本書は「無意味」をテーマに書かれた本です。
この記事では、川崎昌平著『無意味のススメ <意味>に疲れたら、<無意味>で休もう。』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『無意味のススメ <意味>に疲れたら、<無意味>で休もう。』の要約と感想
まずは本書の要約から。
無意味だって悪くない。
これは無意味の価値、快楽を伝えるための本である。
氾濫する「意味」から心を守るための、無意味実践の手引き。
以上がおもな内容です。
正直なところ、本書を通して著者がなにをいいたいんだか、イマイチわかりませんでした。
自己陶酔的文章
まず、文章が難解です。
一般的にほとんど使われない言葉や表現だらけの本書は、読み進めるのに骨が折れます。
著者の川崎氏はふだん編集者として働いているそうです。
だからでしょうか、本書はまるで語彙力自慢大会のような本でした。
地区予選は突破できそう。
タイトルには「意味に疲れたら、無意味で休もう」とありますが、とても休めません。
本書を読めば読むほど読者は疲れます。
体調が優れているときに読むか、あるいは読まないことをおすすめします。
どちらかといえば、読まないことをおすすめします。
意味を持たないキザな文体を見せつけられるだけだからです。
「意味」と「情報」を混同している?
著者は「意味」という言葉の定義を示していません。
「意味」には、
- 動機
- 意図
- 意義
- 趣旨
- 文脈で言葉が指し示す内容
など、あらゆる定義が存在します。
言葉について語るのに、その言葉の定義を共有しないまま話を進め、自己陶酔的文章をひけらかし、主張も曖昧なまま終えるというのは、いかがなものでしょうか。
たとえば著者は「意味が犯した最大の罪は、私たちから間違える自由を奪ったこと」だと述べています。
ですが、この指摘には納得できません。
私たちが間違いをおかさないようになったのは、ネット環境とスマホが普及した結果だからです。
あらゆる物事を事前に調べられるようになったからこそ、マズいラーメン屋に行くことも、くだらない映画を観ることも、すぐ壊れるスピーカーを買うこともなくなったのだといえます。
つまり、私たちから間違える自由を奪ったのは、意味ではなく情報だ、ということです。
このように情報とすべきところを、著者は「意味」と表記しています。
どうやら、著者が考える「意味」のカバー範囲は、果てしなく広いようです。
であればなおのこと、「意味」の定義を明らかにして欲しかった。
まとめ
意味のわからない本でした。
これが著者の思惑通りなのかどうかはわかりません。
ただ、本書を読んだことをきっかけに「無意味の良さ」に気づけたかといえば、答えはノーです。
無意味に難解な表現を使い、無意味にキザな言い回しをし、無意味に手書きのイラストを挿入した結果がこれだとしたら、それこそ無意味です。
ひとつわかったことがあるとすれば、意味で溢れる世界よりも、混沌とした無意味な世界のほうが疲れるということです。
以上、川崎昌平著『無意味のススメ <意味>に疲れたら、<無意味>で休もう。』の要約と感想でした。
結論。意味と情報を混同しがち。世の中には「無意味な情報」も存在しているので、意味と情報を同義で使うのは誤り。意味不明なことを意味不明な文体で綴った、意味のわからない書。