問題解決で重要なのは、「問題を正しく把握すること」だといいます。
問題についておおよそのあたりをつける手法が本書では解説されていました。
この記事では、斎藤顕一、竹内さと子著『はじめての問題解決力トレーニング 図を描けば本当の問題が発見できる』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『はじめての問題解決力トレーニング 図を描けば本当の問題が発見できる』の要約と感想
まずは本書の要約から。
ターゲットとなる読者は、現場で働くビジネスパーソン。
問題を解決するにあたっては、まず問題を正しく把握しなければならない。
そのために必要なのが論理的思考力だ。
架空のパン屋を例とし、問題を見つけ、解決するまでの手順を解説する。
以上がおもな内容です。
問題解決のスキルを高めるヒントが本書から得られるかもしれません。
架空のパン屋を用いた具体例
問題をどのように発見し、どのような手法を使って解決するのかが本書には記されています。
とはいえ、汎用性のある方法だけが書かれているわけではありません。
架空のパン屋を例に出し、
- パン屋の売り上げ
- パン屋の問題点
- パン屋の問題を解決する方法
などが紹介されています。
つまり、コンサルタントが実際に問題解決を行う様子が載っている、ということです。
パン屋を経営している読者にとっては役に立つのかもしれません。
が、パン屋の経営者でない読者(つまりほとんどの読者)にとって、本書の手法をどう応用したらいいのかがわかりにくく、不親切だといえます。
タイトルには「はじめての」とありますが、それほど初歩的な内容ではないでしょう。
プロのコンサルタントが問題を解決する一部始終を見せるから、テクニックをマネてくれ、ってなもんです。
入門書には適していません。
図を描いて問題を把握する
「問題を見つけるには図を描くのが重要だ」と著者は述べています。
なぜなら、事実をビジュアル化することによって、会社や事業が抱えている問題に気付きやすくなるからです。
事実というのは、すなわち数字です。
売上、来客数、客単価、リピート率などを集計し、チャート化し、どんな問題があるかを探っていきます。
事実ベースで状況を押さえなければ問題理解の入り口に立てない、と著者はいいます。
そうして先述の通り、パン屋に関する架空の数字が並べられ、分析され、「これが問題だ」ってな感じで課題が炙り出されていました。
本書を読めば、パン屋の分析方法はよくわかります。
ただし、あなたがアパレルショップ経営者であったり、ブロガーであったりすれば、本書の内容を応用しなければなりません。
それが厄介で面倒だ、ということです。
本書のタイトルには「すべてのパン屋さんに捧ぐ」と一言入れるべき。
まとめ
問題解決とは文字通り、問題を見つけ、解決する一連の流れをいいます。
本書のタイトルは「はじめての問題解決力トレーニング」となっていますが、本書が一冊目にふさわしいかといえば、ふさわしくありません。
なぜなら、(入門書にしては)内容がやや難しめで、読者の応用力が求められるからです。
つまり本書の問題は「内容が具体的すぎること」だといえます。
抽象的すぎてもわからない。バランスが大事。
たとえるなら、「はじめての夫婦問題解決トレーニング」という本があるとして、ずっとAさん夫妻の家庭についてのみ解説しているようなものです。
Aさん夫妻の問題は解決したけれど、読者がおなじ問題を抱えているわけではないし、もうちょっと普遍的かつ汎用的なテクニックを教えて欲しい、といった読後感を(本書からも)味わうことでしょう。
以上、斎藤顕一、竹内さと子著『はじめての問題解決力トレーニング 図を描けば本当の問題が発見できる』の要約と感想でした。
結論。入門書としてはわかりにくい。おすすめしない。
問題解決力を身につけたい方には、入門書としてこちらの本をおすすめします。
「個別具体的な例」で文章量をかさ増しすることなく、問題解決の本質が書かれている良書です。