集中力を高め、効率よく仕事をこなすためのノウハウが書かれている本です。
- 重要なところが太字
- 重要なところにマーカー加飾
といった読みやすい工夫が本書にはいっさいなく、似たようなビジネス書のなかでは読みにくい部類に入ります。
くわえて文章は「だ・である調」ですので、堅苦しい部類にも入ります。
すなわち、読みにくくて堅苦しいのが本書です。
この記事では、田場信広著『短時間で成果を出す スゴイ集中力』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『短時間で成果を出す スゴイ集中力』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者はビジネスコンサルタント。
起きてからの3時間が、もっとも集中できるタイミングである。
ビジネスパーソンにとって大事なのは、この時間帯を有効に使うことだ。
15分おきに休憩をとる、タスクに優先順位をつける、スマホの電源はオフにしておくなど、短時間で成果を出すためのノウハウを解説する。
以上がおもな内容です。
本書が良い本だとはいえない理由を、以下でお伝えしていきます。
内容が薄い
最新の薄型テレビに負けないくらい、本書の内容は薄っぺらでした。
- 起きてから3時間がもっとも集中できる
- 15分を目安に休憩をとれ
- タスクに優先順位をつけろ
これが本書のすべてだといっても過言ではありません。
あとは「議論や意見交換のない会議には意味がない」など、集中力とはなんの関係もない主張が書かれていたりするだけです。
あるいは、「1日が24時間であると考えること自体が、幻や勝手な思い込みだと理解すべき」といった、わけのわからない主張もありました。
1日24時間がすべての人に平等にあると考えるのは誤解だ、と著者はいいます。
なぜなら、24時間という絶対的な数字は変化しないが、
- 時間がなくバタバタしている人
- 効率よく仕事をしている人
両者に流れている時間はまったく違うから、だそうです。
平等である24時間の使い方が上手い人、ヘタな人がいるだけのような気がしますが、著者は「1日が24時間だなんて誤解だ」とキッパリいい切ります。
冒頭から「1日が24時間だなんて幻だと理解せよ」というスピリチュアルな主張をぶっ放し、「この本、大丈夫か?」と読者を不安にさせる本、それが本書です。
目新しさがとことん無い
本書には、目新しい情報がいっさい載っていませんでした。
グラビアアイドルの写真集に男性がいっさい出てこないのとおなじくらい、"いっさい"です。
- 効率
- 集中力
これらに関する巷のビジネス書との差異がない、ということです。
ほかのビジネス書と内容が被っていることは著者も自覚しているようで、「他の本で読んだことのある内容も出てくるだろう」と予言していました。
ちなみにこの予言は、大的中します。
ノストラダムスも真っ青です。
それからつづけて「だが、知っていることと実践していることには大きな差がある」とも著者は述べていました。
悪くいえば言い訳ですが、主張はその通りです。
たしかに、ノウハウばかり溜め込んでも、実践しなければ意味がありません。
宝の持ち腐れになってしまいます。
がしかし、本書の内容が「行動をしやすいよう工夫してあるか」といえば、答えはノーです。
理屈を並べているだけで、読者にたいして具体的なアクションを示していません。
「とことん実践的」であればともかく、
- 太字なし
- マーカー加飾なし
- だである調
というように、巷のビジネス書に劣りつつ、おなじ内容が記されているのが本書です。
美味しいもやしとマズいもやしがいずれも1袋20円で売っていたら、美味しいもやしを買うのではないでしょうか。
わざわざマズくて質の悪いもやしを買う理由がないからです。
この「マズいもやし」に相当するのが本書です。
ゆえに買って読む必要性はないといえます。
まとめ
ビジネス書にありがちな内容を、
- 太字なし
- マーカー加飾なし
- だである調
こうしたストイックな姿勢でまとめているのが本書です。
内容の薄さを誤魔化したいのか、しばらく読み進めても、著者がいいたいことが何なのかハッキリしません。
1日が24時間だという認識は間違っているのであーる、ってな調子でファンタジーな持論を展開しつつ、著者はページ数を稼いでいました。
おそらくは、名刺代わりの一冊といったところでしょう。
著者はビジネスコンサルタントですので、仕事を取りやすいよう、出版で権威を獲得したかった、のだと推測します。
でなければ、私たちが「他の本で読んだことのある内容」を、
- 太字なし
- マーカー加飾なし
- だである調
こんなふうに改悪して出版したりはしないだろうからです。
以上、田場信広著『短時間で成果を出す スゴイ集中力』の要約と感想でした。
結論。ありがちなビジネス書の改悪版。
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