うつ病になるのは「精神力が弱い人間だ」と決めつけていませんか?
運動をしていればうつ病にはならない、と信じていませんか?
うつ病にかかり、自殺未遂にまでいたった漫画家の著者(すでに寛解)が、うつ病の実態について解説している本です。
うつ病を正しく理解したい方に本書はおすすめです。
この記事では、錦山まる著『マンガでわかる うつ病のリアル』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『マンガでわかる うつ病のリアル』の要約と感想
まずは本書の要約から。
漫画家としてプロデビューした著者は、直後にうつ病と診断され、仕事にドクターストップがかかる。
26歳のときに症状が悪化して自殺未遂をし、精神病院に入院。
現在は寛解した著者が、うつ病にたいする誤解や偏見を解くために書いたのが本書である。
カラーの4コマ漫画と文章で、うつ病について解説する。
以上がおもな内容です。
身近にうつ病患者がいる方など、うつ病を正しく理解したい方に本書はおすすめです。
うつ病を理解しやすい
読みやすい本でした。
- カラーの4コマ漫画
- 解説
- カラーの4コマ漫画
- 解説
と繰りかえされており、テンポ良く読み進められます。
おまけに、漫画に登場するキャラクターは明るく、解説はくだけた文体で書かれています。
いずれも、うつ病にたいする「暗っぽいイメージ」を払拭するための工夫でしょう。
本書が優れているのは、構成だけではありません。
解説文ではしばしば「喩え」が使われており、この喩えが読者の理解をサポートしてくれていました。
たとえば、メンタルが強いからうつ病にならないと思い込むのは、「自分はがんにならない」と断言しているようなものだ、といった比喩です。
誰もがうつ病になりうることを、わかりやすく伝えています。
あるいは、「咳だけなくしたインフルエンザのような症状」といった表現です。
うつ病になると精神面だけでなく、身体面にも症状が出ることを、わかりやすく表しています。
うつ病になると身体症状にも苦しめられる。
うつ病にかかったことがない人間は、うつ病患者の辛さを理解できません。
ぎっくり腰の経験がない人間は、ぎっくり腰の辛さを理解できないのとおなじです。
ただ、「うつ病がどのような辛さなのか」を想像することならできます。
本書を読めば、あなたの家族や恋人、友人が苦しんでいるうつ病の辛さを、イメージできるはずです。
想像以上に辛い「うつ病のリアル」を知って驚くかもしれません。
本書を読んで損はない理由
どんな人であれ、本書を読んで損はありません。
なぜなら、うつ病は誰もがなりうる病気だからです。
どれだけポジティブでも、落ち込まない性格でも、家系にうつ病患者がいなくても、仕事がうまくいっていても、大金持ちでも、運動習慣があっても、犬を飼っていても、無関係です。
うつ病は心の病ではなく、脳の病気です。
ゆえに、私やあなたを含め、すべての人にとってうつ病は無縁ではありません。
そしてうつ病が恐ろしいのは、患者に希死念慮(自殺願望)を抱かせ、実行させてしまうことがある点です。
メンタルの調子がおかしいと思ったら、精神科を受診するよう著者は勧めていました。
ところであなたは、精神病院に足を踏み入れた経験がありますか?
- 精神疾患の人は暴れる
- 精神疾患の人は奇声を発する
このようなイメージを抱き、精神病院を敬遠している人も少なくありません。
ですが、精神病院にたいする恐ろしいイメージは誤解だ、と著者は切り捨てます。
精神科に来ている患者は、皮膚科や眼科の患者となんら変わらない、と著者は述べていました。
重症患者が集まる閉鎖病棟も「意外にふつう」だったそうです。
精神病院を受診すれば、抗うつ薬の処方など、医師に適切な対応をしてもらえます。
あえて病院を遠ざけて、死に近くことなどありません。
向精神薬の副作用についても、本書では言及していました。
「薬を飲むのはなんだか怖い」という方にとって、参考になるのではないでしょうか。
まとめ
うつ病についてわかりやすく解説してある良書でした。
- うつ病は気持ちの問題ではない
- 「元気そうだね」と言わないで
- うつ病プラス生理のツラさは地獄
- 精神疾患の患者を助ける経済支援制度
など、本書を読めば、うつ病を正しく理解できます。
身近にうつ病患者がいるなら、接し方が変わるかもしれません。
なぜなら、うつ病患者の感情や苦しみを、多少なりともイメージできるようになるからです。
身近にうつ病患者がいなくても、うつ病に関する知識を持っておいて損はありません。
大地震に備えて自宅に「非常食」を準備しておくようなもので、うつ病に関する知識は、いざというときに役立つことでしょう。
たとえば、メンタルがおかしいと感じたら、精神病院を敬遠せず、早期治療を受けられるだけでも大きいといえます。
「うつ病に関する知識」を脳内にストックしておきませんか?
以上、錦山まる著『マンガでわかる うつ病のリアル』の要約と感想でした。
結論。うつ病のリアルがわかる本。読めば、偏見や思い込みを払拭できる。自分がうつ病になったらどうするべきかをイメージできる。がんについて学ぶようなもので、知っていて損はない。
うつ病について、当サイトではこんな本も紹介しています。