『養生訓』の内容を図やイラストを用いてまとめてあるのが本書です。
この記事では、帯津良一編訳『養生訓』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
帯津良一編訳『養生訓』の要約と感想
まずは本書の要約から。
養生とは生命を正しく養うことをいう。
その方法を著したのが、貝原益軒の『養生訓』である。
図やイラストを使い、また医師である帯津氏の考えや経験を盛り込みつつ、『養生訓』の内容をわかりやすく解説する。
以上がおもな内容です。
貝原益軒の純粋な『養生訓』を読みたい方には本書をおすすめしません。
というのも本書には、帯津氏の言葉が混ざっているからです。
つまり純度100%の『養生訓』ではない、ということです。
帯津氏の考えや意見は必要ない
貝原益軒の『養生訓』を医師である帯津氏が解説しているのが本書です。
ゆえに、書かれている文章が、
- 貝原益軒の考えなのか
- 帯津良一の考えなのか
どちらなのかが判別できませんでした。
『養生訓』の内容をそのまま知りたい方にとって、帯津氏の言葉は不要でしょう。
まるで副音声を聞かされながら映画を観ているようで、編訳者の解説を鬱陶しく感じるかもしれません。
『養生訓』にまつわる書籍はほかにもたくさんありますので、解説が不要な方は、そちらを読むことをおすすめします。
『養生訓』はどんな内容か
貝原益軒の『養生訓』には、生命を正しく養うための秘訣(つまり健康に過ごすための心得)が記されています。
まず、養生の基本は内欲を堪えることです。
- 食欲
- 色欲
- 睡眠欲
- 言葉(喋りすぎ)
こうした欲望を抑えるところから養生は始まります。
欲望を抑えるためには、「向上心」を持って生きることが大事だといいます。
ところで、「養生」という言葉から、たっぷり寝て休む様子を想像する方がいるかもしれません。
が、養生を「ダラダラ寝て過ごすこと」と考えるのは誤りです。
むしろ「休んで怠けるのは不養生」であると貝原益軒は述べています。
惰眠を貪るのではなく、心を平静にし、体を動かすよう書かれていました。
というのも、体をつねに動かすことが養生につながるからです。
食事を終えてすぐゴロゴロしている方も注意が必要です。
「食後は休まず、激しく動かず」と貝原益軒はアドバイスしています。
たとえば、
- 散歩に出かける
- 食器を洗う
- 洗濯物を畳む
など、食後には軽く体を動かしてみてはいかがでしょう。
まとめ
本書最大の問題点は、「貝原益軒の言葉なのか、帯津良一の言葉なのか、どちらかがわからないこと」だといえるでしょう。
というのも、読者が知りたいのは「貝原益軒の考え」であるはずだからです。
もちろん、帯津氏が解説をしたり、現代のデータを紹介したりすること自体は悪くありません。
ただ、「これは帯津氏の解説です」とわかるように記載すべきだった、ということです。
たとえば、ここに芸能人のサインが入った書籍があるとします。
サイン会にて、あなたの目の前で本人がサインを書いてくれたなら、そのサインは紛れもなく本人によるものだと断言できます。
ところが、もともとサインが入っている書籍をタレント本人から手渡されたらどうでしょう。
「これはマネージャーが書いたサインじゃないよね?」と訝しみ、心にモヤモヤとした思いを抱えることになるのではないでしょうか。
そのモヤモヤが、本書にもあるということです。
なぜなら、
- 貝原益軒
- 帯津良一
どちらの主張なのかがわからないからです。
この手の本は著者(つまり貝原益軒)が主役ですので、編訳者があまりしゃしゃり出るものではありません。
編訳者が出しゃばってしまった本書は、読者のニーズを満たしていない本だといえそうです。
よって、本書はおすすめしません。
以上、帯津良一編訳『養生訓』の要約と感想でした。
結論。この養生訓は失敗作。
純粋な『養生訓』はこちらです。