いつも不安な人は、いったいなにが原因なのでしょう?
この記事では、アルフレッド・アドラー著『なぜ心は病むのか いつも不安な人の心理』を読んだ感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『なぜ心は病むのか いつも不安な人の心理』の感想
本書には、神経症(不安障害)の原因およびその解決法について書かれています。
読みやすかったかといえば、答えはノーです。
内容はやや難しく、専門的であると感じました。本書は"専門書"と呼ぶのが適切なのかもしれません。
精神医学や心理学を専門的に学んでいる人が読むべき本です。
が、経済学部出身の私もどうにかこうにか読んでみました。
神経症には劣等感が潜んでいる
神経症(不安障害)患者には、かならず「個人の優越」という目標が見られるのだそう。
なぜなら、自分が劣っているという意識があるから。
なんらかの経験によって劣等感を抱いており、その劣等感を打ち消すべく、つねに優越を求めるといいます。
けれど、優越の追求には緊張状態がつきもの。
つまりリラックスできないわけですね。
ところが問題なことに、たいてい本人はその"劣等感"に気づいていません。
だから医師は患者の劣等感を見つけ、本当の原因が何であるかを突き止めなければならないのだとか。
なるほど。
過去にいじめにあった人が、成長してから他者を威圧(あるいは見下す)ような態度を取ることがあるのも、劣等感からくる"優越の追求"の表れなのかもしれませんね。
それにしても、「医師は〜」という文言が出てきたときには驚きました。
「これはますます経済学部出身のシロウトが読むような本じゃないな」って。
なぜうつ病になるのか
上記のつづきです。
優越の追求をしている者にとって、もっとも怖いのが「敗北」だとアドラーは述べています。
敗北への不安によって神経症の症状が出てくるそうです。
そして完全に打つ手がなくなったと感じたとき(つまり敗北が確定しそうだと悟ったとき)、統合失調症、躁病、うつ病、妄想病といった精神障害が生じる。
このように説明されていました。
さらに神経症患者は「全か無か」という公式にしたがって生きており、すべてを得る望みが薄れるとなにも残らなくなってしまうのだとも。
絶望したときにうつ病になる理由
完全に打つ手がなくなったときに、統合失調症やうつ病が生じると書きました。
本書によればこれは、病気など運命に邪魔をされて動けないと自分を騙すためなのだそう。
なかなか厳しい指摘ですね。
患者はもっとも恐ろしい敗北を避けるために精神障害を利用している、とは。
(緊張状態にあるので、すぐにでも精神や肉体になんらかの障害が生まれるのだとか)
したがって医師は(再び医師へのアドバイス)、患者が症状をどう使っているのかを見落としてはいけない。
そうアドラーは述べていました。
まとめ
私なりに理解したことをまとめます。
なんらかの経験によって劣等感を抱くようになった人は(本人も気づいていない)、つねに優越を求めるようになる。優越は緊張状態とセット。
しかし生きていれば、優越できない状況に陥ることもある。
神経症になる人は「全か無か」という二極思考をしがちで、完璧でなければ意味がないと考える。
そこで敗北を避けるためになんらかの症状を選んで育て、本当の障害だと自分を思わせる。
精神障害等のせいでうまく動けないのであって、自分は敗北したわけではないと考える。
自己肯定感の低さ
ここからまず、神経症や精神障害に悩む人は自己肯定感が低いのだといえます。
優越しなければ自分には価値がないと考えてしまう。
だからこそ、「そのままの自分で価値ある存在なのだ」という認識を持って、他者に優越しようとする競争から降りること。
それが大事なのだと感じました。
本書では豊富な事例とともに、容赦のない指摘がズバズバとされています。
たとえば、躁病は人生の本当の課題に近づくのを防ぐために患者が作るバリケードだ、とか。
こうした症状を患っている人にとって、あまり気分のいいものではないのかもしれません。
ただ、うつ病や統合失調症などの本質を知りたい人は、腰を据えて読んでみるのも悪くないと思います。
現状を打破するヒントが得られるかも。
以上、 アルフレッド・アドラー著『なぜ心は病むのか いつも不安な人の心理』を読んだ感想でした。