欅坂46『二人セゾン』の歌詞の意味をイラスト付きで考察。セゾンとは「季節」の意

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『二人セゾン』は2016年11月に発売された欅坂46の3rdシングル曲であり、作詞は秋元康が担当しています。

 

この曲のキーワードは、繰りかえし登場する「セゾン」という単語です。

合計24回出てくる「セゾン」の意味がわからなければ、楽曲に込められたメッセージを理解するのは難しいでしょう。

 

たとえるなら、オフサイドのルールを知らないままサッカーを観るようなものです。

本当に「わかった」ことにはなりません。

 

「二人セゾンで、君はセゾンで、僕もセゾン……セゾンってナニ?」と頭が混乱するだけです。

 

セゾン(saison)とは、「季節」を意味するフランス語で、英語のシーズン(season)に該当します。

したがって、『二人セゾン』を直訳すると"二人季節"となりますが、二人季節なんて四字熟語は見たことがなく、意味不明です。

 

タイトルだけ眺めていてもわからないので、最初から最後まで、歌詞全体のメッセージを解釈していきましょう。

 

この記事では、

  • セゾンはフランス語で季節の意
  • 2人の儚い恋と成長を描いている

など、『二人セゾン』の意味を考察します。

楽曲をより深く味わうため、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

欅坂46『二人セゾン』の歌詞の意味

『二人セゾン』の歌詞は、「僕の儚い初恋と成長」がテーマになっています。

 

うだつが上がらない僕の前にある日とつぜん一人の女性があらわれて、初めての恋をし、退屈な日常が一変した、けれど……そんな内容です。

 

二人セゾン 二人セゾン

春夏で恋をして

二人セゾン 二人セゾン

秋冬で去って行く

一緒に過ごした季節よ 後悔はしてないか

二人セゾン

こちらが冒頭の歌詞です。

「二人セゾン」は「二人で過ごした季節」だと解釈して良いでしょう。

 

春夏(下半期)に恋をしましたが、秋冬(下半期)には離れ離れになっています。

まさに儚い恋です。

 

僕の片思いだったのでは?

と思う方がいるかもしれませんが、「後悔はしてないか」というフレーズがあるため、2人は交際していたと考えるのが妥当でしょう。

 

「(あの日々を)後悔してないか?」が片思いしていた相手への問いかけだとしたら、意味が通じないからです。

 

「僕」の人生が一変する瞬間

『二人セゾン』の歌詞は以下のようにつづきます。

 

道端に咲いている雑草にも

名前があるなんて忘れてた

気づかれず踏まれても

悲鳴を上げない存在

道端に咲く雑草という「見過ごされがちな存在」に、僕は自分自身を重ね合わせています。

普段は気にも留めない雑草に意識が向いたのは、雑草にシンパシーを感じたからでしょう。

 

気づかれず踏まれても悲鳴を上げない、とは、道端の雑草だけでなく「理不尽な出来事に黙って耐える僕自身」にもいえそうです。

 

誰かと話すのが面倒で

目を伏せて聴こえない振りしてた

君は突然

僕のイヤホン外した

What did you say now?

イヤホンで音楽を聴いて他人を遠ざけていた僕の前に、突如「君」があらわれます。

 

そして彼女は、僕のイヤホンを外します。

他者との関わりをシャットアウトしていた僕に転機が訪れた瞬間です。

 

たとえるなら、鎖国していた江戸時代の日本に「黒船」が来航するようなものです。

イヤホンを外された僕は「What did you say now?(いま何か言った?)」と彼女に訊きました。

 

がしかし、彼女のセリフは歌詞中には書かれていません。

「何聴いてるの?」でも、「前にどこかで会わなかった?」でも、「綺麗な目をしてるわね」でも、好きなように想像しましょう。

 

太陽が戻ってくるまでに

大切な人ときっと出会える

見過ごしちゃもったいない

愛を拒否しないで

この歌詞は、2人の別れのシーンについて言及している、と考えられます。

 

「太陽が戻ってくるまでに」とは、太陽がふたたびおなじ位置に来るまで(つまり季節が一周するまで。夏は太陽の昇る位置が高く、冬は低い)という意味で、つまり、そう遠くないうちに大切な人とまた出会えるよ、と励ましているわけです。

  1. 僕が僕自身を励ましている
  2. 僕が彼女を励ましている
  3. 彼女が僕を励ましている

これら3通りの解釈ができますが、まず「3番」は消えます。

というのも、歌詞はずっと「僕目線」で書かれているからです(ここだけ視点が変わるのは不自然)。

 

彼女にフラれた僕が自分を慰めているのか、あるいは別れに打ちひしがれる彼女を僕が励ましているのか……これはどちらの解釈も可能です。

 

「いやぁ、僕は冴えない男だから、彼女にすぐ飽きられてフラれちゃったんだよ」

と思うかもしれませんが、『二人セゾン』の歌詞のラストは「僕もセゾン」で締めくくられています。

 

セゾン(季節)を変化の意だと捉えれば、「僕も変わったんだ」と理解できるので、「君には感謝してるけど、別れよう」と僕から別れを告げた可能性もゼロではないといえます。

 

あるいは、秋元康からわれわれ(特に失恋して落ち込んでいる人)へのメッセージなのかもしれません。

きっとまた素敵な人に出会えるから、誰かからの愛情を見過ごしたり、拒否したりしたらもったいないよ、という具合です。

 

いずれにせよ、2人の恋が終わったことは間違いありません。

 

今後は、「僕か彼女か、どっちから別れを告げたんだろう」と想像しながら『二人セゾン』を聴いてみてください。

 

君はセゾン 君はセゾン

僕の前に現れて

君はセゾン 君はセゾン

日常を輝かせる

昨日と違った景色よ

生きるとは変わること

君はセゾン

寒い冬をガラッと変える春の訪れのように、太陽のような君は、僕のツマラナイ日常を輝かしい日々に変えてくれた、そんな僕の感謝が述べられています。

 

セゾン(季節)とは変化の象徴であり、ここでは、僕の目に映る景色を変えてくれた君を「セゾン」に喩えています。

それまで僕の心には四季などなく、南極のような、永久凍土のような冷めた気持ちで生きていたのでしょう。

 

がしかし、彼女との出会いにより「生きるとは変わることなのだ」と僕は気づいています。

それまでの僕は、ただ食べて寝てゲームして歩いて排便していただけで、ほんとうの意味では"生きて"いなかったのかもしれません。

 

 

変われるのだと自信を持った僕

では、『二人セゾン』のつづきの歌詞を見ていきましょう。

 

街を吹き抜ける風の中

何かの香りがしてたのに

振り返る余裕とか 興味もなかった

 

自分の半径1m

見えないバリア張った世界

そんな僕を 連れ出してくれたんだ

What made you do that?

前半とほとんどおなじ事柄が、異なる表現で書かれています。

飽き飽きする僕の人生を君が変えてくれた、そんな内容です。

 

「What made you do that?」は直訳で「何が君をそうさせたの?」、意訳すると「どうして僕に声をかけてくれたの?」となります。

なぜ彼女があのとき、僕のイヤホンを外してまで声をかけてくれたのか、僕にはその理由がわかっていません。

 

ここも前半とおなじで、彼女の返事は省略されています。

秋元先生はあえて私たちに「想像する余地」を残している、そう考えて良いでしょう(すべてを歌詞で説明するのは野暮というもの)。

 

一瞬の光が重なって

折々の色が四季を作る

そのどれが欠けたって

永遠は生まれない

1ピースでも無くしたらパズルは完成しない、みたいなことです。

春夏秋冬を一つの輪っかだとすれば、いずれかの季節が欠けたら永遠(円の循環)が途絶えます。

 

嬉しい日もあればツラい日もあるけど、そのどれもが人生に欠かせない大切なピースなのだ、そんなメッセージを読み取ることもできそうです。

 

二人セゾン 二人セゾン

春夏で恋をして

二人セゾン 二人セゾン

秋冬で去って行く

儚く切ない月日よ 忘れないで

 

花のない桜を見上げて

満開の日を想ったことはあったか

想像しなきゃ

夢は見られない 心の窓

 

春夏秋冬 生まれ変われると

別れ際 君に教えられた

花のない桜とは、「パッとしない日々」の比喩です。

 

葉っぱと枝しかない桜の木だって、春になれば満開の花を咲かせる……人生もおなじなんだ、だから「心の窓」から明るい未来を想像しようじゃないか、そう解釈できます。

ずっとツマラナイ不毛な毎日がつづくわけじゃないよ、と伝えているわけです。

 

「春夏秋冬生まれ変われる」とは、いつでもこの瞬間から私たちは変われる、明るい将来を夢見られる、という希望をあらわしています。

 

イヤホンを耳に突っこみ、他者を遠ざけ、雑草に自分を重ね合わせて生きていた冒頭の「僕」にくらべて、ずいぶん思考が前向きになりました。

 

それもこれも、すべては「君」のおかげです。

以下、ラストの歌詞です。

 

君はセゾン 君はセゾン

僕の前に現れて

君はセゾン 君はセゾン

日常を輝かせる

 

二人セゾン 二人セゾン

春夏で恋をして

二人セゾン 二人セゾン

秋冬で去って行く

初めて感じたときめき

思い出はカレンダー

二人セゾン

 

僕もセゾン

基本的におなじ歌詞の繰りかえしです。

「初めて感じたときめき」以下の歌詞を見ていきましょう。

 

「初めて感じたときめき」ということで、これは僕にとって初恋だったのだとわかります。

 

「思い出はカレンダー」のカレンダーは、セゾンとは対照的な言葉です。

 

僕と君の心は季節のように移り変わるけど、思い出はカレンダーのなかで形を変えずに眠っている、そんな対比です。

  1. 感情や思考は移ろう不確かなもの(だから別れが訪れた)
  2. 思い出は変わらない確かなもの

君との出会いによって僕は「生きるとは変わること」だと知り、同時に「変わらない素敵な思い出」も手に入れました。

 

最後の歌詞「僕もセゾン」とは、僕も自分で変わっていけれるんだ、という決意の表明でしょう。

 

これまでは彼女が僕の心に季節(変化)をもたらしてくれた、でもこの恋愛を通じて、僕は自分で変われる力(想像して夢を見るなど)を手に入れたんだ、そう解釈できます。

だから、君はセゾン、僕もセゾン、です。

 

結果として破局したものの、初めての恋は、僕の人生の糧になったようです。

 

以上、欅坂46『二人セゾン』の歌詞の意味でした。

【結論】僕の儚い初恋と成長の物語。2人は出会って、そして別れた。でも、葉と枝しかない桜の木が満開の花を咲かせるように、人生には思いもよらない「素晴らしい出来事」が待っているのだと僕は気づいた。生きるとは変わること。大切なのは、想像すること、夢を見ること。

 

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楽曲をもっと好きになること請け合いです。

 

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ぜひ自宅のプレイヤーで再生し、日常を輝かせましょう。