スマホから出ている電磁波の危険性を説いている本です。
がしかし本書には、電磁波に関する説明がいっさいありませんでした。
「そもそも電磁波ってなんなの?」という読者の疑問を解消してくれない、不親切な内容だといえます。
この記事では、村上剛著『寝るときにスマホをベッドに置いてはいけない』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『寝るときにスマホをベッドに置いてはいけない』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師である。
本書では、スマホから出る電磁波が脳に及ぼす悪影響について説いている。
不眠や疲労、内臓不調、頭痛、肩こり、腰痛、うつなど、身体や心の症状を引き起こす原因になっているのが「電磁波」だと著者は考える。
電磁波の危険性や、電磁波の影響を避ける方法について解説する。
以上がおもな内容です。
一言でいえば、本書はトンデモ本です。
科学的根拠のない一個人の偏見が述べられているだけで、読むに値しません。
電磁波が健康に悪影響を及ぼす科学的証拠はない
著者が説いているのは、電磁波が人体に及ぼす悪影響です。
紫外線や放射線が細胞へダメージを与えるように、電磁波もまた、人間の脳波を乱し、さまざまな不調を引き起こすのだと著者はいいます。
ただし、電磁波が健康被害を引き起こしているとする科学的根拠は、いまのところ提示されていません。
つまり、電磁波が人体に悪影響を及ぼすかどうかはまだわかっていないのが現状だ、ということです。
それでも著者は、「電磁波は身体に悪い」と言い切ります。
なぜなら、柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師としての経験を通して、電磁波は悪いと感じているから、だそうです。
科学的根拠はないけれど、電磁波が人体に悪影響を及ぼし、不眠や疲労、内臓不調、頭痛、肩こり、腰痛、うつなどを引き起こしていると思うのだ、ってなもんです。
電磁波にたいして著者は、なにか個人的恨みでもあるのでしょうか。
電磁波に関する説明がゼロ
本書には重大な欠陥があります。
というのも、なぜか著者は電磁波を周知のものとして扱っており、電磁波について説明していないのです。
- 肥満が及ぼす悪影響
- 昼寝の危険性
- 喫煙のリスク
このようなテーマの本であれば、わざわざ昼寝や喫煙について説明する必要はないでしょう。
なぜなら、昼寝や喫煙は誰もが知っていると思われるワードだからです。
ただ、電磁波について誰もが知っているかといえば、答えはノーです。
あなたは電磁波がどんなもので、なにから生じるのか、説明できるでしょうか。
「なぜ寝るときにスマホをベッドに置いてはいけないんだ? 」とタイトルに惹かれて手にとった読者が、電磁波について詳しく把握しているとは限りません。
少なくとも電磁波は、喫煙や昼寝よりはマイナーな知識です。
電磁波とは……という説明が本書にはあって然るべきです。
まるで、「いきなり重たいものを持つとぎっくり腰になっちゃうよ」と主張する本のなかで、ぎっくり腰とは何なのかが説明されていないような感じで、読後感は最低でした。
電磁波って結局なんだったんだ……と、モヤモヤすること必至です。
まとめ
科学的証拠が提示されているわけではないけれど、私は、電磁波が人体に悪影響を及ぼすと思っている。
電磁波がなんなのかは教えないけど、とにかく、電磁波は悪い。
寝るときにスマホをベッドに置いておくと、身体が電磁波の影響を受けて、不眠、疲労、内臓不調、頭痛、肩こり、腰痛、うつなどを引き起こすかもしれないよ。
科学的根拠はないけどね。
ザックリいえば、本書はこんな内容です。
もし書店や図書館に並べるとしたら、健康カテゴリーではなく、UFOなどとおなじオカルト・超常現象のカテゴリーに分類するのが良いでしょう。
本書には科学的根拠だけでなく、読む価値も、ありません。
以上、村上剛著『寝るときにスマホをベッドに置いてはいけない』の要約と感想でした。
結論。本を買うときに本書を選んではいけない。科学的根拠のない電磁波に恐れるのは、幽霊を恐れているのとおなじ。「寝るときにベッドのまわりに塩をまけ」みたいなこと。
電磁波を恐れるよりは、食品添加物を気にしたほうが良いのではないでしょうか。
隕石が当たって死ぬ心配をするよりも、交通事故で死ぬ心配をしたほうが良いのとおなじです。
電磁波を恐れるよりは、リーキーガットを気にしたほうが良いのではないでしょうか。
彼女に食器用スポンジをプレゼントするよりも、ネックレスをプレゼントしたほうが良いのとおなじです。