投資や保険、節約術について経済ジャーナリストが語っている本です。
この記事では、荻原博子著『騙されていませんか 人生を壊すお金の「落とし穴」42』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『騙されていませんか 人生を壊すお金の「落とし穴」42』の要約と感想
まずは本書の要約から。
うまい話には裏がある。
あなたはうまい話に騙され、お金を失っていないだろうか。
投資、保険、老後資金、節約術、ポイント、電子マネーなど、お金について幅広く取り上げ、それぞれの避けるべき「落とし穴」を解説する。
以上がおもな内容です。
本書は、さしたる根拠もなく読者の不安を煽っているだけの本でした。
つまり、ロクでもない本だということです。
根拠は曖昧だし論理性がない
お金にまつわるあらゆる商品やサービスにたいして、著者はノーを突きつけています。
なぜなら「損をするだけだから」だそうです。
たとえば「電子マネーのポイント付与やキャッシュバックはあなたの口座やクレジットカード情報が欲しいだけ。登録する必要なし」と著者は述べています。
では、私たちの口座番号やクレジットカードの情報を得ることで、電子マネーを管理する企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
口座からお金を引き出したり、カードで買い物をしたりできるわけではない。これはただの犯罪。
あるいは口座番号を教えることで、私たちにどんなデメリットがあるというのでしょうか。
著者はなんの説明もしていません。
「口座やクレジットカードの情報が欲しいだけだ」という主張では、私たちが電子マネーのポイント還元キャンペーンに参加しない理由にはならないといえます。
つまり、根拠が根拠になっていない、ということです。
著者に騙されてはいけない。電子マネーのポイント還元は受けるべき。
それから著者は、投資に否定的です。
国の資産運用(公的年金積立金の運用)でさえ大損を出しているのだから、みなさんが儲かるとは思えません、だそうです。
まるで「プロのレーサーでさえ事故を起こすのですから、みなさんが事故を起こすのは当然です」といっているようなものです。
論理性のカケラもありません。
本書は、根拠が根拠になっていなかったり、論理的に破綻していたりする主張のオンパレードでした。
この本を読み「確かにそうだなぁ気をつけよう」などと感心しているようでは、前途多難です。
なんでもかんでも否定する
たった一つのデメリット、あるいはリスクを見つけただけで、鬼の首を取ったかのようにアピールし、読者の不安を煽り、やめておけと諭すのが著者のやり口です。
本書は終始この調子でした。
投資なんかするな、つみたてNISAもダメ、iDeCoも必要ない、ってなもんです。
なにからなにまで否定している本書にしたがえば、いっさい身動きが取れなくなってしまいます。
まるで「ぶつからない自動車を開発したら、まったく動かなかった」という話のようです。
走行しなければ交通事故は起こらないので。
当然ながら、どんな金融商品やサービスにも良い面と悪い面があります。
どんな優しい人間にも腹黒い一面があるのとおなじです。
重要なのはメリット・デメリットを含めて総合的な判断を下すことであって、けっしてデメリットだけに注目し、怯え、行動を起こさないことではありません。
著者はあらゆる金融商品・サービスの悪い面(たいてい些細なもの)だけにフォーカスし、私たちを脅してきます。
不安を煽って読者に本を売りつけ、お金を搾取し、印税で儲けている著者こそ「タチが悪い」といえるでしょう。
まとめ
本書に読むだけの価値はありません。
なぜなら、内容がなにもないからです。
意味のわからない根拠、飛躍した理論を振りかざし、あらゆる金融商品やサービスにいいがかりをつけ、こき下ろし、「私が守ってやったわ」ってな優越感に著者が浸っているだけです。
かと思えば、「遠くにある安いガソリンスタンドに行くのは得なのか」といった、低レベルなテーマが飛び出したりもします。
もっと考えるべきことがほかにある。
「政府がやってダメなんだから、みなさんが投資をしたって儲けられるはずがない」などと平気で書いてしまう著者の本を、あなたは読みたいと思いますか?
以上、荻原博子著『騙されていませんか 人生を壊すお金の「落とし穴」42』の要約と感想でした。
結論。43個目の落とし穴がここに。
世の中の裏側について学べるのは、こちらの本です。
童話形式で、お金にまつわる真っ黒な真実を明らかにしている良書です。