芸術、科学、金融などさまざまな分野で傑出しているユダヤ人の考えから、何か学べるものがあるかもしれません。
この記事では、石井希尚編訳『古代ユダヤ賢人の言葉 超訳聖書』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『古代ユダヤ賢人の言葉 超訳聖書』の要約と感想
まずは本書の要約から。
古代ユダヤ人はモーセという指導者に導かれ、神と契約を交わした。
ユダヤ民族にとって聖書とは、生き方を示した「契約書」なのである。
聖書の内容をもとに、古代ユダヤ人の優れた思想を解き明かす。
以上がおもな内容です。
聖書の内容に興味がある方に本書はおすすめです。
ユダヤに関する説明が長くて複雑で難解
ディスカヴァー「超訳」シリーズのなかでは異例といえるほど、本書はバックボーンについての説明に多くのページを割いていました。
「超訳」シリーズは、ニーチェやブッダ、デール・カーネギーなど、偉人たちの名言がメインで、その人物に関する説明は通常ほとんどありません。
なにをした人物なのか、冒頭で少し触れてあるくらいだといえます。
ところが本書では、「ユダヤとはなんなのか」についての説明が冒頭から延々とつづきます。
- 聖書はキリスト教だけの教典ではない
- 旧約聖書と新約聖書の違い
- なぜユダヤ民族が「選民」と呼ばれるのか
- 遊牧民アブラハムとは何者か
など、聖書を理解するうえで知っておくべき基礎知識は膨大なのでしょう。
ユダヤに関するバックボーンが複雑なのは仕方がないとして、本書には、図やイラストがいっさい載っていません。
説明は終始言葉のみです。
つまり、ユダヤや聖書についての知識がなければ、本書冒頭の解説を理解するのは難しいだろう、ということです。
聖書関連の知識がない方は、
- ユダヤについての解説は読み飛ばす
- ほかの本でユダヤについて理解する
いずれかの選択をするのが良いのではないでしょうか。
ユダヤ民族の背景について理解できなくても、本書の内容に学ぶことは可能です。
エンジンの仕組みがわからなくても自動車を運転できるようなもの。
メッセージは堅実そのもの
古代ユダヤ賢人の言葉を一言でいえば、「堅実そのもの」です。
本書では、堅実な生き方が推奨されていました。
たとえば、豊かな収穫を期待するなら、多くの犠牲を払うことを惜しんではいけない」と本書には書かれていました。
これは、現代人がたくさんのお金を得ようとする場面にも当てはまります。
大金を手にしたいなら、娯楽や休息などを犠牲にし、バリバリ仕事をしなければならないということです。
ほかにも本書には「地に足をつけて、今できること、やすべきことを淡々とやるべきだ」という言葉も載っていました。
これをお金に当てはめれば、フェラーリを買いたいとか、洋服は全身グッチで揃えたいだとか、理想ばかり語っていないで目の前の仕事をやりなさい、と解釈できます。
つまるところ本書には「当たり前だけど忘れがちな大事なこと」が載っているといえるのかもしれません。
- 他人の評価を気にするな
- 自分のことを売り込むな
- 大事なのは成長すること
- 知識をひけらかすな
- 人に分け与えよ
良い人生とは、わりと地味なものです。
「全財産を賭けて勝負せよ」といった刺激的なアドバイスは皆無。ひたすら堅実。だから良い悪いという話ではなく。
まとめ
ニーチェや森鴎外など、なんだか難しそうな人たちの言葉をわかりやすく学べるのがディスカヴァー「超訳」シリーズの特徴です。
そんななかにあって本書は難解で、とっつきにくいといえます。
なぜなら、「聖書」や「ユダヤ民族」にまつわる歴史が複雑で、易々と理解できるものものではないからです。
しかも本書には図やイラストなどがいっさいないため、冒頭の解説を理解するハードルは高いといわざるをえません。
聖書についてある程度の知識を持っていなければ、途中で挫折することでしょう。
冒頭の解説パートを抜け出せば、以降は、名言が並んでいるいつもの「超訳」シリーズに戻ります。
内容は堅実そのものです。
「人としてどう生きるべきか」を学びたい方に本書はおすすめです。
この通りに生きていれば、まず間違いはなさそう。
以上、石井希尚編訳『古代ユダヤ賢人の言葉 超訳聖書』の要約と感想でした。
結論。聖書やユダヤ民族のバックボーンは複雑で難解。その教えは堅実。
聖書について知りたい方には、白取氏による解説書がおすすめです。