松下幸之助が経営者として成功できたのは、経営の根底に哲学があったからだといいます。
本書では、評論家・渡部昇一が彼の成功について解説しています。
この記事では、渡部昇一著『松下幸之助 成功の秘伝75』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『松下幸之助 成功の秘伝75』の要約と感想
まずは本書の要約から。
評論家・渡部昇一が、松下幸之助の成功について語る。
松下幸之助とはどんな人物だったのか。
若いころに患った肺尖は、彼の人生観にどのような影響を与えたのか。
商売を長続きさせる秘訣とはなにか。
運を呼び込む発想法など。
松下幸之助成功の秘訣をまとめた一冊。
以上がおもな内容です。
松下幸之助は自身でいくつもの本を出版しています。
それらと異なり、本書では渡辺氏の視点から松下幸之助の成功に迫っています。
時代背景についての解説があるため、当時の状況や松下幸之助の考え方について深く知ることができ、おすすめです。
松下幸之助の人生すべて
本書に書かれているのは、松下幸之助の青年時代から経営者として成功をおさめるまで、つまり人生のすべてです。
ゆえに、経営者としての顔だけでなく、彼の人物像についても知ることができます。
たとえば松下氏は小さいころに船から落ち、助かった経験を持っているそうです。
ここから彼は「おれは運が良い男だ。おれが失敗するはずがない」と何かにつけて考えるようになったのだといいます。
自己暗示とでもいうのでしょうか。
船から落ちて助かった経験が、彼の人生にプラスの影響を与えたことは間違いなさそうです。
人生なにがプラスになるかわかりません。
船から落下した際のサバイバル術については指南されていないので悪しからず。
松下幸之助が「脱サラ」したきっかけ
松下幸之助は最初からいきなり経営者になったわけではなく、もともとは勤め人でした。
会社員として働いていた松下氏は、医師から肺尖だと告げられます。
著者によれば当時、肺尖だといわれた人は、初期の肺結核だと解釈していたといいます。
徴兵と肺結核が青年の二大恐怖だったそうで、肺尖というのは、いまでいうところの「がん」を宣告されたも同然だったのだそうです。
医師に1ヶ月休養するよう告げられ、仕事を休んでいた松下幸之助は、自身の人生について考えて脱サラを選んだのだといいます。
著者曰く「若気の至り」ともいえる決断だったそうですが(独立して成功するアテはなかった)、結果としてこの選択が彼の人生を大きく変えることになりました。
人生について考える時間
ここから渡部氏は、「青年時代に人生について考える時間を持てることは幸せだ」と述べています。
病気で会社を休んだことをきっけかに人生や働き方を考え、方向転換する人は、現代でも少なくありません。
病気にならずとも時間をとって考えることはできますが、病気療養という人生について考えざるをえない状況に陥った人は、否が応でもあれこれ思い巡らすようになります。
そう考えれば、(死なない程度の)病気を患って仕事や学校を休むのは悪くないのかもしれません。
金がある人は金を使うべき
松下幸之助は「お金持ちは世のためにお金を使ったほうが良い」という考えの持ち主だったそうです。
とくに不景気のときこそ、お金に余裕のある人が贅沢をしなければダメだと考えました。
ゆえに、昭和5年の不況のなかで、松下氏はスチュードベーカーという高級乗用車を買ったのだといいます。
私利私欲による贅沢ではなく、経済を元気にするための消費というわけです。
かつて日本の最高税率は、所得税と住民税をあわせて85%だった。収入のほとんどを税金として持っていかれているなかで、なおも人のために行動できるが松下幸之助。普通はふてくされる。
松下幸之助はほかにも、浅草にある雷門の再建や、大阪の歩道橋建設などに多額の寄付をしています。
彼はまさにギバー(与える者)です。
アダム・グラントによるこちらの本にもあるように、いつの時代も、成功する人は「与える人」なのかもしれません。
松下幸之助の哲学に触れることで、「社会のため」という視点を獲得できるとしたら、読んでみる価値があるのではないでしょうか。
まとめ
本書からはさまざまなことが学べます。
- 大を成す者の条件
- 青年期をいかに過ごすか
- 商売の心得
- 経営とはなにか
- 経営者の資質
- 事業発展のヒント
- 成功への道筋
- 運を呼び込む発想法
- 実りある人生とするために
気になる項目がある方は、ぜひ読んでみてください。
最高の経営者であり、お金持ちであり、哲学者であり、ベストセラー作家でもあった彼から学べることは多いはずです。
少なくとも飲み会で聞かされる部長の話よりはタメになる。
以上、渡部昇一著『松下幸之助 成功の秘伝75』の要約と感想でした。
結論。将来ビッグになりたければ読むべし。