2022年にデビューしたサクラは、日産初の軽電気自動車です。
EVらしい「スムーズな走り」がサクラの特徴で、19.9kgmというトルク値は、軽ターボ車の約2倍に匹敵します。
つまりサクラは、ターボモデルの軽自動車よりも2倍速く加速できる、ということです。
ストップアンドゴーが多い街乗りでも快適に走れることでしょう。
しかもサクラはエンジンを積んでいないため(バッテリーでモーターを駆動して走る)、ほとんど無音で加速していきます。
これは、軽自動車の安っぽいエンジン音を聞きたくない方にとって大きな利点となるかもしれません。
ただし電気自動車は、私たちがよく知るガソリン車やバイブリッド車とは大きく異なります。
たとえるなら、一般的な歯ブラシと電動歯ブラシくらい似て非なるものです。
したがって、ガソリン車とおなじような感覚でサクラに手を出すと、「電気自動車がこんなに不便だったとは……」と後悔しかねません。
では、サクラの購入を後悔するとしたら、具体的に何が原因となるのでしょう。
この記事では、
- 割り切った航続距離
- バッテリーの劣化問題
- バッテリー保証があるから安心?
など、「日産SAKURAの購入を後悔するリスク」をわかりやすく解説します。
ぜひクルマ選びの参考にしてみてください。
なお、以下の内容はすべて三菱ek X EV(見た目が違うだけでメカはサクラとおなじ)にも該当します。
日産SAKURAを買って後悔するリスク3選
日産サクラの不安要素は、つぎのとおりです。
- 航続距離の短さに後悔
- バッテリーが劣化して後悔
- 下取り価格の安さに後悔
テレビや雑誌などのメディアでは「これからは電気自動車の時代」だといわれていますが、実際のところ、EVを買うのはまだ時期尚早かもしれません。
なぜなら、現在バッテリーに使われているリチウムイオン電池には、何かと不便な点が多いからです。
たとえば、充電時間の長さだったり、航続距離の短さだったり、です。
そんなリチウムイオン電池の弱点を克服した夢のバッテリーである「全個体電池」は、2020年代の後半に実用化の目処が立っています。
"電気自動車の時代"が本格的に到来するのは、全個体電池が実用化されて以降でしょう。
したがって、これから挙げるEVならではの懸念事項(航続距離や充電時間)が気になる方は、全個体電池の登場を待つのが賢明です。
「いや、いますぐにEVに乗りたい。サクラが欲しい」
という方は、以下のリスクにご注意ください。
1. 航続距離の短さに後悔
日産が公表しているサクラの航続距離は180km(WLTCモード)です。
これは、バッテリーを満タンに充電した状態から180km先まで走れることを意味します。
ただしガソリン車のカタログ燃費とおなじで、実際に上の数値が出るわけではありません。
180kmではなく、航続距離150kmあたりがサクラの現実だといえるでしょう。
したがって、近所のスーパーまで買い物に行くならともかく、県をまたいで遠出したり、高速道路で長距離移動したりするような使い方には向いていません。
早い話が、サクラはセカンドカーとしての所有に適したクルマだ、ということです。
一般的な軽自動車と違って、サクラで遠出するのは難しい……この不便さが後悔につながるかもしれません。
「でも、旅行先で充電すれば良いのでは?」
と思うかもしれませんが、サクラは街乗り用EVとして開発されているためバッテリー容量が小さく、旅先で何度も充電するハメになります。
たとえるなら、180mlのミニ水筒にチョコチョコと水を注ぐようなものです。
充電するたびに20〜30分の足止めを食らっていては、とても旅行を楽しむことなどできないでしょう。
おまけに、「充電スポットが3ヶ所連続で使用中で充電できなかった」なんてEVあるあるに悩まされるかもしれません。
EV一台で通勤や買い物、休日のお出かけまでカバーしたい方は、日産のリーフを検討してみてください。
リーフ(60kWhバッテリー)の航続距離は450kmです。
180kmしか走れないサクラと違って、リーフなら、休日のロングドライブにも利用できるでしょう。
ちなみに、サクラに限らず電気自動車はすべて「自宅での充電」を前提に販売されています。
したがって、自宅で充電できない方(たとえばアパート暮らしの方)は、EVの購入を諦めたほうが良いでしょう。
なぜなら「自宅にコンセントがないからスタバやマックでスマートフォンを充電する」ようなもので、著しく不便だからです。
サクラの購入を後悔するリスク、1つ目は「航続距離の短さ(カタログ値は180kmだが実際には150km程度)」です。
2. バッテリーが劣化して後悔
新品で買ったスマートフォンは、充電残量の減るスピードが次第に早くなってきます。
なぜなら、バッテリー(リチウムイオン電池)が経年劣化するからです。
同様のことが電気自動車のバッテリー(リチウムイオン電池)でも起こります。
サクラの場合は、フル充電からの航続距離が縮む恐れがあります。
スマートフォンだったら充電しながら操作できますが、電気自動車を充電しながら走らせることはできません。
すなわち、(バッテリー容量が減って)充電頻度が増えると不便になる、ということです。
新車時にくらべてサクラのバッテリー容量が5〜7割程度にまで低下してしまったら、後悔とはいわないまでも、残念な気持ちにはなることでしょう。
「いや、サクラのバッテリーは保証付きだから心配ない」
と考えている方がいるかもしれません。
たしかにサクラには「8年160,000km」のバッテリー保証がついています。
とはいえ、経年劣化したバッテリーを、日産が新品に取り替えてくれるわけではありません。
日産のWebサイトに記載されている保証内容は以下のとおりです。
正常な使用条件下において新車登録から8年間または160,000kmのどちらか早い方において、アドバンスドドライブアシストディスプレイのリチウムイオンバッテリー容量計が9セグメントを割り込んだ(=8セグメントになった)場合に、修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰することを保証しています。
バッテリーの新品交換ではありませんし、好きなタイミングで「復帰」してもらえるわけでもありません。
保証内容を誤解しないようにご注意ください。
ちなみに、リーフのバッテリー保証も上とおなじ内容です(サクラだけ保証が手薄い、なんてことはない)。
それから急速充電はバッテリーの劣化を早めるため、バッテリーを長持ちさせたい方は急速充電を利用せず、自宅での「普通充電」を心がけると良いでしょう。
サクラの場合は8時間あれば、200V・3kWの普通充電で満充電となります。
サクラの購入を後悔するリスク、2つ目は「バッテリーの劣化」です。
スマホのようなバッテリー容量の低下が許せない方は、全個体電池が実用化されるまでEVに手を出さないほうが良さそうです。
3. 下取り価格の安さに後悔
ガソリン車にくらべて、電気自動車は値落ちしやすい傾向にあります。
なぜなら、先述のように「EVはバッテリーが劣化する」と多くのユーザーが敬遠しているからです。
具体的にどれくらい値段が下がるのか気になる方は、「リーフ 値落ち」や「リーフ 残価率」で検索してみてください(サクラよりリーフのほうが販売期間が長いためデータが多い)。
実際のところ、新車ならともかく、中古のEVを買いたがる人は多くありません。
たとえるなら、中古のソファ(座面がヘタっているかもしれない)を買いたがる人がいないようなものです。
新品で買ったほうが気持ち良いのは、ソファも電気自動車もおなじです。
市場価格は需要と供給のバランスによって決まるので、需要が少ない中古EVの場合には「低価格になる(安くしないと売れないため下取り価格も低い)」といえます。
上の理由から、リセールバリューを気にする方にサクラはおすすめしません。
事実、EVのリセールバリューを気にして躊躇するユーザーが多いことから、トヨタやFIATなどの一部メーカーは、EVを「リースやサブスクのみの販売」としています。
ユーザーに車両を売るのではなく貸す、ということです。
サクラを購入するなら、下取り価格には期待しないほうが良いでしょう。
とはいえ、「売らずに長く乗りづつける」わけにもいかないのが悩ましいところです。
なぜなら、サクラのバッテリー保証は「8年間160,000km」であり、このラインを超えて以降のバッテリー修理や交換は、自己負担となるからです(エンジンを交換するようなもので高くつく)。
手放したら損をするし、長く乗りつづけても出費が嵩む……電気自動車はコストがかかる"贅沢な乗り物"だといえるのかもしれません。
サクラを購入して後悔するリスク、3つ目は「下取り価格の安さ」です。
まとめ 〜火災や爆発のリスクは大丈夫?〜
サクラを買って後悔するリスクはつぎの3点です。
- 航続距離の短さに後悔
- バッテリーが劣化して後悔
- 下取り価格の安さに後悔
たいていのユーザーは、EVのサクラではなく、デイズないしルークスを買ったほうが満足できることでしょう。
というのも、サクラと違って行動範囲の制限やバッテリー劣化の不安がないからです。
では結局のところ、どんなユーザーがサクラに向いていて、どんなユーザーには向かないのでしょうか。
サクラを買って満足できるユーザーの特徴は以下のとおりです。
- 電気自動車に乗りたい
- サクラ以外にも車を所有する
- リセールバリューは気にしない
- 自宅に充電器を設置できる
- サクラは近所のお出かけ用に使う
ご覧の要素に該当するほど、サクラとの相性が良いといえます。
それにたいして、サクラの購入を後悔しやすいユーザーの特徴は以下のとおりです。
- 電気自動車でなくても良い
- サクラ1台ですべてをこなす
- 手放す際には1万円でも高く売りたい
- 賃貸だから自宅で充電できない
- サクラで旅行がしたい
ご覧の要素に多く当てはまる方は、サクラの購入を考え直したほうが良さそうです。
たとえば、サクラよりも航続距離が長いリーフにしたり、全個体電池が出るまではEVの購入を控えたり、です。
国や自治体から補助金が出るからといって、ガソリン代がかからないからといって、「次はEVにしよう」と安易に決めないようご注意ください。
全個体電池が実用化されるまで待ってEVを買ったとしても、遅くはありません(いまEVに乗っているのは"物好き"な人が多い)。
なお、サクラではありませんが、EVが発火・爆発するトラブルが世界中で相次いでいます。
たとえばモーターショーの展示車両から火が出たり、駐車してあったEVバス67台が自然発火したり、マンションの地下駐車場で高級EVが爆発したり、という具合です。
EVの実態を知りたい方は、「EV 発火」「EV 火災」「EV 爆発」などと検索してみてください(EVのイメージが悪くならないよう"新エネルギー車"と言い換えている報道記事もある)。
クルマの下取り・売却で損をしないためのポイント
クルマの下取りや売却で損をしないために大切なのは、一社ではなく、複数の買取業者に査定してもらうことです。
実際、私がコペンローブを売却した際には、業者によって査定額に31万円の差がありました。
想定を超える査定額が出たら、
- グレードを上げる
- 高価なオプションを付ける
など、つぎのクルマ選びで贅沢ができるかもしれません。
査定=売却確定ではないので、気軽に愛車の価値をチェックしてみてはいかがでしょう。
一括査定:電話ラッシュを避けるには?
クルマを1万円でも高く売るなら一括査定がおすすめです。
たとえるなら、複数の企業から内定をもらい、条件が良いところに就職を決めるようなものだとお考えください。
比較して選べることに価値があります(安く買い叩かれずに済む)。
「一括査定はたくさん電話がかかってくるのでは?」
と不安な方がいるかもしれません。
たしかに一括査定に営業電話はつきものですが、イカプラは違います。
複数の買取店とのやり取りをイカプラが行うため、われわれは最高額を出した一社とだけ連絡を取ればOKです。
一括査定にありがりな"電話ラッシュ"とは無縁です。
- 煩わしい電話対応ナシ
- 比較して最高額で売却
ぜひ一括査定のいいとこ取りをしてみてください。
イカプラの無料一括査定はこちらです。
カーネクスト:現車確認ナシ
なかには、
「一括査定ではなく、気になる買取業社の査定額だけが知りたい」
という方がいるかもしれません。
カーネクストなら、来店不要、電話1本で契約まで行えます。
店舗へクルマを持ち込む必要はなく、実車査定のスタッフが自宅までやってくることもありません(本当に電話だけで完結する。申告と大きな相違がなければ減額ナシ)。
査定コストをカットして買取額に上乗せする、それがカーネクストの特徴です。
売却に手間や時間をかけたくない方におすすめです。
ちなみにカーネクストは、
- 10年以上前の車
- 走行距離が10万kmを超えた車
こうしたクルマも歓迎しています。
事故車や廃車にも強いカーネクストへの査定依頼はこちらです。
ガリバー:最短35秒カンタン入力
ガリバー無料査定の特徴は、
- 車種
- 年式
- 走行距離
など、カンタンな情報を入力するだけで買取金額の概算を知れる点にあります。
今後ほかの買取業社に査定してもらう際、「ガリバーの提示金額はこれですが……」と交渉材料に使うこともできます(手ぶらで挑むより交渉しやすい)。
愛車の買取相場を押さえておきたい方におすすめです。
ガリバーの査定額に興味がある方はこちらです。
- 一括査定のイカプラ
- 手軽に売却できるカーネクスト
- カンタン入力のガリバー
ぜひご自身に合ったサービスを選んでみてください。
迷ったら一括査定を選んでおけば間違いありません。
以上、日産サクラを買って後悔するリスクでした。
【結論】航続距離が短い。バッテリーが劣化する。下取り価格が安い。このあたりが後悔につながる恐れあり。電気自動車という名の"近未来的な乗り物"を所有する代償は大きい(多少の優越感は得られるかもしれないが)。上のリスクや欠点を避けたい方は全個体電池の実用化を待つのが無難。
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