『文豪どうかしてる逸話集』の要約と感想

当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

正岡子規は『古今和歌集』を「しょーもない」と酷評したといいます。

夏目漱石は1日でジャム1瓶を食べてしまうほどの甘党だったといいます。

 

文豪たちの破天荒なエピソードが詰まった一冊です。

 

この記事では、進士素丸著『文豪どうかしてる逸話集』の要約と感想をご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 

『文豪どうかしてる逸話集』の要約と感想

f:id:MORIKO:20200926173636p:plain

まずは本書の要約から。

 

文豪は変わった人が多い。

江戸川乱歩は大の人間嫌い、永井荷風は365日南蛮そばを食べていた、宮沢賢治はベジタリアンになろうとして挫折、夏目漱石はアイスクリーム製造機を購入、坂口安吾の部屋はいわゆる汚部屋だった、など。

 

文豪たちの人間味あふれる一面を、くだけた読みやすい文章で紹介。

 

以上がおもな内容です。

文豪たちの「意外な一面」を知れる本です。

 

本書を読んでいるうちに「もっと自分も好き勝手に生きようかな」と思えてくるかもしれません。 

 

文豪どうしの関係性がわかって面白い

本書が良いのは、文豪たちの関係性について書かれている点です。

 

たとえば、正岡子規と夏目漱石が親しい仲にあったことをご存知でしょうか。

 

「漱石」というペンネームは、もともと正岡子規が使っていた俳号のひとつだといいます。

それを夏目漱石が気に入り、譲ってもらったのだと本書には書かれていました。

 

結核を患い、死が近くなってきた正岡子規は、夏目漱石の家に転がり込みます。

そして2ヶ月連続で毎日うなぎを食べ、代金はすべて漱石に支払わせていたそうです。

当時の心境について漱石は、「毎日うなぎはしんどい」と綴っています。 

 

太宰治は芥川龍之介の大ファンでしたが、本人には会えていないといいます。

なぜなら、太宰が18歳のとき、芥川龍之介(35歳)が睡眠薬により自殺してしまったからです。

 

ショックのあまり部屋に引きこもった太宰は、以後、「作家の死とはこうあるべきかもしれない」と考えるようになったといいます。

なるほど、何度も自殺未遂を繰りかえした太宰治は、芥川龍之介の影響を受けていたのかもしれません。 

 

このように本書では、さまざまな文豪たちの関わりについて書かれています。

ただ珍奇なエピソードが並べてあるだけではありません。

 

文豪どうしの意外な交友関係まで知れるのが、本書の魅力です。

 

 

文豪たちのどうかしてるエピソード

本書のメインは、文豪たちの「普通ではないエピソード」です。

逸話はすべて出典が示してあり、信用できる内容だといえます。

 

文豪の代表作と簡単なあらすじも書かれているため、これまで知らなかった文豪を知るきっかけにもなるでしょう。

 

さて、肝心の「どうかしてる逸話」についてです。 

 

たとえば宮沢賢治は、 法華経の説話を読み、ベジタリアンになることを決意したそうです。

5年ほど彼のベジタリアン生活は続きましたが、ついには挫折します。

面白いのは、「今日も誘惑に負けてしまいました」という報告を、宮沢賢治が友人に送っていた点です。

 

彼がベジタリアンでもそうでなくても、周囲には関係ありません。

自白しなければ、肉や魚を食べてしまったことなど誰にもバレないでしょう。

 

それをわざわざ「今日も誘惑に負けてしまいました」と友人に報告する宮沢賢治は、ピュアというか、お茶目というか、かわいらしい人物です。

 

それから宮沢賢治は「性欲は人をダメにする。仕事の邪魔だ」と語っておきながら、本人は春画集めが好きだったそうです。

春画はかつてのエロ本のようなもの。

 

現実は、なかなか理想通りにはいかないものです。

宮沢賢治の人間味あふれる一面を知ると、ますます彼に興味が湧いてくる、あるいは好きになってしまうのではないでしょうか。

 

内田百間は借金をすることに慣れすぎてしまい、借金のことを「錬金術」と呼んでいたそうです。

しかも、借りたカネを生活費に使うのは素人だとし、借金は徹底して放蕩に費やすべきだ、というハチャメチャな持論を述べていたといいます。

どうかしています。

 

正岡子規は毒舌で、紀貫之を「下手クソ」と酷評したそうです。

永井荷風は変わった性癖の持ち主で、自ら娼屋をつくり、そこに覗き穴をあけ、毎晩のように覗きを楽しんでいたといいます。

坂口安吾は入ってきた原稿料をほとんどすべて酒に使ってしまったそうです。

 

文豪、どうかしています。

 

まとめ

思わずニヤッとしてしまうエピソードが満載の一冊でした。 

 

中学や高校の教科書に載っていた文豪が、あれほど堅苦しい文章を書く文豪が、まさかこれほど「どうかしている人間」だとは思わないからです。

 

多くの文豪に共通しているのは、わがままだ、ということでしょう。

周囲の迷惑など顧みることなく、自分がやりたいことをやる、食べたいものを食べる、欲しいものにお金を使う、といった具合です。

 

借金を「錬金術」と呼んだ内田百間だけでなく、ノーベル文学賞を受賞した川端康成も、旅館の宿泊料金を一銭も払うことなく踏み倒したといいます。

わがままで、非常識で、だらしない、そんな人間が作家に向いているのでしょうか。

 

文豪たちにたいするイメージがガラッと変わる、面白い本でした。 

 

文豪どうかしてる逸話集

文豪どうかしてる逸話集

  • 作者:進士 素丸
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 単行本
 

以上、進士素丸著『文豪どうかしてる逸話集』の要約と感想でした。

結論。現代人は真面目すぎる。もっと文豪を見習うべき。うなぎを他人に奢らせ、大御所に噛みつき、部屋は散らかし、借金は踏み倒しちゃえ。医師に「糖尿病です」と診断されても、甘いもの食べまくっちゃえ。

 

www.shortshortshort.jp

有名人の意外な一面を知れる本としては、こちらもおすすめです。