睡眠ファースト、つまり生活において睡眠を最優先にすれば、人生の質がもっと高まるといいます。
「睡眠の質は、人生の質そのものだからだ」と著者は述べていました。
睡眠にたいして、もったいない、時間の無駄だ、などと感じている方は本書を読むべきかもしれません。
この記事では、友野なお著『眠れないあなたを救う「睡眠ファースト」』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『眠れないあなたを救う「睡眠ファースト」』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は睡眠コンサルタントを名乗る人物。
睡眠の質は人生の質そのものであり、睡眠はけっして時間の無駄などではない。
体内の老廃物をデトックスし、脳に溜まったストレスを整理するのは、睡眠中にしかできないことだからだ。
眠りの準備、睡眠のメカニズム、賢く眠る方法、深い睡眠を得るための脱ストレス法など、睡眠の質を高めるポイントを解説する。
以上がおもな内容です。
「睡眠時間をもったいないと感じるべきではない」というのが、本書最大のメッセージかもしれません。
著者はかつて「睡眠は時間の無駄だ」と思い、睡眠時間を削って生活していたそうです。
その反省や教訓を生かしたアドバイスが本書には載っています。
なぜか全ページ紫色
内容ではなく、本書のビジュアル面で気になった点があります。
見出しやイラストなどが、すべて紫色のみで統一されている点です。
「べつに紫色だって問題ないじゃん」
そう感じた方もいるでしょう。
ただ、本書には、
- グリーンエクササイズ
- 寝室に赤いモノは置かないこと
といったアドバイスとともに、自然のなかで女性がくつろぐイラストや、寝室のイラストが描かれているのです。
グリーンエクササイズ(自然と触れ合うこと)でリフレッシュしよう、などといいながら、イラストはすべて紫色です。
公園に生えている木も、草も、花も、ベンチも、人間も、ぜんぶ紫色なのです。
気色悪い。
グリーンエクササイズであれば、せめてイラストは緑色で描くべきでしょう。
現実に合わせた色で描いたほうが、イラストを見た読者が場面をイメージしやすいからです。
寝室に赤い物を置かないほうが良い(赤は人を興奮させる色だから)、といいながら、やはり紫色だけで寝室のイラストが描かれています。
これではイラストの意味がありません。
イラストで読者の理解をサポートするのではなく、ただページ数を嵩増ししたいだけなのか。
「寝室から赤いモノを排除しよう」という項目であれば、赤いモノを「赤色」で描くのが妥当ではないでしょうか。
誰のためなのかわからない謎のこだわりが炸裂しており、読者への配慮がありません。
編集者の自己満足ともいえるデザインに、読者は辟易させられること必至です。
やるべきことの列挙
著者がもっとも伝えたいメッセージは、「睡眠時間はけっして無駄じゃない」という、これです。
上のメッセージが本書の核であり、あとは小手先のテクニックがまとめられています。
- 深呼吸
- 公園に行く
- アロマオイル
- マインドフルネス瞑想
- 夜はクヨクヨ悩まない
- 良かったことを10個挙げる
- 寝室に赤いモノを置かない
- 就寝前1時間はブルーライトを浴びない
など、本書にはやるべきことがズラズラと書かれていました。
結局のところ、どれがもっとも重要なのか、いまいちよくわかりません。
だからといってすべて実践するには時間が足りず、ぜんぶやろうと思ったら、睡眠時間を削るハメになりそうです。
広く浅いアドバイスがたくさん並べてある本書は、「マインドフルネス瞑想」についての説明を見開き1ページで終えています。
マインドフルネス瞑想は、それだけで1冊の本になるほど深いテーマですが、著者は見開き1ページでサラッと触れて終了としていました。
説明が足りず、マインドフルネス瞑想を読者が行うのは難しいといえるでしょう。
「夜はクヨクヨ悩まないこと。とりあえず寝れば、明日には解決する」といったアドバイスも載っていました。
「言うは易く行うは難し」の典型例です。
つまり本書には、役に立たないアドバイスもいくつか混ざっている、ということです。
まとめ
全ページ紫色で統一されている、気色が悪い本でした。
「睡眠ファースト」を掲げているだけあって、本書は読者のことを考えていません。
理解のしやすさは二の次、ってなもんです。
書籍であればせめて、読者ファーストにするべきでしょう。
謎の配色こだわりファースト。
タイトルには「眠れないあなたを救う」とありますが、本書の内容では、ほとんどの読者の救助に失敗するに違いありません。
さまざまな不安やストレスを抱えて眠れない読者にたいし「夜はクヨクヨするな。とりあえず寝よう」とは、目を疑ってしまうアドバイスです。
日本人の多くは抵抗があるようですが、眠れないのであれば精神科へ行き、睡眠薬を処方してもらう手もあります。
ですが本書には、睡眠薬を飲む、という選択肢すら記されていません。
せめて選択肢として提示し、読者に決定権を委ねても良いのではないでしょうか。
睡眠薬や精神科に抵抗があるなら、読者は近づかなければ良いだけ。
著者の睡眠の質はさぞ高いのでしょうが、本書の質はイマイチでした。
以上、友野なお著『眠れないあなたを救う「睡眠ファースト」』の要約と感想でした。
結論。眠れないあなたが頼るべきは、本書ではない。不眠にお悩みなら、"睡眠コンサルタント"ではなく、専門医に相談してはどうか。