著者は元プロ棋士であり、現在は株主優待によって手に入れた食品や衣服、クオカード等だけで生活している投資家です。
桐谷氏は現金をほとんど使わないため、(株へ投資している)原資が増え続けているといいます。
「株は危険だ、財産を失うリスクがある」
このように株式投資を恐れて敬遠している方も、ひとまず本書を読み、株主優待について知ってみてはいかがでしょう。
- 優待株のリスク
- 優待株でどんなものがもらえるのか
- 株式はどこで買えるのか
- 投資資金はいくら必要か
などの知識をイチから学べます。
この記事では、桐谷広人著『桐谷さんの株主優待のススメ』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『桐谷さんの株主優待のススメ』の要約と感想
まずは本書の要約から。
株で損を出すのは、たいてい値上がり益(キャピタルゲイン)を狙った株式投資での話。
株主優待に着目した著者の手法は、「危険度がほぼゼロ」だという。
おすすめの優待株、QUOカードが最強の優待品である理由、ネット証券を使った株の買い方、どこのネット証券がおすすめか、株を購入する際のチェックポイントなど、株主優待を活かして豊かな生活を送る方法を解説する。
以上がおもな内容です。
文章が丁寧かつ具体的ですので、投資に疎い方でも問題なく読めます。
優待株を買うかどうかはともかくとして、「株主優待」というものが存在し、この優待品だけで生活している人物がいることを知っておいても損はないでしょう。
というのも、知識として「株主優待」を持っておくだけで、選択肢が広がるからです。
資産は、銀行へ預金するだけがすべてではありません。
運用という手もあります。
具体的な優待株が記されている
本書が良いのは、具体的な銘柄が記されている点です。
たとえば、「5万円前後から買える優待銘柄」として、いくつかの企業の株が紹介されていました。
つまり、5万円あれば優待銘柄が買える、ということです。
株式投資を始めるハードルとして考えたとき、5万円という金額は、それほど高くないのではないでしょうか。
売買の差額によって儲けを狙う場合(キャピタルゲイン)、5万円の軍資金では足りません。
500円玉を握りしめて競馬場へ行くようなもので、たいした利益が得られないのはほぼ確実です。
いっぽうで優待株であれば、最低5万円から購入でき(企業の株主になれて)、優待品をゲットできます。
優待品の内容は、その企業が提供している商品やサービス、またはクオカードが一般的だといいます。
たとえば東宝の株を保有していれば、優待品として、映画を無料で観れる鑑賞券がもらえます。
映画好きの方にとって、作品をタダで観れるのはたまらないのではないでしょうか。
ただし、東宝の株を保有するには最低50万円ほど必要。
映画鑑賞券のほかにも、
- 飲食店
- 宿泊施設
- アパレル
- QUOカード
- テーマパークチケット
- スポーツクラブ利用券
などの優待品がもらえる具体的な銘柄が紹介されていました。
それぞれ保有するために必要な金額の目安も記されているので、参考になります。
優待株の購入はネット証券で
株式売買は「ネット証券」を使うのが良いと著者は述べていました。
なぜなら、ネット証券を活用すれば、自宅にいながらいつでも好きな時間帯に銘柄や売買についての情報を見たり、検討したりできるから、だそうです。
代表的なネット証券会社として、
- 松井証券
- SBI証券
- GMOクリック証券
- 楽天証券
などが本書には載っていました。
証券会社それぞれの売買手数料や特徴などが一覧表にまとめてあるため、パッと見て各社のサービスを比較できます。
これから優待生活を始めてみたいと考える読者にとって、良心的な工夫だといえるでしょう。
ただネット証券会社が紹介してあるだけでなく、本書には、ネット証券に口座を開設するための手順も記されています。
証券会社に自分の口座がなければ、株式の売買はできません。
本書を読めば、インスタントラーメンの裏面を見ながら調理するような感覚で、優待株を買うために何をどうすれば良いのかが学べるといえるでしょう。
もちろん、ただ購入手順が説明してあるだけでなく、
- 業績
- 自己資本比率
など、株を買う前に押さえておくべきチェックポイントも紹介されていました。
優待株といえどやっていることは投資ですので、リスクがいっさいないわけではありません。
買った株式が「紙くず」となってしまわないよう、購入前に企業の現状を知っておくことが大切です。
まとめ
株主優待についてよくわかる一冊でした。
読んでいると優待株に興味が湧いてきます。
というのも、ただ銀行に500万円を預けておくよりは、5万円で複数社の優待株を保有し、年に1〜2回の優待品をゲットしたほうがお得だからです。
「年金はあてにならない。積極的に老後資金の確保に動く必要がある」
と桐谷氏は述べていました。
リタイア世代こそ、良い優待がついた株に分散投資するべきだと著者は主張しています。
「優待株に投資する、しない」は自己判断・自己責任ですが、本書を読み、株主優待について知っておいても損はないはずです。
映画館にいるお客のなかには、自腹でチケットを買わず、送られてきた「優待券」で鑑賞している人もいるでしょう。
われわれとその人物との違いは、
- 株主優待について知っているか
- 優待株を保有しているか
この2点だけです。
本書を読めば、少なくとも前者の差異は解消できます。
以上、桐谷広人著『桐谷さんの株主優待のススメ』の要約と感想でした。
結論。株主優待についてわかりやすくまとめられた良書。具体的な銘柄や証券会社、購入に際してのアドバイスが載っているので、興味を持ったらすぐ始められる。