えていく」というのが本書のメッセージです。
私が抱える短足の悩みもパッと消えることを期待して読んでみました。
この記事では、草薙龍瞬著『反応しない練習』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『反応しない練習』の感想
まず、「反応しない」ってなかなかハードルの高い要求だと思うんですよね。
ポルシェを見れば「カッコいい〜!」、散歩中のビーグル犬に遭遇すれば「かわいい〜!」、うな重を食べれば「美味しい〜!」など、つねになんらかの反応をしながら生きています。
それが人間です。というか私です。
が、著者はそうした反応こそが悩みを生むと指摘します。
だから物事に反応するべきではない。物事を判断するべきではない。
良い悪いとか好き嫌いとか、そうやって判断するのをやめるべし、と。
「そんな無茶な」と私は反応しました。
本書はもはや「ゾンビのススメ」である
反応をして怒ったり欲望にかられたりするから、人はさまざまな思いに執着してしまう。
自分の反応を見て、反応に気づくこと。
ムダな反応をしなければ人は苦しみから自由になれるのだから。
著者の言わんとしていることはわかります。
ただ、反応せずに過ごすことができるとは到底思えません。
散歩中のビーグル犬を見ても反応しない。
グラビアアイドルの写真集を開いても無反応。
「最低!」と罵られても意に介さず。
まるでゾンビです。
好き嫌いや良い悪いといった判断を放棄し、反応を捨てて生きる。
うん、やっぱりゾンビです。 リビングデッドそのものです。
無反応なゾンビであるくらいなら、感情的な人間であるほうが良い。私はそう思いますが。
高評価のようですが……
他者の評価を確かめるべくAmazonで本書のレビューを確認してみました。
圧倒的に支持されていました。意外でした。
本書を読んで、満員電車に乗ってもイライラしなくなった人がいるようです。
職場のイヤな人間をなんとも思わなくなった人がいるようです。
すごいですね。本書の内容をマスターし、実践している人たちがいるとは。
驚きです(これも反応です)。
満員電車に乗ってもなにも感じず、職場でイヤな人間に会ってもなにも感じない。
じゃあ、もしも宝くじに当たって3億円を手にしたらどうなんでしょう。
一般的にはポジティブな現象が起こったとしても、やはり反応しないんでしょうか。
それってゾンビなのではないでしょうか。
「反応しなくなった!」とレビューを書き込み、本書の良し悪しを「判断」している人たちの意見がどこまで信用できるのか不明ですが。
(もはやパロディーです)
まとめ
ムダな反応をしなければ、たしかにあらゆる悩みは消えていくでしょう。
ただ、消えていくのは悩みだけではありません。
どうじに喜び、感動、興奮なども消え失せます。
自宅が家事になっても、ポケットから5千円札が出てきても、柿を食べても、「……」ってなもんです。
そんなのやっぱりゾンビです。
バイオハザードの世界です。
本書が掲げる目標に共感できないため、書かれている内容を実践する気になれませんでした。
実践できるとも思えませんし。
ポケットから5千円札が出てきたら「よっしゃ!なんか得した気分!」って部屋で小躍りしますよ、ふつうは。
短足の悩みは解消できませんが、私は人間のままでいることを選びます。
以上、草薙龍瞬著『反応しない練習』を読んだ感想でした。
ほぼゾンビになる練習でした。
ちなみにカプコンの「バイオハザード」は素晴らしいゲームです。