デジタル・ミニマリストを名乗る著者が、スマホを自分仕様にカスタマイズし、フル活用する術を紹介しています。
端的にいえば、まるでスマホの取扱説明書みたいな本、です。
この記事では、飯島彩香著『ミニマリスト スマホの中を片付ける』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『ミニマリスト スマホの中を片付ける』の要約と感想
まずは本書の要約から。
前著『スマホひとつで暮らしたい』につづく2冊目の本。
スマホ以外のものをほとんど手放した著者が、デジタル・ミニマリストの意地とプライドをかけ、スマホの中身までスッキリ片付けていく。
「スマホを効率よく最大限に使いこなせれば人生が変わる」を標榜する彼女が、SNSの活用法、メルカリの活用法、スマホを使ったお金の管理術などを解説する。
以上がおもな内容です。
要は、ミニマリストが「スマホの使い方」を説明している本です。
本書はそれ以上でも、それ以下でもありません。
スマホの中を片付けるメリットとは?
「スマホの中が散らかっているのは、部屋が散らかっているのとおなじこと 」だと著者は述べていました。
両者はほんとうにおなじでしょうか。
いえ、まったく違います。
部屋が散らかっていると、
- 掃除をしにくい
- ホコリが溜まりやすい
- リラックスできない
- 室内を移動しにくい
- 探している物を見つけにくい
このようなデメリットが生じかねません。
いっぽうで、スマホの中が散らかっていても(アプリだらけの状態?)、なんら支障はないといえます。
スマホに山ほどアプリをインストールしたところで、咳が出たり、つまづいて転んだり、スマホの重量が20g増えたりはしません。
「アプリを探す手間が省けること」
これが、スマホの中を片付ける(唯一にして最大の)メリットだそうです。
それだけかよ、ってなもんです。
散らかった部屋で爪切りを探すのと違い、スマホにインストールしてあるアプリを、1時間も2時間もかけて探す人はいません。
なぜなら、アプリはすぐ見つかるからです。
そもそもたいていのスマホアプリは無料でダウンロードできるため、どんどんアプリを増やしたとしても、損はしません。
使っていないアプリを削除すべき理由(アプリを探す手間が省ける)が弱すぎます。
ミニマリストが差別化を図っただけの本
世の中には自称"ミニマリスト"が溢れています。
ミニマリストの人口は、まったくもってミニマムではありません。
ところで著者は、前著の『スマホひとつで暮らしたい』という本がきっかけで人生が変わり、現在は会社員を辞め、「スマホを使ってミニマルライフを発信すること」を仕事としているそうです。
群雄割拠のミニマリストレッドオーシャンで勝ち抜くためでしょうか。
飯島氏は肩書きを前著の「ミニマリスト」から本書の「デジタル・ミニマリスト」へとアップグレードさせ、差別化を図っています。
デジタル、掛ける、ミニマリズム、イコール、生き残り、ってなもんです。
ただ残念なことに、スマホの中を片付けるメリットは「アプリを探しやすくなること」しかないそうなので、デジタル・ミニマリストを名乗る著者の活動は、前途多難だといえるでしょう。
- SNSの活用法
- メルカリの活用法
- スマホは家電のリモコンにもなるよ
- 薬手帳や診察券もスマホで管理できるよ
など、スマホの片付けとは程遠い内容ばかりが書かれている本書は、ただの「スマホの取扱説明書」でしかありませんでした。
著者は「スマホひとつで人生を変えられる時代だ」と主張しています。
彼女がスマホで人生を一変させられたのは「アウトプット」をしたからです。
けっして、
- スマホ決済を導入したから
- スマホを家電のリモコンにしたから
- 薬手帳と診察券をスマホで管理したから
人生が変わったわけではないのです。
本書を読み、彼女のマネをしたところで、私たち読者の人生は変わりません。
変わるのは、せいぜい「アプリを探す手間が省けること」くらいです。
「情報格差はやがて貧富の差になる」と著者は述べていました。
本書に載っている程度の情報であれば、知っていても、知らなくても、貧富の差につながることはないでしょう。
まとめ
一冊の本として、無理があります。
なぜなら、終始スマホの活用方法を説いているだけだからです。
著者が推奨するようにスマホを使いこなせても、人生は変わりません。
スマホ依存症になる、という意味では変わる可能性がありますが、マイナス方向に変わってしまうのは不本意です。
「私はスマホを使ってミニマルライフを発信して人生を変えたよ。そんな私のスマホの中はいまこんな感じ」
という感じの本でした。
それよりも興味深いのは、著者の動向です。
- ミニマリスト
- デジタル・ミニマリスト
このように、著者の肩書きは遷移しています。
モノやアプリが増えるのは嫌がる飯島氏ですが、肩書きの字数が増えることは、気にしないようです。
もし3冊目の本が出版されるとしたら、いったいどんな肩書きで、今度はなにをスッキリさせたよ、と報告してくれるのでしょうか。
夫、ではないことを願っています。
あるいは彼女の夫が『ミニマリストの妻に捨てられない夫になる方法』ってな本を出版するのも、次の段階としては悪くありません。
以上、飯島彩香著『ミニマリスト スマホの中を片付ける』の要約と感想でした。
結論。ミニマリストの世界で生き残るには、マキシマムな努力が必要だと感じさせられる本。モノをポイポイ捨てるだけでお金がジャラジャラ入ってくるほど、楽な世界ではないらしい。ちなみに本書は、ただのスマホ取扱説明書。
飯島彩香氏の前著はこちらです。