パクチーのようにクセがある本書は、読み手を選びます。
というのも、
- てか
- んなもんは
- てやんでえバーロー!
など、終始砕けた文体で、著者が「片付け」について述べているからです。
阪口氏という人物は片付けブログの管理人だそうで、本書もまた、ブログ記事のような調子で書いてありました。
上のような言葉遣いに抵抗がない方なら、本書を最後まで読み通すことができるでしょう。
この記事では、阪口ゆうこ著『片付けは減らすが9割 ゆるミニマリストが教える 頑張らない整理術』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『片付けは減らすが9割 ゆるミニマリストが教える 頑張らない整理術』の要約と感想
まずは本書の要約から。
著者は整えアドバイザー。
月間平均250万PV超えの片付けブログ管理人でもある。
具体的な整理術にはほとんど触れず、整理にたいする著者の考えを、おもしろおかしく解説する。
以上がおもな内容です。
ユーモアセンスに自信がある、1981年生まれの女性が書いたお片付けエッセイ集です。
暇つぶしの読み物には良いかもしれませんが、本気で部屋を片付けたい方に本書は適していません。
片付けのやり方は自分で決めよう
まず、重要な情報をお伝えします。
本書には、
- 整理術
- 収納術
- 片付け方法
などがほとんど出てきません。
ですので、具体的な整理術を期待している方にとっては、期待はずれな本だと言えるでしょう。
「正当なやり方、正しいやり方、唯一のやり方、そんなものは存在しない」
という哲学者ニーチェの言葉を引き合いに出し、「片付けのやり方もおなじだ。正解なんてないから、自分で考えよう」と著者は述べていました。
本書の内容を端的にまとめれば、
- ものを減らすのが大事
- その方法は自分で見つけろ
ってなもんです。
この手のノウハウ本には「どうしたら良いのか」という具体的な方法が記されているのが一般的なので、本書は例外だといえるでしょう。
たとえば、部屋を片付けるにあたってまず一番に捨てるべきは、空き箱でも紙袋でもなく、「自分への期待と過信」だそうです。
このような精神論が(砕けた文体で)延々と綴られていました。
本書を読んでも変われない理由
本書を買って読んだとしても、部屋の様子が変わることはないでしょう。
なぜなら、本書には具体的な「アクション」が記されていないからです。
- てか
- 「秒」で終わる
- てやんでえバーロー!
- んなもんは、人による
などといった砕けた文章で、自らの面白さ、ユーモアセンスをひけらかしている印象を受けました。
本書を通して著者がもっとも広めたいのは、頑張らない整理術ではなく、ユーモアのある私、に違いありません。
読者はおそらく「なんだか面白い本だった」ってな感想を抱くでしょう。
ただし、具体的なアクションにつながるアドバイスがないため、行動は変わりません。
面白ければ良いのは、小説やエッセイだけです。
本書は小説でなければエッセイでもなく、「整理術」を説いているノウハウ本です。
無料で公開しているブログ記事のようなノリで書いていますが、有料コンテンツである書籍において、著者のこの態度は目に余ります。
まるで、学生気分が抜けていない新社会人のようです。
お金を出して買った整理術の本に「てやんでえバーロー!」などと書かれていたら、そして整理術についてほとんど書かれていなかったら、読者はどう思うでしょうか。
整理術を頑張る、頑張らないは著者の自由ですが、本書の執筆は、頑張るべきでした。
まとめ
想像してみてください。
ある女性が、SNSにランチの写真を投稿しています。
がしかし、この女性がみんなに見せたかったのは、ランチではありません。
女性が人々にアピールしたいのは、写真の左上に見切れて写っている「ハイブランドのバッグ」です。
これは、SNS上でしばしば見かける「さりげない自慢」です。
Aを主張しているように見せかけて、本当はBを自慢している、というゲスいやり方です。
Bを自慢したいがために、Aというダミーを置いている、ともいえます。
この手法を採用しているのが、本書です。
タイトルには「整理術」とありますが、著者がほんとうに伝えたい(自慢したい)のは、自らのユーモアセンスだけでしょう。
たとえば阪口氏は、ミニマリストを小馬鹿にしつつ、ゆるミニマリストなるものを提唱しています。
- ミニマリストが感じている幸せは偽物
- ミニマリストこそ物に執着している
- ミニマリストはテレビを捨てがち
- でも私は捨てない。テレビが好きだから
こんな具合です。
整えアドバイザーが品のない文章で書いた抱腹絶倒お片付けエッセイ、それが本書です。
以上、 阪口ゆうこ著『片付けは減らすが9割 ゆるミニマリストが教える 頑張らない整理術』の要約と感想でした。
結論。整えアドバイザーが品のない文章で書いた抱腹絶倒お片付けエッセイ。どうせ実用性のないエッセイを読むなら、さくらももこのエッセイを読んだほうが良い。
Amazonでは、さくらももこのエッセイ集『もものかんづめ』が売っています。
部屋の片付けに関して、 当サイトではこんな本も紹介しています。
精神論ではなく「ノウハウ」に特化して解説しているのが、本書の特徴です。
阪口ゆうこ著『片付けは減らすが9割 ゆるミニマリストが教える 頑張らない整理術』とは正反対の内容だといえます。