フィアット500(チンクエチェント)とアバルト595はルックスが似ているものの、別の車です。
アバルト595は、ベース車両であるフィアット500を、(アバルト社が)スポーティにチューンアップした自動車です。
つまりフィアット500を、
- もっと速く
- もっと刺激的に
チューンしたのがアバルト595だといえます。
ではこれら2台は、具合的にどう違っているのでしょうか。
この記事では、
- エクステリアの違い
- エンジン性能の違い
- トランスミッションの違い
など、「フィアット500とアバルト595の違い」をわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
フィアット500とアバルト595の違い
まず、フィアットとアバルトは、それぞれ別の会社です。
500(チンクエチェント)などを製造するフィアットは、イタリアの国民的カーブランドです。
いっぽうでアバルトは、ハイパフォーマンスカーを扱うニッチなメーカーです。
ちょうど私たちがスーパーで食材を買ってきて野菜炒めを作るのとおなじで、アバルトもまた、フィアット500に手を加え、アバルト595を製造しています。
1. エクステリアの違い
フィアットとアバルトは会社が異なるので、自動車についているエンブレムも異なります。
ちょうど、トヨタとマツダのエンブレムが違っているようなものです。
フィアット500には「FIAT」の文字が書かれた赤いエンブレムが、アバルト595にはサソリが描かれたエンブレムが、それぞれ取り付けられています。
500と595は車体のシルエットこそ似ていますが、フロントマスクは595のほうが威圧的だといえるでしょう。
これは、(エンジンを冷やすために)595がフロントグリルをガバッと大きくとっているからです。
フィアット500とアバルト595の全幅は、いずれも1,625mmで変わりません。
ただし、全長はアバルトのほうが90mm長く、全高はアバルトのほうが10mm低くなっています。
500と595の全長が90mm異なるのは、
- フロントバンパー
- リアバンパー
これらの形状が違っているからです。
マフラーが左右2本出しになっている(フィアットは1本)など、よりいっそうスポーティさを強めているのがアバルト595の特徴です。
それからエクステリアに関しては、
- ホイールの形状
- ホイール中心にあるロゴ
なども500と595とでは違っています。
2. インテリアの違い
フィアット500とアバルト595のシートは別物です。
アバルト595は、ホールド性の高いスポーツシートを採用しています。
アバルト595の最上級グレードであるコンペティツィオーネは、Sabelt製のスポーツシートが専用装備となっています。
ただしSabelt製シートは超スパルタンで、まるでベンチのように硬く(クッション性がなく)、快適さには欠けていますのでご注意ください。
ドライバーが良いとしても、助手席の同乗者からはクレームが出ること必至です。
フィアット500がホワイトを基調とした明るい内装であるのにたいし、アバルト595は、ブラック基調のダークな内装に仕上がっています。
インテリアではほかにも、
- アルミ製ペダル
- アバルト専用ステアリング
など、スポーティさが強調されており、フィアット500のような可愛らしい雰囲気はありません。
ただ惜しいのは、フィアット500のパーツを595が一部そのまま使用している点です。
たとえば、アバルト595には「500」と記されたフィアットのパネルがそのまま使われています(助手席部分)。
実際にはアバルト595であるにもかかわらず、ダッシュボードに「500」と入っているのは、オーナーにとって気になるかもしれません。
アバルトにとって重要な「走り」とは関係がない部分なので、コストを削ったのでしょう。
事実、パネルの数字を500から595に変えたところで、車が速くなるわけでないのは事実です。
3. エンジン性能
フィアット500とアバルト595、最大の違いはその速さです。
というのも、それぞれ搭載しているエンジンが異なるからです。
フィアット500には、
- 1,240cc・自然吸気エンジン・69馬力
- 875cc・ターボエンジン・85馬力
これら2タイプのエンジンが用意されています。
いっぽうでアバルト595が積んでいるのは、1,368ccのターボエンジンです。
チューニングの違いにより、
- 595:145馬力
- ツーリズモ:165馬力
- コンペティツィオーネ:180馬力
このように、最大出力に差が設けられています。
パワーやトルクなどのエンジン性能に関しては、フィアット500の比ではありません。
アバルト595のほうが断然速いといえます。
参考までに、トヨタ86後期型(2L自然吸気エンジン)は、最高出力207馬力です。
4. トランスミッションの違い
トランスミッションに関して、フィアット500ではMTを選択できません。
現在500には、デュアロジック(ATモード付5速シーケンシャル)のみ設定されています。
たいしてアバルト595は、
- デュアロジック
- MT
いずれか好きなほうを選べます。
ただ残念なことに、6速MTではなく、5速MTのみとなっています。
たとえば国産スポーツカーなら、
- トヨタ86
- スバルBRZ
- ホンダS660
などはいずれも6速MTです。
ほかにも、MAZDA2、スイフトスポーツなども6速MTです。
スポーツカーで5MTというのは、アバルトの「ガッカリポイント」だといえるでしょう。
自転車でたとえるなら、5段階変速と6段変速の違いのようなもので、ギア数は多いに限ります。
ちなみに、ロードバイクは24段変速が可能だったりしますが、いわゆるママチャリはたいてい3段変速です。
5. 車両価格
では最後に、フィアット500、アバルト595それぞれの車両価格をくらべてみましょう。
まずはフィアット500からご紹介します。
- 1.2Pop:2,000,000円
- TwinAir Pop:2,410,000円
- TwinAri Lounge:2,760,000円
このように、すべてのグレードが200万円台におさまっています。
つづいて、アバルト595の車両価格です。
- 595:3,000,000円
- TURISMO:3,630,000円
- COMPETIZIONE:3,830,000円
フィアットにくらべ、100万円ほど高いイメージです。
上の金額はすべて「5MT」のものであり、トランスミッションにデュアロジックを選ぶと、さらに20万円ほど上乗せになります。
たとえばCOMPETIZIONEのデュアロジックは、ちょうど400万円です。
まとめ
フィアット500とアバルト595の違いをお伝えしてきました。
見た目こそ似ている2車種ですが、走行性能は大きく異なっています。
搭載しているエンジンが違うだけでなく、
- 足回りのセッティング
- ブレーキ性能
なども、アバルトはスポーティにチューンアップされているからです。
アバルト595が気になっているなら、ぜひフィアットのディーラーへ行って試乗してみてはいかがでしょう。
フィアットディーラーでアバルト595も扱っていますので、500と595それぞれに試乗することが可能です。
フィアット500は(国産車にくらべて)ボディ剛性が高く、コーナリング性能も優れているので、運転してみたら案外「フィアット500で充分かも」と思えるかもしれません。
以上、フィアット500とアバルト595の違いでした。
結論。見た目は似ているが、走行性能がまったく違う。百聞は一見にしかずというやつなので、実際にディーラーを訪れ、試乗車を運転してみるのが一番手っ取り早い。
アバルト595の動力性能に関して、当サイトにはこんな記事があります。
アバルト595が故障するリスクと修理費用について、当サイトにはこんな記事があります。