私たちの物欲は、どこまでいっても満たされることがありません。
たとえば、欲しかったスマートフォンを買ったとします。
購入当日は嬉しいに違いありません。
ですが、しだいに喜びは薄れ、スマホの魅力はなくなり、当たり前のものになり、やがて私たちは最新モデルを手に入れたくなります。
- 靴
- 洋服
- バッグ
- 腕時計
- 自動車
- アクセサリー
など、さまざまなモノにいえることです。
われわれの物欲には際限がないのです。
ではいっそ、モノを買わないほうがマシなのでしょうか。
どうせ所有に慣れて、いずれ飽きてしまうなら、お金を払ってモノを手に入れるだけ損なのでしょうか。
この記事では、
- 物に慣れるのは仕方ない
- 物欲を抑えるデメリット
など、「物欲にはキリがないから物を買うのはお金の無駄なのか」について書きました。
ぜひ参考にしてみてください。
物欲にはキリがないから物を買うのはお金の無駄なのか
どんなに欲しかったバッグも、腕時計も、クルマも、いざ買ってみるとだんだん魅力が薄れてくるものです。
なぜなら、私たち人間がさまざまなことに「慣れる」ようにできているからです。
心理学において馴化という。
時間とともにモノに慣れ、所有する喜びが薄れていくのは仕方ありません。
われわれはあらゆるモノやコトに慣れるため、バッグを買ってきた当初の喜びを、1年後も、3年後も、10年後もキープしつづけるのは不可能なのです。
むしろ、おなじバッグを見て毎日毎日はしゃいでいる人がいたら、そちらのほうがよほど不自然で恐ろしいでしょう。
とはいえ、モノの所有に慣れるからといって「物を買っても意味がない」と結論づけるのは、短絡的です。
そう単純な話ではありません。
物欲が向上心を刺激する
物欲に振り回された人間は、ただお金を浪費するだけでしょうか。
答えはノーです。
場合によって物欲は、私たちの向上心やモチベーションを刺激する「良いもの」にもなるのです。
GAPからGUCCIへ
たとえば、洋服で考えてみます。
ファッションに興味を持つようになった若い男性が、アパレルブランドGAPで洋服を買うようになったとします。
GAPの商品はどれも手頃な価格で買えますし、「GAP」というロゴがアイコンとなり、パーカーやTシャツがなんだかお洒落に見えます。
ですが、1〜2年もすれば馴化によってGAPに飽き、この男性はもっと高級な洋服を着たくなります。
そこで次に目をつけたのがポロ・ラルフローレンです。
ラルフローレンの「ポニー」が刺繍されたパーカーを着ることで、男性は満足感を得ます。
GAPのパーカーは1着5000円ほどで買えていましたが、ラルフローレンのパーカーは1着1万5000円、GAPの3倍の値段がします。
高い洋服を着ている自分は偉くなったような気がします。
そして、ふたたび馴化が発動します。
男性はポロ・ラルフローレンに魅力を感じなくなり、次はさらに高価格帯のポール・スミスで洋服を買うようになります。
もちろん、馴化が発動します。
男性はポール・スミスに慣れ、ポール・スミスの洋服では満足できなくなり、さらにハイブランドであるグッチの服を欲しくなります。
このような物欲の増大はファッションに限らず、車でも、腕時計でも、あらゆるモノで生じます。
上の男性は「物欲にはキリがない」を体現している典型的な例ですが、言い換えれば「向上心にはキリがない」ともいえるのではないでしょうか。
物欲を満たしまくるススメ
今よりももっと高品質な物が欲しくなるのは、向上心の現れです。
それを「どうせ飽きるからお金の無駄」だと自分に言い聞かせ、物欲を抑えこむのは、不自然ではないでしょうか。
自分に嘘をついている、ということです。
先ほどの男性がラルフローレンへの憧れを抑えこみ、「欲望にはキリがないからGAPで良いんだ」と考えたなら、そしてGAPに満足したなら、この男性には成長がありません。
むしろ、われわれは手が届く範囲でどんどん贅沢をし、「高いけれど欲しい物」を買うべきではないでしょうか。
買っても買っても、「永遠の満足」を得ることはありません。
なぜなら、私たちはどんな高級ブランドにも、高級腕時計にも、高級車にも、時間とともに慣れてしまうからです。
だからこそ良い、といえます。
というのも、物欲を解き放ち、高級な物を手に入れる過程で、どうじに人間的成長を果たすことができるからです。
モチベーションが高まる
いまの所有物よりも高価なものが欲しくなったら、それだけお金が必要になります。
これまでとおなじような働き方をしていたら、物欲を叶えることは難しいでしょう。
お金がなければ、人間は知恵を使います。
- 出世する
- 副業を始める
- 複業を始める
- 独立してフリーになる
- 起業する
- 投資する
など、現在よりも収入を増やす手立てを考え、方法を調べ、検討し、できそうなことを実行するでしょう。
なぜなら、欲しい物を買うためには、もっとたくさんのお金が必要だからです。
このように、私たちを行動へ導き、成長させてくれるきっかけに、物欲はなり得ます。
物欲を否定し、悟りを開いたかのように「これで満足なのです。足るを知るなのです」だなんてお利口なことをいっていたら、そこで成長が止まってしまいかねません。
まとめ
「モノには飽きるから、お金は経験に使ったほうが良い」
といったアドバイスを、あなたも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
モノよりも経験にお金を使ったほうが幸福度が高い、あるいは高い幸福度が持続する、というのは心理学的に証明されているそうです。
ただ、「モノには飽きる」からこそ、モノにはモノの良さがあるのです。
「あの5年前の旅行は最高だったなぁ。また行きたいなぁ」だなんて、まるで後期高齢者のような生き方をしていて楽しいと思いますか?
国産スポーツカーにはもう飽きたから、次はポルシェのボクスターに乗りたい。
ボクスターを買ったら、今度はポルシェ911が欲しくなった。
ポルシェ911を買ったら、今度はマクラーレン720Sが気になり出した。
このように足るを知らず、満足しないままどこまでも上へ上へと登っていく人生も、悪くないのではないでしょうか。
以上、物欲にはキリがないから物を買うのはお金の無駄なのか、でした。
結論。あなたにとって欲しい物があるなら、物欲を否定する必要はない。「もっと上に行こうぜ」と物欲があなたを引っ張り上げようとしているのだ。お金がないなら、知恵がある。
お金を儲けようとして、安易な方法に頼らないようご注意ください。
値上がりする株をあなたに教えてくれる人間など、地球上にひとりも存在しません。
どうせお金を稼ぐなら、「自分が好きなこと」をやって稼ぎたいものです。
好きなことで稼ぐには、仕事の本質を知ることです。