志村けんのインタビューや、雑誌などにおける発言を編集者がまとめ、再構成してあるのが本書です。
彼は過去に数冊の本を出していますが、それらの抜粋、寄せ集めではありません。
インタビューや雑誌など、さまざまなところに散らばっていた「志村けんの言葉」が本書には詰まっていました。
志村けんは2020年3月に亡くなり、本書は2020年8月に出版されています。
彼の言葉や考えがまとまっている「貴重な資料」だといえるでしょう。
この記事では、志村けん著『志村けん 160の言葉』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『志村けん 160の言葉』の要約と感想
まずは本書の要約から。
志村の没後、2020年8月に出版された本。
彼がこれまでインタビューや雑誌などで語った内容をまとめ、再構成してできている。
コメディアンを志した理由、ドリフターズに加入したきっかけ、コント作りの裏側、笑いのセンスについて、何を大事にして生きてきたのか、人生には無駄が必要、など、志村けんという人間を知れる一冊。
以上がおもな内容です。
本書が「素晴らしい本だ」といえる理由を以下でお伝えします。
インタビューや雑誌記事の集合体
本書は、志村けんがさまざまなインタビューや雑誌で語った言葉を集めてできています。
こうして本になっていなければ、私たちはその言葉に触れることなどなかったでしょう。
というのも、過去に出版された雑誌を漁って志村けんの言葉を探したり、彼が答えたインタビューを調べたりするのは、たいへんな時間と労力がかかるからです。
出典となっている雑誌はほとんど1990年代後半に出版されたものですので、今となっては、志村の記事が載っている雑誌を入手することすら困難です。
くわえて、志村けんの言葉が載っている雑誌は1冊ではなく、数十冊に及びます。
さまざまなところに散らばっていた志村けんの言葉を集めるのは、世界中に散らばっている7つのドラゴンボールを集めるよりも難しく、たいへんで、骨が折れるに違いありません。
それらをすべて集め、時系列に並び替え、一冊の本とした編集者の熱量、そして本書の価値を考えれば、定価では「安すぎる」くらいです。
たとえるなら、1株5,000円の価値はある企業の株が1株1,500円で売られているようなものだといえます。
つまり、買わないのは損だ、ということです。
本書が読みやすい理由
スニーカーが歩きやすい靴であるように、本書は、読みやすい本でした。
というのも、本書は最初から最後まで「しゃべり言葉」で書かれているからです。
文章はすべて雑誌やインタビューからの抜粋なので、堅苦しい書き言葉ではなく、「〜が良いんだよ」などどいった砕けた文体でした。
読んでいると、志村けんが本書の内容を語っている姿が頭に浮かんできます。
志村けんがしゃべっている映像をイメージしながら読めるため、文章がスラスラと頭に入ってくることでしょう。
それから本書には、解説文などがいっさい載っていませんでした。
- 志村けんの言葉
- 出典
これらが書かれているだけで、編集者のひとことなどは皆無です。
第三者の言葉は、焼き鮭の小骨のようなもので、読者にとって邪魔でしかありません。
志村けんの言葉だけが載っている本書は、読者に優しい一冊だといえます。
まとめ
「お金に興味はない」と志村は語っていました。
なぜなら、好きなことをやって生活できているだけで贅沢だと感じているから、だそうです。
「これといった趣味はない」と志村は語っていました。
というのも、彼にとっては仕事がもっとも好きなことだからです。
- 遊ばないとダメ
- バカ殿誕生の裏話
- 不眠症で眠れない
- 嫌なことはやらない
- シルクのトランクスを穿く理由
- 時間があるとき何をしているか
- 愛犬と過ごすことが一番の癒し
- お金を使うのは酒とビデオくらい
など、志村けんという人間について知れる一冊です。
ほかの著書にくらべても、雑誌やインタビューで構成されている本書のほうが内容が濃く、彼の素が出ているように感じました。
インタビューや取材ということで、リラックスしてあれこれしゃべったからかもしれません。
志村けんについて知りたい方は、 ひとまず本書を買って読んでおけば間違いないでしょう。
以上、志村けん著『志村けん 160の言葉』の要約と感想でした。
結論。資料として貴重な本。志村けんの答えたインタビューや、彼が出ていた雑誌すべてに私たち個人が当たるのは、ほぼ不可能だから。ドラゴンボール7個入りで売っているようなもので、お得。
志村けんの著書について、当サイトにはこんな記事もあります。
どちらか一冊だけ読むなら、 『志村けん 160の言葉』が良いでしょう。
というのも、端的に、バランスよく、さまざまなテーマについて語っているからです。