2020年代をひとことでいえば、「人口減少に伴う課題がいよいよ深刻化する時代」だそうです。
人口減少によってどのような問題が生じるのかが本書には書かれていました。
この記事では、河合雅司著『全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表』の要約と感想
まずは本書の要約から。
河合氏による『未来の年表』シリーズの図解版が本書である。
これからの日本が人口減少とともにどうなっていくのかを、図を用いて解説している。
2020年代最大の悩みは、勤労世代(20〜64歳)の減少だ。
近い将来に日本で起こる悲劇を紹介しつつ、打開策として「戦略的に縮むこと」を提言する。
以上がおもな内容です。
本書に書かれているのはけっして明るい未来ではありません。
読めばきっと日本の将来に絶望し、やるせない思いになることでしょう。
「それでもいいから、これから日本で起こるであろうことを知りたい」という方はぜひ読んでみてください。
日本の暗い未来について
人口減少に歯止めがかからず、少子高齢化がどんどん進んでいる日本社会では、これからさまざまな問題が顕在化するといいます。
たとえば2030年には、銀行や大学、老人ホームが地方から消えるだろうと本書には書かれていました。
なぜなら、全国の都道府県のおよそ8割が生産力不足に陥ると予想されるからです。
働き手がいないためにサービスを維持できなくなる、ということです。
そもそも2020年代には日本人女性の2人に1人が50際以上になるといいます。
少子化がさらなる少子化を招き、出生数回復への望みはますます薄くなる、と著者は述べていました。
人口が減り、労働力が不足し、とりわけ地方においてさまざまなサービスが破綻するだろう、というのが本書のおもな指摘内容です。
2050年には世界的な食料争奪戦に巻き込まれる、との記述もあり、もはや未来には夢も希望もありません。
日本の人口は減っているが、世界人口は増えつづけているので。
読めば読むほど虚しい気分になります。
新型コロナウイルスにはノータッチ
本書が残念なのは、新型コロナウイルスにいっさい触れていないことです。
というのも本書は、新型コロナウイルスが流行する前に出版されているからです。
新型コロナが世界中に広まり、経済やわれわれの生活様式は一変しました。
これだけ大きな事象が起これば、未来の年表にもなんらかの影響が及ぶはずです。
これまで『未来の年表』シリーズで書いた予言がいくつも的中していると、著者は自慢げに語っていました。
そんな自信満々の著者がコロナ禍を「予言」できなかったのは、皮肉なことです。
コロナ禍によって世界が大きく変わったいま、本書の内容をどこまで当てにできるのかはわかりません。
つまるところ、未来の予測はたいへん難しい、ということです。
本書の内容を鵜呑みにするのではなく、「河合氏は日本の将来をこう考えているらしい。ずいぶん悲観的な人だな」くらいに捉えておくと良いでしょう。
精神衛生的にも。
まとめ
「不安を煽ると商売がしやすい」を具現化したような本です。
『未来の年表』シリーズがバカ売れしているのは、それだけ現代人の多くが不安を抱えていることの裏返しだといえるでしょう。
これから起こるであろう問題の解決策は申し訳程度にしか書かれておらず、ほとんどが読者の不安を煽る内容となっています。
わざわざお金を払い、時間を使い、心をザワザワさせ、気分を落ち込ませることなどあるのでしょうか。
私たちの力でどうにかできる問題ではないとしたら、「なるようになるさ」くらいの心持ちで過ごすのも悪くないはずです。
なぜなら、将来を悲観していてもどうにもならないからです。
私たちの将来は真っ暗かもしれませんが、『未来の年表』シリーズがバカ売れし、図解版まで出版できた著者に関しては、印税に支えられた明るい未来が待っていることでしょう。
以上、河合雅司著『全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表』の要約と感想でした。
結論。読者の恐怖心を散々煽っておいて、解決策を示さない無責任な本。つまり、読者をただ嫌な気分にさせるだけの本。後味最低。精神を鍛錬したい方以外にはおすすめしない。
将来や老後が不安な方は、ぜひこちらの本を読んでみてください。
お金の重要性を説いている本です。
私たちが今すぐできる「貯蓄」を与沢氏は勧めています。