自殺と自死、それから自決は、どれも「自らの手で自らの命を絶つこと」を指す言葉です。
ただし、これら3つの単語はそれぞれニュアンスが異なっており、まったくおなじ意味を持つわけではありません。
自殺と自死、自決はどのように使いわけたら良いのでしょうか。
この記事では、
- 自死は自殺の婉曲表現
- 自決には責任が伴う
など、「自殺と自死、自決の違い」についてわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
自殺と自死、自決の違いとは
自殺、自死、自決、いずれの言葉も、自らの手で命を絶つ行為を指しています。
自殺と自死に意味の違いはありません。
自殺の婉曲表現、すなわち自殺を遠回しに表現したのが、自死です。
「自らを殺す」と書くよりも「自ら死す」と書いたほうが、字面の激しさを抑えられます。
したがって、自殺という言葉の使用に抵抗があるとき、自殺の代わりに「自死」という表現を用いることがあります。
たとえるなら、トイレのことを遠回しに「お手洗い」と表現するようなものです。
自殺した作家
歴史に名を残す作家のなかには、自殺を図って人生の幕を閉じた者も少なくありません。
たとえば、『羅生門』などの作品で知られる作家の芥川龍之介は、睡眠薬を多量摂取し、自殺しています。
『武器よさらば』などの作品で有名な作家のアーネスト・ヘミングウェイは、飛行機のプロペラに飛びこもうとするなどし、生涯のうちで何度も自殺未遂を図っています。
最期は散弾銃で自らの頭部を撃ち、彼は自殺しました。
芥川もヘミングウェイも、精神を病んでいたとされています。
自殺と深い関係にあるのがうつ病です。
うつ病患者は希死念慮(自殺願望)を抱き、場合によっては実行してしまうことがあります。
自決とは何か
なんらかの意思表示や責任を取るための自殺を自決と呼びます。
自殺という行為に、
- 責任を取るため
- 強い抗弁のため
といった意味合いが含まれている場合、その自殺は「自決」と表現します。
自殺のなかの自決、野菜のなかのブロッコリー、そんなイメージです。
自殺や自死には暗いイメージが漂っていますが、自決には、ある種の潔さがあるのが特徴です。
自決した作家
『金閣寺』などの著書で知られる作家の三島由紀夫は、自決をした人物のひとりです。
三島由紀夫は憲法改正のために自衛隊の決起を呼びかけ、その直後に短刀で割腹自殺をしました。
抗弁(強い主張)のための自殺であることから、彼の死は自殺ではなく、「自決」と表記されるのが一般的です。
1970年11月25日に起こったこの事件は、三島事件と呼ばれています。
2014年には、集団的自衛権に反対する男性が、新宿で焼身自殺を図りました。
命は取りとめたため、自殺ではなく自殺未遂です。
彼はスピーカーを使って1時間ほど演説をした後、ペットボトルに入れてあったガソリンを頭から被り、持っていたライターで火をつけました。
もし彼が命を落としていたら、彼の焼身自殺は「自決」と呼ばれていたことでしょう。
ちなみにこの騒動は、一部始終をおさめた動画がネット上で拡散されたことで、当時話題となりました。
まとめ
自殺と自死、自決の違いについてお伝えしてきました。
自殺の婉曲表現が自死です。
責任を取るため、強い抗弁や意思表示のための自殺が、自決です。
それぞれの言葉には微妙なニュアンスの違いがあり、それぞれ使い分けることができます。
もちろん、すべてを「自殺」としても問題ありません。
なぜなら、自殺と自死はイコールの関係ですし、自決は自殺のなかに含まれているからです。
すべてを自殺を呼ぶこともできますが、そのときの空気や死の理由によって、自死や自決を使い分けられるようになると、日本語力がワンランク高まります。
本記事を参考にし、ぜひ自殺と自死、自決をうまく使い分けてみてください。
以上、自殺と自死、自決の違いについてでした。
結論。自らの手で命を絶つのが自殺。遠回しに表現すると自死。抗弁や意思表示、責任を取るための死であれば自決。
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