本書は、『コインロッカー・ベイビーズ』などの作品で知られる作家・村上龍のエッセイ集です。
この記事では、村上龍著『おしゃれと無縁に生きる』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『おしゃれと無縁に生きる』の要約と感想
まずは本書の要約から。
雑誌『GOETHE』で連載したエッセイをまとめたもの。
経済、お金、政治、社会などのテーマについて、著者が思いを述べている。
以上がおもな内容です。
エッセイ集ですので、扱っているテーマはバラバラです。
ただ、お金や経済についての話題がしばしば登場していました。
私たちに関係している事柄が多く、村上龍のファンでなくとも楽しめる一冊です。
経済やお金の話題が多い
エッセイが連載されていた雑誌『GOETHE』は、男性向けのビジネス、カルチャー、生活情報誌です。
本書のエッセイはもともと雑誌の読者に向けて書かれたものですので、扱うテーマは雑誌の方向性に沿っています。
経済やお金、情報収集、政治など、どれもビジネスパーソンにとって興味深い内容ばかりでした。
「私が小学生のころ〜」といった、エッセイにありがちな個人的体験談が綴られているわけではありません。
作家・村上龍の作品を読んだことがなく、彼に興味がない読者であっても、本書を楽しめるでしょう。
著者が司会を務める『カンブリア宮殿』という経済番組で紹介された内容なども、本書には盛り込まれています。
ハイセンスなブックデザイン【単行本】
本書は「見た目」にこだわりが感じられます。
『おしゃれと無縁に生きる』というタイトルとは対照的に、ブックデザインはお洒落そのものでした。
表紙のデザイン、本の形、紙の質感、文字の大きさ、印刷の濃さ、フォント、レイアウトなど、どれもハイセンスで、洗練されています。
「本なんてどれも一緒では?」
そう思った方は、ぜひ本書を手にとってみてください。
ただし、正方形のような形をしている本書は、本棚への収まりが悪いかもしれません。
文庫本でも通常の単行本サイズでもない本書は、ご自宅の本棚において違和感を放つ恐れがあります。
「本は背の順にそろえて並べている」などといったこだわりを持つ方にとって、独特なフォルムの本書は、扱いに困る存在となるでしょう。
おしゃれ過ぎるがゆえの弊害です。
まとめ
小説家ならではの鋭い視点を楽しめるエッセイ集でした。
会社への忠誠心というときの「会社」とは、経営者か、株主か、従業員か、あるいは組合か、といった指摘は、私たちが「会社という言葉を漠然と捉えている」ことを教えてくれます。
たしかに、会社の実態とはなんなのでしょうか。
社員はいったい誰にたいして忠誠を誓えば良いのでしょうか。
あるいは、なぜ「電気を点ける」という表現がいまでも死語になっていないのか、という疑問を著者は投げかけていました。
事実、蛍光灯を点ける、LEDを点けるといった表現のほうが的確です。
「電気を点ける」では、電子レンジや電気ケトル、ドライヤー、掃除機など、あらゆる電化製品が該当してしまうからです。
本書に著者の見解が記されている。
さすがは作家、言葉に敏感です。
以上、村上龍著『おしゃれと無縁に生きる』の要約と感想でした。
結論。デザインがおしゃれで、経済やお金、政治にまつわるテーマが多いエッセイ集。村上龍のことを知らなくても楽しめる。ビジネスパーソンにおすすめ。
文庫版もあります。
ただし、ブックデザインのおしゃれさでは単行本に劣ります。
が、本棚への納まりはバツグン。