タイトルに「まんがでわかる」とある本はたいてい、分かりやすさを売りにしています。
ところが本書は、マンガでありながら分かりにくいという、奇跡的な本でした。
本書を読むくらいなら、妻と会話をしたほうがよほど「妻のこと」を知れるでしょう。
この記事では、根本裕幸監修『まんがでわかる 妻のこと』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『まんがでわかる 妻のこと』の要約と感想
まずは本書の要約から。
円満な夫婦生活を送るために、夫は何を意識するべきなのだろうか。
「子はかすがい」は誤りで、実際は、出産や育児の時期に多くの夫婦がすれ違う。
妻の話をよく聞く、相槌を打つ、自分の意見はいわないなど、夫は妻とどう接するべきなのかをマンガと解説文で説く。
以上がおもな内容です。
なぜ本書には読む価値がないのか、その理由を以下でお伝えします。
マンガがわかりにくい
本書に載っているマンガには、わかりやすさの欠片もありません。
まず、「妻のこと」を説くだけの内容にもかかわらず、計23人ものキャラクターが登場します。
登場人物が多すぎます。
登場人物がいすぎて、まるで『カラマーゾフの兄弟』みたいになっていました。
読んでいて混乱すること必至です。
さらに悪いことには、キャラクターの描き分けが雑で、ベースとなる顔はほぼいっしょです。
たとえば男性なら、
- 主人公と髪型が違う(これで1人)
- 主人公の目の下にホクロプラス(これで1人)
- 主人公に眼鏡かけさせた(これで1人)
ってなもんで、誰が誰なのか、区別がつきません。
なぜなら、みんな主人公に顔がソックリだからです。
主人公のドッペルゲンガーが頻出するマンガは、さながら間違い探しのようで、内容が頭に入ってきません。
誰かがしゃべるたびに巻頭へ戻り、相関図を開き、「あぁ、コイツは会社の同僚か」と確認するハメになります。
6つ子の『おそ松さん』 ならともかく、「妻のこと」を解説する本でこの描き分けは、ナシです。
文章が堅苦しく長ったらしい
本書の構成は、
- まんがパート
- 解説パート
- まんがパート
- 解説パート
このように、イラストと解説文が交互になっています。
まんがパートでは主人公の男性が妻をイライラさせてばかりで、「こうすると良い」といったアドバイスは出てきません。
アドバイスは、解説文に載っています。
「主人公の言動はどこが悪かったのか見ていきましょう」ってな具合です。
ただ、この解説文もまた、わかりやすさとはかけ離れていました。
まず、文章力に難があります。
- 隣の芝生は青く見えるといいますが
- 姿勢反響ともいわれますが
- 恋愛テクニックもあるようですが
など、本書では逆接ではなく、順接の「〜が」が多用されていました。
順接の「〜が」を用いるデメリットは、一文が長くなることです。
結果として冗長な文章がダラダラと続いており、要点がイマイチわかりません。
「まんがでわかる」とある本書を手に取るのは「わかりやすさ」に期待する読者のはずですが、期待に反し、本書の解説パートは小さな文字でビッシリ埋め尽くされていました。
持って回った言い方をやめ、字数を減らせば、もっとフォントを大きくでき、読みやすくなっていたことでしょう。
なるべく文章を読みたくないからこそ、一部の読者は「マンガでわかる」系の本に頼るのではないでしょうか。
消費者の心理がわかっていない人間に、「妻のこと」を説かれても、説得力に欠けます。
ちょうど、顔がデカい人間に「小顔になるテクニック」を説かれても、信用できなようなものです。
解説文のなかには、妻にたいするアドバイスも書かれていました。
『まんがでわかる 妻のこと』を妻本人が読むはずありません。想定読者がブレブレです。
まとめ
まんがも解説文もクオリティが低くてわかりにくい駄本でした。
本書を読んでも、妻のことはいっさいわかりません。
もしあなたが本書を買って読んだ場合、わかりにくさにイライラし、メッセージの薄さに腹が立ち、つい妻にたいしてつっけんどんな態度をとってしまう恐れがあります。
本末転倒とならないようご注意ください。
以上、根本裕幸監修『まんがでわかる 妻のこと』の要約と感想でした。
結論。23名のそっくりな登場人物が入り乱れるマンガ。ヘタクソでくどい上に内容がない文章。これらを足し合わせたのが本書。
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