著者は元男子ハンマー投げ選手です。
ハンマー投げは体に大きな負荷のかかる競技だからこそ、疲労回復が重要なのだといいます。
あなたは慢性的な疲れに悩まされていませんか?
この記事では、室伏広治著『室伏式世界最高の疲労回復』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『室伏式世界最高の疲労回復』の要約と感想
まずは本書の要約から。
デスクワークの多いビジネスパーソンが疲れるのは、体を動かしていないから。
おなじ筋肉だけを使う生活は疲労を招く。
疲れを溜めないカラダづくり、食生活、メンタルの秘訣を、元男子ハンマー投げ選手である著者が解説する。
以上がおもな内容です。
疲労回復術というよりも……
タイトルと内容にズレを感じました。
タイトルには「世界最高の疲労回復」とありますが、ページをめくってみると「元気に長生きするための秘訣」的要素が強め。
筋肉を鍛えれば歳を重ねても若々しくいられる、など「100歳まで元気に生きるコツ」寄りの内容です。
疲労回復に期待して読むと、テーマとのズレから物足りなさを感じるかと思います。
本書のなかで著者は「長寿社会を生きる我々は人生を長いスパンで捉えることが大事」だと述べています。
本書は高齢者向けの長生きガイドブックですね。
なぜ「世界最高の疲労回復」などという、内容とズレたタイトルで出版したのかはわかりません。
これでは仕事で疲れているビジネスパーソンが手にとってしまう恐れがあります。
高齢者向けの長生きガイドブックなのに。
なぜ筋肉を鍛えると疲労が溜まらないのか?
著者は疲労を溜めないカラダを作るために、筋肉を鍛えることを推奨しています。
しかしながら、なぜ筋肉を鍛えると疲労が溜まりにくくなるのか。
その根拠が示されていませんでした。
- 筋肉は何歳からでも鍛えられる
- 筋肉を鍛えると太りにくくなる
といった説明はありましたが、「なぜ疲労回復に繋がるのか」は明記なし。
本書を手に取る読者は、疲労回復術を知りたいわけです。
ダイエット法など知ったことではありません。
手に入れたいのは太りにくいカラダではなく、疲れにくいカラダのはず。
なぜ筋トレが疲労回復に良いのかをはっきりさせないまま筋トレのメリットばかり羅列する本書は、不親切です。
「術後の回復」と混同している?
本書では、手術後のリハビリについて以下のように述べられています。
かつては絶対安静とされていたが、いまではすぐにでもリハビリを開始したほうが回復が早いことがわかっている、と。
べつものである「術後の回復」と「疲労の回復」を著者は同一視しているようです。
手術後は「疲れている」わけではないと思うのですが。
おなじ回復でも、どこから回復するか、という出発地点は異なっています。
- 胃を半分切除した患者
- デスクワークで肩こりが酷い会社員
両者は似て非なるもの。
ならべて語ることには違和感を覚えます。
少なくとも前者を「疲労回復」とは呼べないはずです。
銃で腹部を撃たれ血を流す兵士に「だいぶ疲れてるね」とはいわないように。
まとめ
疲労回復というよりも、高齢者向けの長生きガイドブック(筋肉を鍛えよう編)。
疲労回復には筋トレが良いというけれど、根拠がない。
モヤッとした読後感です。
「世界最高の疲労回復」を知りたかったのに、肝心なことが書かれていないっていう。
グラビアアイドルの写真集を買ったのに、水着のカットが1枚もない、みたいな。
本書をグルグル回して、ウォーッと投げたい気分です。
良い記録が出るかもしれません。
以上、室伏広治著『室伏式世界最高の疲労回復』の要約と感想でした。
疲労回復術を学ぶにはこちらの本がおすすめです。