経済理論とは、すなわち人間の心理です。
したがって本書を読めば、人間について詳しくなれます。
自分自身や他人の気持ちがよくわかるようになる、ということです。
この記事では、大村大次郎著『教養として知っておきたい33の経済理論』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『教養として知っておきたい33の経済理論』の要約と感想
まずは本書の要約から。
損失回避の法則、囚人のジレンマ、ナッジ理論、アダム・スミスの経済理論、マルクス資本論などをわかりやすく解説している。
ビジネスで役立つものから、「教養」として最低限知っておきたい理論まで、さまざまな経済理論を紹介。
経済理論とは、人間の心理そのものである。
したがって経済理論を学ぶことで、結果として、人間についての理解を深められるだろう。
以上がおもな内容です。
経済や人間心理に興味のある方に本書はおすすめです。
わかりやすい言葉で書かれているため、経済について知らない方であっても本書なら問題なく読めるでしょう。
損失回避の法則
本書で紹介されている33の経済理論のなかに、損失回避の法則というものが存在します。
これはプロスペクト理論とも呼ばれ、 私たちが「儲けよりも損失を重要視すること」を表しています。
この損失回避の法則を嫌というほど見てきた、と著者は語っていました。
というのも、著者は元国税調査官だからです。
国税調査官として彼は、利益を出すことよりも、支払う税金を抑えることに執着している経営者を何人も見てきたのだといいます。
経営者であれば、節税に執着するよりも売上アップに執着すべきですし、そのほうが合理的です。
なぜなら節税額には限度がありますが、売上額には天井がないからです。
1000万、1億、1兆円と売上はどこまでも伸ばしていけれます。
ところが残念なことに、世の中の少なくない経営者たちは、税金を「損失だ」と捉え、支払う税金が1円でも安く済むよう躍起になってしまうわけです。
もちろん、経営者でない一般の人々にも、損失回避の法則は働いています。
あなた自身はどうでしょうか。
儲けよりも損失を重視し、得られるはずのお金を逃していたりはしませんか?
「せどり」に挑戦しようと思ったがやめた、とか。
このように人間の心理や思い込みをわれわれに気づかせてくれるのが、本書の魅力です。
あなたも使える「譲歩的依頼法」
本書のなかには、私たちが実生活で使える理論も含まれています。
たとえば、譲歩的依頼法がそれです。
譲歩的依頼法とは、まず相手に重い依頼をしてから、軽い依頼を承諾してもらう方法をいいます。
彼女が彼氏に「30万円のバッグが欲しい」とお願いしたとします。
ここでのポイントは、30万円のバッグを買ってもらえると彼女が思っていない点にあります。
もちろん30万円のバッグをすんなり買ってもらえればラッキーですが、世の中のたいていの彼氏は、彼女のおねだりを却下するでしょう。
なぜなら、30万円というのは大金だからです。
そこですかさず彼女は「じゃあこっちの12万円のバッグが欲しい」と彼に頼むわけです。
最初の依頼を断っている彼氏は、次の依頼も断るのは申し訳ないと考えます。
ゆえに、彼が12万円のバッグ購入を了承してくれる可能性がグッとアップするわけです。
本書には、「10万円を貸して欲しい。からの、1万円を貸して欲しい」といった例が載っていました。
譲歩的依頼法とはつまり、一度断った相手の罪悪感につけ込む手口だ、といえます。
ずる賢いやり方ですが、知っておいても損はないでしょう。
あるいは、相手にこのテクニックを使われないように防御するためにも、知っておくべきです。
営業販売など。5万円のこの商品はどうですか?じゃあ、2万円のこちらなら?と畳み掛けられないよう注意。
まとめ
経済理論がわかりやすくまとめられている本です。
上でご紹介した〜理論のようなものから、「資本主義とはなにか」といったことまで、経済について広く学べるのが本書の特徴です。
たとえばあなたは、マルクス資本論をご存知でしょうか。
マルクス資本論において、労働者はかならず資本家から搾取される、とされています。
つまり労働者(会社員など)は、資本家(経営者など)をよりいっそう豊かにするために働かされ、生み出した利益を搾取される、というわけです。
私たちが生きているこの資本主義社会、そして経済についての学びは、より賢い人生へあなたを導いてくれるに違いありません。
たとえば、搾取する側の人間(経営者)になってやろうと一念発起したり。
以上、大村大次郎著『教養として知っておきたい33の経済理論』の要約と感想でした。
結論。知っていれば得をするし、知らなければ損をする。そんな知識が詰まっている本。