『死ねない時代の哲学』の要約と感想

医療技術が発達し、人々がなかなか死なない時代になっています。

長寿社会を生きる私たちに、「死」について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

 

この記事では、村上陽一郎著『死ねない時代の哲学』の要約と感想をご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『死ねない時代の哲学』の要約と感想

f:id:MORIKO:20200822210823p:plain

まずは本書の要約から。

 

医療技術が発達し、死が遠い存在になった。

だが、死は避けられないものであるがゆえに、死について考える機会が必要である。

 

私たちは死をどういう形で迎えるのか、社会として死をどう考えるか、安楽死の是非など、答えのない「死」をテーマに哲学する。

 

以上がおもな内容です。

「死」についてじっくり考えたい方に本書はおすすめです。

遅かれ早かれ死ぬのであれば、今から考えておいても損はない。死に直面してからあたふたするよりは。

 

安楽死をどう考えるか

なかなか死ねない時代において注目されているのが、安楽死です。

安楽死とは、本人の意思によって死を選び、致死性の薬物を服用する、あるいは延命行為を中止することを指します。

 

安楽死については世界各国で議論されており、実際に安楽死が合法となっている国も存在します。

日本では法律で安楽死が認められていないため、薬物投与等による死を選ぶことはできません。

 

本書では、さまざまな国の安楽死にたいする考え方、安楽死の事例などを紹介し、この問題について論じています。

タイトルに「哲学」とあるように、著者が持論を述べるというよりは、安楽死の是非について考える過程に重きが置かれていました。

 

安楽死に賛成派、反対派の意見がそれぞれ紹介されており、いずれも説得力を持っています。 

読者が安楽死について考えるきっかけを本書が与えてくれる、といえるでしょう。

 

 

どのような最期を迎えたいか

病気になって終末期を迎えたとき、どのような死が望ましいか具体的に考えておくべきだ、と著者はいいます。

 

なぜなら、いざ病に冒されて死に直面したとき、冷静な頭で死について考えることは難しいからです。 

死に直面していないうちに「死生観」を持つことが、より良い終末を迎える助けになるといいます。 

 

  • 胃瘻を造設するか
  • 1日でも長く生きることが善か
  • 死はどんな場合でも避けるべきか
  • 安楽死を選べるとしたらどうするか
  • 自殺についてどのように考えるか

などについて考えることで、 自らの死生観を築くことができるでしょう。

死生観を持つ人は多くない」と著者はいいます。 

 

死について、そろそろ一度考えておいても良いのかもしれません。

なぜなら、 自分がいつ死ぬか、誰にもわからないからです。

 

なんの根拠もなく、ただ漠然と「自分は平均寿命くらいまでは生きるだろう」などと考えていませんか? 

 

まとめ

死、とりわけ安楽死について多く扱っている本でした。 

国内外で起こった事例をもとに、安楽死をはじめとする死について考えるきっかけを、本書はわれわれに与えてくれます。

 

死について、明確な答えはありません。 

安楽死を善とする意見もあれば、悪とする意見もあります。

 

重要なのは、私たち一人ひとりが死生観を持ち、あらかじめ自身の死について考えておくことだといえるでしょう。

なぜなら、死が迫ってからでは、パニックに陥って冷静に考えられない可能性があるからです。

 

村上先生の豊富な知識に触れながら、あなたも自らの死生観を築いてみませんか?

すべて医者任せではなく、患者自身が考え、判断を下さなければならない時代において、「どのような最期を迎えたいか」を考えておくことは必須だといえます。

 

死ねない時代の哲学 (文春新書)

死ねない時代の哲学 (文春新書)

 

以上、村上陽一郎著『死ねない時代の哲学』の要約と感想でした。

結論。本書はすべての人におすすめ。なぜなら、すべての人がいずれ死ぬ運命にあるから。目を背けていてもいつか死ぬなら、いっそ直視し、死について考えておくべき。