「会社に行きたくない」という気持ちは、心身の不調を表すサインだといいます。
出社したくないとき、私たちはどうすれば良いのでしょう。
本書には精神科医のアドバイスが載っています。
精神科へ行かずして精神科医の助言を得られるのが、本書のメリットです。
この記事では、和田秀樹著『会社に行きたくない。さて、どうする?』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『会社に行きたくない。さて、どうする?』の要約と感想
まずは本書の要約から。
「会社には行くべき。休むことなど許されない」とあなたは考えていないだろうか。
このような「かくあるべし思考」が多くの日本人を苦しめている。
行きたくないときには、無理をしてまで会社へ行く必要などない。
SOSを無視していたら、ポキッと心が折れ、ほんとうに会社へ行けれなくなってしまうかもしれないのだ。
精神科、うつ病、前向きになれる習慣など、ビジネスパーソンのメンタルヘルスについて精神科医が説く。
以上がおもな内容です。
会社へ行くのが億劫だと感じる方に本書はおすすめです。
うつ病かもしれない
会社へ行きたくないからといって、うつ病だと断定するわけではありません。
会社へ行きたくないのは、程度の差はあれ誰だっておなじです。
たいていのビジネスパーソンは、仕事を億劫に感じ、職場の人間関係を嫌い、「働かずに生きれたらいいのに」などと考えています。
一攫千金を夢見て宝くじを買う人もいる。
ですが、もしも週末に気分転換を図っても気分が沈んだままだとしたら、「うつ病を疑うべき」だと著者は述べていました。
うつ病ではなく、適応障害を発症している可能性もあるといいます。
休日に好きなことをすれば、気分が晴れるのが一般的。気持ちが塞いだままだったら要注意。
適応障害は新型うつ病(正式な病名ではない)などとも呼ばれ、うつ病のような憂鬱感が少なく、抗うつ薬が効きにくいのだそうです。
ところが、適応障害の患者は不調感が強く、自殺するケースも少なくないと著者は指摘していました。
つまるところ、「会社へ行きたくない」という気持ちを無視すべきではない、ということです。
なぜなら、出社したくない気持ちは精神疾患の現れかもしれないからです。
したがって著者は、メンタルの調子が悪いと思ったら精神科を受診するよう読者に勧めていました。
心の病にたいする日本人の誤解
著者は「メンタルが不調のときには精神科を受診してほしい」とアドバイスしています。
このメッセージにたいして、あなたはどう感じるでしょうか?
心のどこかに、なんとなく、精神科を敬遠する気持ちがあるのではないでしょうか。
実際、精神科を訪れる日本人はごく少数だと著者は述べていました。
なぜならここ日本では、心の病にたいして「本人の心の弱さが招くもの」と考えている人が大半だからです。
したがって悩めるビジネスパーソンは、
- 弱い自分を変えればどうにかなる
- 自分の努力が足りていないだけだ
などと考え、専門医を遠ざけ、誰にも相談できず、ひとりで悩みを抱え込む傾向にあるといいます。
多くの日本人が「心の病は恥だ」と考えているからです。
アメリカには、気軽に精神科へ行く文化があるという。
本書を通して著者がもっとも伝えたいのは、「うつ病は心の弱さが原因ではない」というメッセージでしょう。
うつ病は脳の機能低下により発症するものであって、精神力でどうこうできるものではありません。
気合でがんを退治できないのとおなじです。
軽度のうつ病であれば、早期治療によって回復する可能性が高くなるといいます。
つまるところ、『会社に行きたくない。さて、どうする?』という本書タイトルにたいする著者のアンサーは、「会社を休み、精神科に相談しよう」だといえそうです。
まとめ
- 心の病は恥だ
- 自分がいないと仕事が回らない
- 休むと職場の人たちに迷惑がかかる
- 会社を休んではいけない
- 出社しなければならない
- 会社に行きたくない気持ちは甘えだ
このように考えている方は、本書を読んだほうが良いかもしれません。
なぜなら、上のような考えはすべて「思い込み」に過ぎないからです。
本書のなかで著者は「自分よりも会社を守ろうとしていないか」と読者に問いかけていました。
あなた自身はどうでしょうか。
自らの心と体の健康よりも会社を優先しているとしたら、注意が必要です。
著者のメッセージに触れ、思い込みから解放されることをおすすめします。
大事なのは会社よりも、自らの健康。
「会社に行くべき」という思い込みから自由になれれば、気持ちがいくらか楽になることでしょう。
ときには会社を休んでも良いですし、退職、転職、部署異動をしたって良い、そうした選択肢が増えるからです。
あなたが本書を読むメリットは、
- 精神科医に相談する選択肢を得られる
- 「〜べき思考」の苦しみから逃れられる
おもにこの2つです。
くわえて、メンタルを前向きにする10の習慣なども本書では紹介されていました。
会社へ行くのが億劫な方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
精神病院へ行かずして、精神科医のアドバイスが得られるおトクな本です。
おまけに待ち時間はありませんし、初診料より安い値段で済みます。
以上、和田秀樹著『会社に行きたくない。さて、どうする?』の要約と感想でした。
結論。休んだって良い。会社が絶対ではない。精神科に相談する手もある。心の病はけっしてメンタルの弱さが原因ではない。
仕事とメンタル不調の関係については、こんな本もあります。
仕事を辞めたいと上司に伝えにくいなら、退職代行サービスを使って会社を辞める手があります。