他者に伝わる文章を書きたい方に本書はおすすめです。
この記事では、飯間浩明著『伝わるシンプル文章術』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『伝わるシンプル文章術』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は国語辞典編纂者。いわば日本語のプロである。
文章というのは、書いた人の考えが伝わらなければ意味がない。
「問題・結論・理由」からなる、著者が考案した「クイズ文」という文章の型を使い、いいたいことをスラスラ書く方法を解説する。
以上がおもな内容です。
早稲田や成城大学で著者が行った講義をもとに書籍化したのが本書だといいます。
中級〜上級者向けの文章術だといえるでしょう。
中級〜上級者向けの文章術
著者が大学で行った文章指導の講義が、本書のベースとなっています。
したがって本書は、文章の基礎が身についている読者を想定して書かれていました。
「てにをは」や主語と述語の一致など、文章を書く上での基礎をマスターしていなければ、本書を読んでも意味がありません。
なぜなら、基本的な文章術のプラスアルファとして本書は位置付けられるからです。
つまり本書には、説得力のある文章を書く秘訣がまとめられている、ということです。
接続詞がおかしかったり、主語と述語がチグハグだったりしているのは、説得力うんぬん以前の問題です。
調味料の名前を覚えていないのにレシピを覚えるようなもの。順序というものがある。
「文章にはある程度の自信がある」という方にとって、本書は役に立つことでしょう。
読めば、いっそう論理的でわかりやすい文章が書けるようになるはずです。
覚えるべきは「クイズ文」という一つの型
「クイズ文」というものを著者は提唱しています。
これは飯間氏が考案した文章の方だそうで、「問題・結論・理由」の三つを備えた文章を指すといいます。
このクイズ文の型に当てはめて文章を紡ぐことで、説得力のある文章を書けるのだと著者は述べていました。
ところであなたは、「説得力のある文章」とはどんな文章だと思いますか?
読者にいっさい反論を思い付かせない文章でしょうか。
そうではない、と著者はいいます。
むしろその逆で、読者が反論できる文章こそが「説得力のある文章」なのだといいます。
たとえば、カレーは美味しい、という文章があるとします。
これは読者にとって反論する余地がありません。
なぜなら、筆者の主観が入っているからです。
美味しいかどうかは個人の感覚しだいですので、「カレーは美味しい」という文章にたいし、誰も反論することはできません。
あぁそうですか、ってなもんです。
いっぽうで、日本人のおよそ8割がカレーを好んでいる、という文章であれば、読者は反論できます。
この主張を覆すデータや証拠を見つけ、書き手に突きつける余地が、読者に残されているからです。
まとめ
あなたはディベートに参加したことがありますか?
本書はまるでディベートで主張するかような文章を目指していました。
というのも、ディベートというのは「なぜなら」の部分がしっかりしているほうが勝つからです。
したがってディベートにおいては、一級の資料集めこそが重要なのだといいます。
文章もおなじです。
「ディベートを踏まえて文章を書けば、より考えが深まる」と著者は述べています。
つまり文章から主観を排除し、事実を並べてロジックを組み立てようとしているわけです。
そうした意味で本書は、
- 記者
- ライター
- 一部ブロガー
など、主観を含まない文章で勝負している方に向けた本だといえるでしょう。
少なくとも、エッセイやコラムが上手になりたくて本書を手に取ると、期待外れに終わる可能性があります。
エッセイやコラムは主観的な文章なので。
以上、飯間浩明著『伝わるシンプル文章術』の要約と感想でした。
結論。論理的な文章を書きたい中〜上級者向けの本。
初心者〜中級者の方にはこちらの本がおすすめです。
本書では、読者に分かってもらえる文章の基礎が学べます。