ダン・アリエリーという行動経済学の巨匠は、どのような幸せ観を持っているのか。
行動経済学の観点から「幸せ」というテーマに迫っているのが本書です。
この記事では、富永朋信、ダン・アリエリー著『「幸せ」をつかむ戦略』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『「幸せ」をつかむ戦略』の要約と感想
まずは本書の要約から。
富永氏が、行動経済学を専門とするダン・アリエリー教授にインタビューした内容をまとめたもの。
文章は対話形式で収録されている。
本書のテーマは2つある。
ひとつは、「オートノミー(自分のことは自己決定できる自由)が人間の幸せにおける最大の源泉である」という富永氏の仮説をダン氏にぶつけること。
もうひとつは、ダン氏が持つ「幸せ観」に迫ること。
2つの主要なテーマを通して、幸せになるための方法を解き明かす。
以上がおもな内容です。
SNSとの向き合い方、パートナーとの接し方、モノを買う行為、2種類の幸福についてなど、あらゆる角度から幸せについて論じられていました。
スピリチュアルな内容ではなく、論理的な「幸せ論」を学びたい方に本書はおすすめです。
SNSに関心を向けるのはやめたほうが良い
ダン氏は「幸せになりたいなら、SNSに関心を向けるのはやめるべき」だと指摘しています。
というのも、ソーシャルメディアでは、すべての人が自分のことを過度にポジティブに描き出しているからです。
喧嘩したことをSNSへ投稿するカップルはほとんどいません。
他者に知ってほしいポジティブな情報だけを発信するのが一般的です。
したがってソーシャルメディア上では、すべての人が自分よりも幸せに見えるバイアスがあるのだと、ダン氏は述べていました。
主張はその通りだと思います。
SNSは自慢合戦の場と化しており、飛び込んで行ってもストレスが溜まり、メンタルがボロボロになって退場させられるだけです。
ゆえに、幸福を目指すのであれば、最初からSNSには関わらないのが賢明です。
Twitter、Facebook、Instagramなど。
自分の経験を増やすのが大事
ダン氏は「インターネットの世界に関心を向けるのをやめ、自分自身の経験を高めるべき」だとアドバイスしていました。
なぜなら、ソーシャルメディアを含むインターネットの世界に浸っていると、他人の「基準」したがって生きることになってしまうからです。
他人の基準に則って生きるのは危険です。
他人の期待に応えるような行動を取るようになってしまいます。
つまり、「自分が本当にたりたいこと」ではないことに、時間と労力を費やすハメになってしまうわけです。
インスタに投稿するデカい綿あめを買うために1時間並んだり、カラフルなマカロンを買うためにお金を使ったり。
そうではなく、「自分は何をするのが好きで、どんな時間を幸せだと感じるのか」という自分だけの基準を確立すべきだといいます。
関心を向けるべきは「他人の反応」ではなく、「自分の感情」なのかもしれません。
パートナーとすべての好みが一致することはない
本書では恋愛についても言及されていました。
たとえば結婚についてダン氏は「自分とまったくおなじ性格や趣味、おなじお金の使い方をする人と結婚できる確率は低い」と述べています。
人の好みはさまざまです。
家具をたくさん置くのが好きな人、あまり置きたくない人。
室温を高くして寝るのが好きな人、低くして寝るのが好きな人など。
ゆえに、すべての好みが一致するパートナーを見つけるのは不可能である、と考えるべきだといいます。
パートナーとは一定の距離感をとる
好みが一致しないパートナーと長時間ともに過ごせば、イライラすることの1つや2つは出てくるでしょう。
そこでダン氏は「カップルは離れるべき」だと提言します。
カップルや夫婦だからといって、つねにいっしょに過ごす必要などない。
離れている時間を作り、お互いを恋しく思うべき。
離れている時間があるからこそ、お互いを恋しく思えるのだ。
これがダン氏からのアドバイスです。
相手を恋しいと思えなくなったら、いっしょにいる時間を減らしてみるのが良いのかもしれません。
あなた一人でショッピングに出かける、映画を観に行く、など。
まとめ
興味深い内容でした。
行動経済学の観点から、どのように「行動」すれば幸せを感じられるのかが説かれている良書です。
富永氏とダン氏の対話が載っていますが、富永氏の発言は読み飛ばしてもかまいません。
彼がダン氏に学ぶというスタンスですので、我々はダン氏の発言だけに注目していればOKです。
本書に書かれているのは、「起こった出来事をどのように解釈するか」といったスピリチュアルな内容ではありません。
幸せを感じるための具体的な行動が示されています。
ゆえに、誰でもいますぐに実践可能です。
幸せをつかむ戦略に従って生きてみませんか?
以上、富永朋信、ダン・アリエリー著『「幸せ」をつかむ戦略』の要約と感想でした。
結論。「幸せになれなくてもいい」という諦めモードの人以外は読むべき一冊。
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