人々の自殺を防ぐこと、それが本書の目的だといいます。
失恋、過労、病気、いじめ、借金など、私たちの人生には辛い出来事がしばしば起こります。
そんなとき、「死」を選ばないようにするための考え方を、あなたはご存知ですか?
この記事では、『生きテク 死ぬ技術はもういらない!8種類の問題解決法』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『生きテク 死ぬ技術はもういらない!8種類の問題解決法』の要約と感想
まずは本書の要約から。
生きテクとは、生きるための技術のこと。
人生をリセットする方法はけっして「死」だけではない。
生きるためのテクニックが存在するのだ。
「生きテク」プロジェクトというサイトには、自殺を思いとどまった人たちの体験談が集まっている。
このサイトをもとに、自殺を思いとどまった人の現在を取材し、当時の記憶とともに振りかえっているのが本書である。
以上がおもな内容です。
本書のコンセプトは理解できますが、内容はどうも微妙でした。
どう微妙だったのかを以下でご説明します。
文章レイアウトが酷い。読みにくい
内容に触れる前に、まずレイアウトで気になった点をお伝えします。
本書は文章のレイアウトがめちゃくちゃです。
重要な箇所を太字にするのは良いとして、フォントのサイズがバラバラで、文字がいきなり大きくなったり、ちょっと小さくなったり、さらに小さくなったりするなど、終始ごちゃごちゃしていました。
文字を大きくして重要な箇所を強調したかったのでしょうが、その工夫が、とことん裏目に出ているといえます。
不揃いなフォントサイズは読みにくいだけでなく、読者にたいして「バカっぽい印象」を与えかねません。
- 死ぬ技術
- フォントサイズを変えまくる技術
いずれも不要だ、ということです。
自殺未遂の体験談とその後
本書には、自殺未遂を図った(自殺企画した)人たちのエピソード数十話が紹介されています。
- 苦しかったこと
- 解決方法
- その後
という三段階構成で、すべての体験談が書かれていました。
愛する恋人に裏切られ不眠症を発症した人、多忙でうつ状態になり練炭自殺を図った人、不治の病にかかって自暴自棄になった人、母親がうつ病で自殺した人など、悩みは人それぞれです。
当然ながら、いずれも読んでいて明るい気分になるようなエピソードではありません。
精神的に疲れている方や、脳裏に死がチラついている方などは、本書を読まないほうがいいでしょう。
いっそう暗い気持ちになる恐れがあるからです。
「解決方法が参考になるのではないか」
そう思う方もいるでしょうが、解決方法は極めて個人的なものであって(つまり限られたシチュエーションでしか効果がない)、万人の役に立つとはいえないものばかりでした。
本書への不満
そもそも、希死念慮(自殺願望)を抱いている時点で、その人物は正常な精神状態を保てていません。
うつ病あるいはうつ状態の疑いがあるため、すぐ精神科(心療内科ではなく)を受診し、医師に診てもらうのが良いでしょう。
精神科の受診をすすめる文言が本書になかったのは、残念です。
うつ病は心の病ではなく、脳の機能低下による病であって、けっして「メンタルが弱い人がかかる病気」 などではないからです。
生きるためのテクニックとして「精神科受診」が真っ先に出てこないのは、いかがなものでしょうか。
それぞれが困難をどのように乗り越えたかは、あくまでもオマケであるべきです。
体験談は普遍性や再現性に乏しい。抗うつ薬、向精神薬、認知行動療法などはたいていの患者に使える。効果はともかく。
まとめ
世の中には自殺サイトなど、死ぬ技術を紹介するサイトが多く存在すると著者はいいます。
だったら生きる技術を紹介しようと思い、生きテクプロジェクトを開始し、自殺を思いとどまった人たちのエピソードを発信する場を設けたのだそうです。
理念は良いと思いますが、「自殺を思いとどまった人たちの書き込み」ついては、考える余地がありそうです。
なぜなら、ウェブサイトに書き込まれたエピソードなど信用できないからです。
自殺方法を載せているサイトには、事実のみ書かれている。
サイトに載っているのは精神病の知識がない素人の書き込みですし、そもそも創作が混ざっている可能性があり、どこまで信用できたものかわかりません。
そうではなく、「科学的に証明されている気分が明るくなる方法」をまとめたほうが、悩める大勢の人々にとって役に立つのではないでしょうか。
つまり、本書に載っている「生きる技術」はほとんど役に立たない、ということです。
読むなら、別の本をおすすめします。
以上、『生きテク 死ぬ技術はもういらない!8種類の問題解決法』の要約と感想でした。
結論。不必要なフォントサイズ変更もいらないし、そもそも本書も、たぶんいらない。
うつについて学ぶにはこちらの本がお勧めです。
精神科医が書いているため、信用できる内容だといえます。
うつ病には栄養不足が関係している場合があります。
あなたには、タンパク質や鉄分が足りていないのかもしれません。
自殺を考えていませんか?
自殺を防ぐ99種類の方法が本書では紹介されています。
躁うつ病を患っていた作家・中島らもによるうつ体験記です。
彼らしいユーモアを交えつつ、うつのエピソードが書かれています。
辛く苦しいときに本書を読むと、心が軽くなるかもしれません。