本書は、先っちょにしかチョコクリームが入っていないチョココロネのようなもので、読者を「騙された」ってな気分にさせること請け合いです。
なぜなら全5章のうち、「毒消し食」について触れているのは第1章だけだからです。
では残り4章がどうなっているのかとえば、メンタルについての(抽象的な)精神論が(延々と)書かれていました。
文章力にも難がありますし、あえて読む必要はないでしょう。
この記事では、小垣佑一郎著『心の不調をなくす毒消し食』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『心の不調をなくす毒消し食』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は歯科医。
栄養を変えればメンタルも変わるとし、1章を割いて「心の不調をなくす毒消し食」を解説する。
残り4章を使い、感謝しよう、忠誠心が大事だ、実力を養おうといった「心構え」を説く。
以上がおもな内容です。
某コンビニで売っているサンドイッチは、断面に具材をたっぷり見せておいて客を誘い、実際のところ断面以外は具材がスカスカだったりします。
騙されて買った消費者としては「え、ハムやレタスががみっちり詰まってると思ったのに」ってなもんです。
そんなガッカリトラップが、本書にも仕掛けてありました。
毒消し食、第1章で姿を消す
メンタルの健康に作用する食べ物、それらを「毒消し食」と著者は呼んでいます。
がしかし、本書のキモである毒消し食は、第1章で早々と姿を消しました。
まるで、試合開始10分で主審にレッドカードをもらい、退場するサッカー選手のようです。
つまり、早すぎる、ということです。
残りの4章はというと、メンタルを健康に保つためのアドバイスに割かれていました。
結果として私たちは、
- 毒消し食じゃないのかよ
- 歯科医師がメンタルを語るのかよ
ってな違和感を抱き、モヤモヤし、精神的ストレスが溜まります。
著者が説く心構えは、
- 実力を養おう
- 感謝を忘れずに
- 忠誠心が大事だ
- 現実や事実を正確に見よう
などと抽象的で、役に立ちません。
そもそも本書にたいして読者は、このような精神論を求めていません。
なぜなら、私たち読者が期待しているのは「メンタルを健康に保つための食事」についての解説であって、「感謝の気持ちを忘れない大切さ」についての解説ではないからです。
クレープの上部にだけフルーツやクリームが載っていて、食べ進めたら中がスカスカだったかのような「裏切られた感」、あれを本書でも味わうハメになります。
何回読んでもわからない、難解な文
いったん、以下の文章を読んでみてください。
低血糖や飢餓状態(断食・栄養失調など)では、グルタミン酸の放出が誘導されるということも生じ、脳から過剰なグルタミン酸が除去される能力を減少させてしまいます。
1回読んだだけで内容を理解できた方は、森鴎外クラスの天才です。
すば抜けたIQを持っているに違いありません。
ちなみに、2回目で理解できた方も、3回読んでやっと著者の言わんとしていることがわかった方も、やはり天才です。
グルタミン酸が放出されるのに、脳から過剰なグルタミン酸が出ていかなくなるとは、矛盾しているのではないでしょうか。
まるでハイデガーの哲学書を読んでいるかのようで、チンプンカンプンです。
上のようなわかりにくい言い回しの文章に、専門用語がバンバン盛り込まれていました。
わかりにくいプラスわかりにくい、イコール全然わからない、です。
まとめ
タイトルから逸れた内容が、わかりにくい文章で書かれている本、それが本書です。
買うべき人はいません。
健康に良い食べ物について学びたい方は、
こちらの本を読むと良いでしょう。
メンタルヘルスに関心のある方は、歯科医が書いたメンタル本ではなく、精神科医が書いたメンタル本を読むべきです。
以上、小垣佑一郎著『心の不調をなくす毒消し食』の要約と感想でした。
結論。読者の読む気をなくす価値無し本。
うつを改善するための食事に関して、当サイトではこんな本も紹介しています。