依存症は現代病である、と著者は指摘していました。
なぜなら、多様化した価値観のなかで方向性を失い、生きがいを喪失した現代人は、概して心のバランスを乱しやすいからです。
大事なのは、依存症になってから治すことではなく、そもそも依存症に陥らないことです。
すなわち「予防」です。
この記事では、榎本稔著『よくわかる依存症 ゲーム、ネット、ギャンブル、薬物、アルコール』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『よくわかる依存症 ゲーム、ネット、ギャンブル、薬物、アルコール』の要約と感想
まずは本書の要約から。
頭ではわかっているけれどやめられない、それが依存症である。
依存症の対象はゲームやネット、ギャンブル、薬物、買い物、アルコールなど多岐にわたる。
依存症かどうかを見極める目安や、依存行動の詳細、その治療法について解説する。
依存症患者にたいして家族はどう接するべきかについても紹介しており、患者本人だけでなく、周囲にとっても本書は参考になるはずだ。
以上がおもな内容です。
依存症という病気を理解したい方に本書はおすすめです。
運動依存症やカフェイン依存症など、気づいていないだけで、あなたも何らかの依存症に陥っているかもしれません。
依存症とは何なのか
依存症とは、頭でわかっていながら、どうしてもやめられない状態をいいます。
私たちが依存する対象はさまざまで、
- ドラッグ
- アルコール
- カフェイン
- スイーツ
- ゲーム
- ネット
- スマホ
- ギャンブル
- 恋愛
- 運動
- 買い物
- 痴漢
- 盗撮
- のぞき
- 性行為
などが本書では挙げられていました。
依存の対象は、モノ、行為、人の3つに分類できるといいます。
とはいえ、難しいのは「どこからが依存症なのか」の線引きです。
たいていの人はゲームで遊ぶのが好きですし、買い物をすると楽しい気分になります。
お酒を飲んでストレスを発散している人もいることでしょう。
ではこれらの行為を毎日していたら依存症なのかといえば、そうではありません。
話はそう単純ではないのです。
依存症には4つの特徴があるといいます。
- 強迫性:執着する
- 反復性:繰りかえす
- 衝動性:考えずに行動する
- 貪欲性:エスカレートする
この4つすべてが揃っていた場合、依存症の可能性が高いのだと本書には記されていました。
たとえばアルコール依存症なら、
- 朝からお酒を飲む
- 数時間おきにお酒を飲む
- 家族に隠れてお酒を飲む
などの行動をとっているなら、その人物はアルコールに依存している可能性が高いといいます。
つまり、治療する必要がある、ということです。
アルコール依存症患者は平均寿命が52〜53歳と短命だという。
依存症になるきっかけは?
私たちが依存症になるきっかけはさまざまだといいます。
- 不安
- 悩み
- ストレス
などが引き金となり、依存症に陥る人も少なくないそうです。
それから著者は、アダルト・チルドレンについても言及していました。
アダルト・チルドレンとは、アルコール依存症の親のもとで育ち、大人になった人を指します。
現在ではアルコール依存に限らず、ギャンブル依存や薬物依存、暴力をふるう親など、機能不全家族に育てられ、そのまま大人になった人全般を「アダルト・チルドレン」と呼ぶそうです。
アダルト・チルドレンは、ふつうなら当然受けられるはずの愛情を実感できないまま成長します。
彼/彼女らは無条件に愛された経験がないため、自己肯定感が低く、自分に自信が持てないことが多いといいます。
こうした幼少期のトラウマが、恋人や配偶者への過度な依存、あるいはギャンブルやアルコール、ネットへの依存につながる可能性があるのだそうです。
依存症が親子で連鎖してしまうとは、なんともやるせない現実です。
まとめ
依存症についてわかりやすくまとまっている本でした。
依存のメカニズムについては、依存行為で快感を得たときに、脳内でドーパミンやβエンドルフィンといった快感ホルモン(神経伝達物質)が多量に放出され、快感や興奮が脳に記憶されることで、繰りかえされると考えられているそうです。
したがって、私やあなたにとっても無縁の話ではありません。
依存症は病気であって、「私は意思が強いから依存症にはならない。大丈夫」などと断言できるようなものではないのです。
依存症に陥らないためには、依存症について理解し、依存性のあるモノやコトとは一定の距離を置くのが良いのかもしれません。
たとえば、アルコールはいっさい飲まないとか。お酒を一滴も飲まなければ依存症にはならない。
以上、榎本稔著『よくわかる依存症 ゲーム、ネット、ギャンブル、薬物、アルコール』の要約と感想でした。
結論。依存症についてよくわかる本。依存症は現代病だという。あなた自身も無関係ではないし、あなたの家族や恋人もまた、なにかに依存してもおかしくはない。ゆえに、依存症について知っておいて損はない。
依存症はお金儲けに利用されることがあります。
私たち消費者をあるモノやサービスに依存させ、時間やお金を使わせることで、企業は利益を得るわけです。
依存症ビジネスの実態については上の本が参考になります。
Amazonでオールフリーを箱買いするメリットに関して、当サイトにはこんな記事があります。