著者のJini氏は、ブログを通じて好きなゲームを推しつづけたことでメディアから声がかかるようになり、現在は「好きなものを説明する技術」を売って生計を立てているといいます。
本書には「好きなものを上手に推せれるようになれば著者のように稼げるかもしれないよ」ってなメッセージが記されていました。
この記事では、Jini著『好きなものを「推す」だけ。共感される文章術』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『好きなものを「推す」だけ。共感される文章術』の要約と感想
まずは本書の要約から。
自分が好きなものについて情報を発信しよう。
ネット時代の現代は、自分が素晴らしいと思うものを社会に認めさせることができる。
だからこそ、「推す力」が重要なのだ。
自らの「推し」を広めるために欠かせない、共感を呼ぶ文章術、テクニックについて解説する。
以上がおもな内容です。
そもそもの話として、自分の好きなものを他者に強要する意味がわかりませんでした。
- このネコの動画かわいいでしょ
- このゲーム面白いからやってみなよ
- ここのカレー超うまいから食べなきゃ損
って、どれも余計なお世話です。
好きなものがあって、それに満足しているなら、わざわざ他人を巻き込む必要性がどこにあるのでしょうか。
『好きなものを「推す」だけ。嫌われるお節介』に本書は改題すべきです。
企業にとって都合の良い人間になるススメ
企業は顧客に宣伝するよりも、顧客に宣伝してもらうにはどうしたら良いかを考える立場になりつつある、と著者は指摘していました。
企業が商品やサービスをワーワーと宣伝するよりも、お客にファンになってもらい、ファンとともにワーワーと宣伝したほうが効果が高い、ということです。
そして著者が勧めている「好きなものを推す文章」とは、企業の宣伝活動の一端を担え、といっているに過ぎません。
企業にとって都合の良い人間(商品を熱くPRする存在)になれば、企業から声がかかり、報酬をもらえるかもしれないよ、ってなもんです。
つまり本書は、企業にとって都合の良い人間になるススメ、でしかありません。
企業に媚を売って生きるのに疲れたのでしょうか、Jini氏自身は現在、本書をはじめとした「好きなものを説明する技術」を売って食べています。
- 好きなゲームについてブログに書いていた
- メディアから声がかかった
- お金を稼げるようになった
- 好きなものを推す技術を体系化した
- 技術を売って儲けている
著者はいまこの段階で、いわゆるツルハシビジネスへと移行しているわけです。
ラッキーボーイ(ガール?)が書いた「企業に媚を売って生きるススメ」には、共感できません。
本書の文章術は役に立つか?
本書は「共感される文章術」に多くのページを割いています。
- 推しにたいする情熱と理解が大事
- 比喩を使おう
- 固有名詞は削ろう
- 形容詞も削ろう
- 素直さは欠かせない
- ネガティブな点にも言及しよう
このように、共感を呼ぶ小手先のテクニックが満載でした。
基本的な文章力を身につけていなければ、本書を読んでも意味がないでしょう。
たとえるなら、一度も映画を撮影したことのない人間が「観客を泣かせる映画作り」を学ぶようなものです。
まずはカメラワークやカットなど、撮影の基礎を学ばなければ映画は撮れません。
「泣ける映画」うんぬん以前の問題です。
主語と述語の一致、必要最低限の語彙力など、文章の基礎を押さえていなければ、「共感される文章術」を学んでもムダだ、ということです。
共感される文章術にマスターするだけの価値があるかどうかは別問題。
まとめ
「自分だけが知っている推しを、皆に認めさせたくはないだろうか」
と読者に向かって著者は問いかけています。
あなたはどうでしょう。
あなたが好きなもの(人でも商品でも)を、世間に認めさせたいと思いますか?
私にはいっさい理解できない感情でした。
なぜなら、好きなものは人それぞれであって、わざわざ他人に「認めさせる」必要などないからです。
もし本書が大人気となり、影響を受けた誰も彼もが「これって素晴らしいんだよ!」とブログやSNSで発信しだしたらどうでしょうか。
「お前の好きなものなんか知らねぇよ」ってなもんではないでしょうか 。
著者が目指す世の中は、騒々しくて、好きになれそうにありません。
彼氏や彼女、妻や夫の自慢(ノロケ話)ばかりする人を、あなたはどう思いますか?
それが「好きなものを推している人」です。
ちょっと私は御免です。
イタい人になりたくなければ、あなたも、好きなものを推すのだけはやめておくのが賢明です。
以上、Jini著『好きなものを「推す」だけ。共感される文章術』の要約と感想でした。
結論。共感できず。
ブログなどを通して文章を書いている方には、こちらの本がおすすめです。
わかりやすい文章を書くためのコツがわかりやすく解説されています。
あなたがブロガーであれば、『バズる文章教室』というタイトルに惹かれるのではないでしょうか。
この書籍を買うか買わないかを決める前に、私の感想を読むか読まないかを、いまここで決めてください。