大切なのは、虫歯や歯周病になる前の「予防」だといいます。
なぜなら、虫歯ができてから歯医者へ行き、ドリルで削り、詰め物をしたところで、根本的な解決にはなっていないからです。
虫歯になっては歯を削り、また虫歯になっては……などということを繰りかえしていたら、やがて歯がダメになり(抜歯)、入れ歯やインプラントを検討するハメになりかねません。
自分の歯を守るための、理想的な食生活やオーラルケアについて書かれているのが、本書です。
この記事では、堀滋著『歯のメンテナンス大全 人生100年時代の正しいデンタルケア88のリスト』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『歯のメンテナンス大全 人生100年時代の正しいデンタルケア88のリスト』の要約と感想
まずは本書の要約から。
健康は歯から作られる。
大事なのは治療ではなく、虫歯や歯周病にならないための予防だ。
- 正しいブラッシング方法
- 正しいデンタルフロスの使い方
- 歯周病の原因と対策
- 虫歯を防ぐなら鼻呼吸
- キスでうつる菌がある
- 虫歯を防ぐ唾液の働き
- 唾液の分泌量を増やす方法
- ココナッツオイルプリング
- 歯科治療の常識について
- 歯を1本でも失うデメリット
など、歯のメンテナンスに関して網羅的に解説する。
以上がおもな内容です。
歯周病が肺炎や糖尿病、心筋梗塞、認知症のリスクを高めるなど、口のなかの健康がどれだけ大切かを実感させられます。
ブラッシング方法はイラスト付きで解説してあるので、目で見て、ビジュアルで理解できます。
持っているバッグや靴、腕時計の手入れをする前に、まずは歯のメンテナンスをしたほうが良いのは間違いないでしょう。
なぜなら、スニーカーの汚れと異なり、歯の汚れは私たちの健康に関わるからです。
歯周病が恐ろしい
私たちが恐れるべきは、虫歯というよりも、むしろ歯周病なのかもしれません。
なぜなら歯周病は、
- 歯磨きで出血する
- 口臭の原因になる
- 歯を失う原因になる
- 肺炎や心筋梗塞のリスクを高める
といったデメリットを招きかねないからです。
たとえば、世の中には「歯が数本ない人」がいます(とりわけ競馬場や競艇場でよく見かける)。
私たちは彼/彼女らについて、虫歯で歯を失ったのだろうと想像しがちですが、歯を失う要因でもっとも多いのは歯周病なのだそうです。
まず歯肉(歯ぐき) で炎症が起こり、腫れたり出血したりし、悪化すると歯を支える骨まで炎症が進んで溶け、歯を失う、と著者は述べていました。
ちなみに初期の歯周病には、わかりやすい自覚症状がないといいます。
健全だと思っているわれわれの歯ぐきでも、もしかすると、歯周病が進行しているのかもしれません。
著者は、「歯の痛みがなくても3〜6ヶ月ごとに歯医者へ行くべきだ」と述べていました。
仮に歯周病が悪化して歯を失ってしまった場合、たった1本抜けただけでも上下の噛み合わせが狂い、
- 虫歯
- 歯周病
- 頭痛
- 肩こり
- 耳鳴り
- 認知症
などを発症するリスクが高まるそうです。
歯周病を防ぐためには、
- ブラッシング
- デンタルフロス
- 歯医者での定期的なメンテナンス
これら3点セットが有効だといいます。
ところで、最後に歯医者へ行ったのはいつでしょうか?
すぐできる虫歯や歯周病対策
ブラッシングや歯科での定期検診に限らず、本書ではさまざまな「虫歯や歯周病の予防方法」が紹介されていました。
たとえば、呼吸方法です。
口から息を吸って吐くのを口呼吸、鼻から息を吸って吐くのを鼻呼吸といいます。
虫歯や歯周病の予防に効くのは、鼻呼吸だそうです。
というのも、口呼吸をしていると口のなかが乾いて唾液が減り、虫歯や歯周病、口臭のリスクを高めてしまうからです。
「唾液は歯を守る万能薬だ」と著者は述べていました。
唾液の分泌量を減らさないため、口のなかをカラカラに乾燥させないためには、鼻呼吸を心がけたほうが良さそうです。
食事に関しては、
- 糖質をダラダラ食べない
- 果物やハチミツも虫歯の原因になる
などと紹介されていました。
糖質をダラダラ食べるというのは、たとえば飴です。
のど飴はのどに優しいのかもしれませんが、歯には優しくないことを覚えておいたほうが良いでしょう。
それからかつて世の中には、果物やハチミツに含まれている糖質では虫歯にならない、との考えがありました。
がしかし、これは誤りだといいます。
果物やハチミツにたいしても油断するべきではありません。
このように、ブラッシング以外でも、日常で気をつけるべきポイントがいくつも紹介されています。
ココナッツオイルで口をすすぐ「ココナッツオイルプリング」という馴染みのないメンテナンス方法も載っています。
歯を大切にしたい方なら、本書を読んで損はないでしょう。
まとめ
「歯のメンテナンス大全」というだけあって、さまざまな歯の手入れ方法が載っていました。
- 部分入れ歯
- ブリッジ
- インプラント
- 神経の処置
- 詰め物の種類
など、歯科治療についても学べます。
寝ているときに歯軋りをする癖がある人は、マウスピースを着用して眠ったほうが良いことも知れます。
なにもしていないとき、上下の歯は1〜2mm空いているのがふつうだということも学べます。
つまるところ、本書を読めば歯に詳しくなれる、ということです。
競馬場をウロウロしている「歯がない人たち」は残念ながら手遅れですが、私たちは、まだ間に合います。
今あるこの歯を守るために、歯の正しいメンテナンス方法を学びましょう。
なぜなら、歯がボロボロになって困るのは他の誰でもなく、私たち自身だからです。
以上、堀滋著『歯のメンテナンス大全 人生100年時代の正しいデンタルケア88のリスト』の要約と感想でした。
結論。どんなケアをすれば歯を守れるのかが学べる本。虫歯や歯周病のもたらす悪影響も知れるので、読めば自然と「しっかり手入れしよう」ってな具合に背筋が伸びる。お金に執着する人は多いけど、おなじくらい、自身の歯にも執着すべき。