日本人の死因トップは、がんです。
がんが発生する要因や、がんのリスクを減らす生活習慣をあなたはご存知ですか?
現時点で知らなくても問題ありません。
本書を読めば、がんに関する正しい知識を学べます。
この記事では、中川恵一著『知っておきたい「がん講座」リスクを減らす行動学』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『知っておきたい「がん講座」リスクを減らす行動学』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者はがんの放射線治療を専門とする臨床医である。
がんは日本人の死因トップであり、がんによる死亡者数は増え続けている。
がんというのは遺伝子の病気であって、誰もが無縁ではない。
本書では、がんの知識、リスクを減らす生活習慣、早期発見の重要性、治療法、がんと生きる知恵、社会のなかでがんと向かう方法について解説する。
以上がおもな内容です。
がんの予防には「がんを知ること」が大事だと著者はいいます。
がんという敵についての情報収集をしませんか?
本書を読んでわかること
がんという病気の知識から治療法まで、がんについて幅広く知ることができます。
皮膚がん、胃がん、大腸がん、食道がん、舌がん、肺がんなど、がんは人体のあらゆる場所に発生します。
なぜなら、がんは遺伝子の病気だからです。
がんは遺伝子の病気
がんは遺伝子の病気です。
遺伝子というのは細胞のなかに含まれているもので、人間の設計図のような役割を担っています。
がんになる最大の要因は、この遺伝子に生じる偶発的な損傷です。
人間の細胞は分裂を繰りかえしており、細胞分裂の際には遺伝子がコピーされます。
このコピーの際に生じる偶発的な損傷が、がん細胞を生み出すきっかけになるのです。
つまるところ、がんになるかどうかは「運次第」です。
たまたま遺伝子のコピーに失敗したことで、たまたま不死化してしまった細胞こそががんの正体だというわけです。
骨折する原因は、骨に強い力が加わったことです。
火傷する原因は、高温のものに皮膚が触れたことです。
がんになる原因は、運が悪かったからです。
落雷に打たれる、みたいなものらしい。
がんを100%予防する方法はない
本書を読んでわかるのは、がんを100%予防する方法は存在しないということです。
なぜなら、がんになるかどうかは運次第だからです。
ただし、遺伝子に傷をつける恐れがある行動というのは存在しており、これを避けることで「がんのリスクを下げる」ことはできます。
予防のためにできることがないわけではない。
たとえば、喫煙です。
タバコにはおよそ70種類ほどの発がん物質が含まれているといいます。
発がん物質というのは、遺伝子に傷をつける恐れがある物質を指す。
ゆえに、がんのリスクを抑えたいなら喫煙すべきではない、とのことです。
ウイルスががんを誘発するケースもあります。
性行為によってHPV(ヒトパピローマウイルス)が喉の粘膜につくことで、HPVに感染し、中咽頭がんのリスクを高めるといいます。
中咽頭がんは増加傾向にあるという。
いずれの知識も、持っていないよりは、持っていたほうが役に立知ます。
本書には他にも、
- コメの発がんリスク
- ひじきの発がんリスク
- 運動量とがんの関係性
- 歯磨きとがんの関係性
- 身長とがんの関連性
などが載っていました。
「これさえすればがんにならない」という方法は存在しませんが、がんのリスクを下げる行為は存在しています。
0.001%でもいいからがんに罹患するリスクを下げたいという方に、本書はおすすめです。
まとめ
がんについてわかりやすく解説してある本でした。
病気の知識から、リスクを下げる行動、治療についてまで、一通り学ぶことができます。
死の病というイメージの強いがんですが、全体の3分の2が治り、早期発見できれば95%が治る病気なのだと著者はいいます。
ほかでもない著者自身も膀胱がんを罹患し、治療した経験があるとのことでした。
がんを告知されてから「自殺者」が増えるわけ
医師からがんであることを告げられた患者は、1年以内の自殺率が24倍に跳ね上がるといいます。
なぜなら、がんにたいして「死の病」というイメージがあるからです。
がんになったらもうおしまいだと考え、悲観的になり、自ら命を絶ってしまうわけです。
著者は自殺率が高まる点について、「告知されてからではがんと冷静に向き合えない」と述べていました。
では、どうしたら良いのか。
それは、がんに罹患する前に正しい知識を身につけておくことだといいます。
医師から「あなたはステージ2の大腸がんです」と宣告される前に、がんについて学んでおきませんか?
精神的ショックを受けるであろう将来の自分のために行動できるのは、がんを発症していない現在の冷静なあなただけです。
以上、中川恵一著『知っておきたい「がん講座」リスクを減らす行動学』の要約と感想でした。
結論。がんについて学ぶのに、遅すぎるということはない。ただし、がんを発症していなければ。