10月某日の夕方、自宅に蛾のような大きい虫が侵入してきました。
「蛾のような」と書いたのは、私が昆虫博士でなく、あくまで素人判断によるものだからです。
がしかし、玄関まで殺虫剤をとりに行ったほんの数秒の間に……蛾は忽然と姿を消します。
蛾が広さ6畳ほどの部屋に入っていったところまでは確認しました。
だから部屋のどこかには潜んでいるはずです。
ところが机の裏、本棚の裏、シーリングライトの上、どこを探してもヤツが見当たりません。
キツネにつままれたような気分になった私は、「疲れていて幻覚でも見たのか……」と自分を疑い、恐ろしくなりました。
"恐怖の2日間"の幕開けです。
もしかするとあなたも今、家の中で蛾を見失いパニックになっているかもしれません。
が、落ち着いてください。
さっき見た蛾は"錯覚"ではありませんし、ある条件を満たせば蛾は再び姿をあらわします。
この記事では、
- 結局、蛾はどうなったのか?
- 蛾を探すのにおすすめの格好
- 蛾に襲撃された恐怖の夜
など、「家の中に入ってきた蛾がいなくなった体験談」をご紹介します。
消えた蛾の行方を探すため、ぜひ参考にしてみてください。
家の中に侵入してきた蛾が消えた体験談
10月某日の夕方、自宅に蛾が入ってきました。
すべての窓を閉め切っていたため、蛾の侵入経路は不明です。
このとき私は2階にいて、廊下から「ペチ……トントン、ペチ!」と不気味な音が聞こえてくることに気づきました。
いきなり蛾を目撃したわけではなく、まず音で"何かの存在"を察知したわけです。
音がする廊下のほうを見ていると、黒くて大きい1匹の蛾が、階段の壁にベシベシとぶつかりながら2階に飛んできました。
当時の心境を一言であらわすなら「超キモい」です。
これまで「自宅にゴキブリが出て警察に通報する人がいるなんてバカげてるよね」と常識人ぶっていた私ですが、もう少しで「自宅に虫が出て通報する人」に仲間入りするところでした。
蛾が消えた【初日】
私は虫が苦手です。
だから蛾と対峙したくありませんし、できれば蛾を視界に入れたくもありません。
そこで「蛾が潜んでいると思われる部屋」のドアを閉め切って2週間ほど放置し、(直接闘わずに)蛾を餓死させる作戦を思いつきました。
いわゆる"兵糧攻め"というやつです。
がしかし、ペットでもない蛾に部屋をひとつ無料でレンタルするのは癪ですし、例の部屋には私のパソコンや筋トレグッズ、マスクのストック、腕時計などが置いてあります。
いや、不自由すぎるか……そう考え直し、やっぱり蛾を探すことにしました。
くわえて「幻覚ではなかったことを確かめて安心したい」という思いがあったのも事実です。
蛾を探すにあたって、私はつぎの服装に着替えました。
- マスク
- 手袋
- 長袖、長ズボン
- 靴下
- スリッパ
これなら奇襲を仕掛けてきた蛾が肌に触れて「ギャー」となるのを防げます。
"蜂の巣駆除"みたいな(暑苦しい)完全防備に身を包み、キンチョール片手に蛾を探すこと1時間……私は捜索を打ち切りました。
なぜなら、蛾が潜んでいる可能性がある場所すべてをチェックしたのに、肝心の蛾が見つからなかったからです。
その後、妻が帰宅して、2人体制でさらに30分ほど探しましたが、やはり蛾は見つかりませんでした。
そして夜になり、2階の寝室(蛾がいる部屋とは別)に妻といたところ、ふたたび廊下から「ペチ……トントン、ペチ!」と不気味な音が聞こえてきました。
寝室の明かりにつられて姿を現したのかもしれません。
ところが、殺虫剤を廊下に置いてきてしまったばかりに、「蛾を仕留めるために殺虫剤を取りたいけど、ドアを開けて蛾が寝室に入ってきたらイヤだ」という窮地に立たされました。
たとえるなら、ドアの向こうでゾンビのうめき声が聞こえてくる(でも武器もドアの向こうにある)ようなもので、なす術がありません。
ちなみに、蛾がいる部屋はドアを閉めていた(蛾を閉じ込めていた)ため、本来なら部屋から出てこれないはずです。
ドアと壁の間には数ミリ程度の隙間があったため、ここをすり抜けてきたのかもしれません。
廊下にあらわれた蛾は、明かりがついている寝室に入りたいのか、ドア(襖)や上部の障子にバンバンとぶつかってきます。
妻は隣で「終わった……」と呟き、私も同感でした。
電気を消した真っ暗な寝室で怯えながら、蛾の立てる音に耳を澄ませます。
しばらく経ち、蛾の気配がしなくなりました。
私は寝室の襖を(恐る恐る)開けて廊下の電気をつけ、置きっぱなしにしてあった殺虫剤を確保します。
がしかし、今度は蛾の姿が見当たりません。
- さっき:蛾がいる、殺虫剤がない
- いま:蛾がいない、殺虫剤はある
ご覧のとおりです。
まるで、
- 若年:体力がある、カネはない
- 老年:体力がない、カネはある
これとおなじで、好条件が揃いません。
蛾が逃げていったであろう1階へ(ビビりながら)下り、妻と2人で(ビビりながら)探しましたが、とうとう蛾は見つかりませんでした。
蛾が消えた【2日目】
翌日は休日だったため終日家にいましたが、蛾は姿を現しませんでした。
ところが、23時ごろに事態は急転します。
寝室に入って電気を消したところ、ふたたび廊下から忌まわしい「ペチ……トントン、ペチ!」が聞こえてきたのです。
寝室の電気は消えているのに、家全体が真っ暗なのに、なぜか私たちのいる寝室の襖や障子に蛾がバンバンとぶつかってきます。
イメージとしては、襖に(障子に)キャンディーをぶつけているような音です。
蛾の体には、サーモグラフィーみたいに熱を感知するセンサーでもついているのでしょうか。
ただ、昨日の私と違うのは、手元にキンチョールがあることです。
「襖の向こうに蛾がいるのに、襖の向こうに殺虫剤があるからどうにもできない」という昨日のミスを反省したのです。
蛾にキンチョールをお見舞いしたいところですが、襖を開けると蛾が寝室に入ってくるかもしれず、怖くて襖を開けられません。
「これじゃ殺虫剤があっても意味ないじゃん」と気づいたときには後の祭りでした。
そこで仕方なく、「襖を1cmだけ開けてキンチョールを廊下に噴射し、すぐに襖を閉める」という"効いてるんだかどうだかわからない攻撃"を妻の前で繰りかえし披露しました。
妻は「私がやろうか……?」と選手交代を申し出てくれました。
それでも蛾の"寝室アタック"はやまず、襖の上にある障子に(破れないか心配になるほど激しく)バンバンとぶつかり、月明かりに照らされたその姿が障子越しにうっすらと浮かびました。
そして蛾は障子の端へと移動し、障子と壁とのわずかな隙間から、寝室に入ってきました。
ホラー映画ばりの出来すぎた展開です。私は建てつけの悪さを恨みました。
恐れていた最悪の事態です。
妻は叫びながら布団に潜り、私は叫びながらキンチョールを撒き散らしました。
ちょうど深夜0時ごろの出来事です。
蛾を追い出すために襖を開け放ちましたが、問題の蛾はというと、寝室と廊下を"反復横跳び"みたいに行ったり来たりしています。
「超キモい」なんてレベルではありません。絶句です。
ただ、先ほど乱射したキンチョールが効いてきたのか、蛾は暴れながら階段を落ちるようにして、1階へと飛び去っていきました。
また見失うのか……と昨日の光景がフラッシュバックしましたが、キッチンの前でのたうち回っている蛾を発見、制汗スプレーばりにキンチョールを浴びせ、ノックアウトしました。
住宅見学会のチラチで蛾(みたいな虫)の死骸を拾い上げ、玄関から外に放り投げて終了です。
まとめ
蛾が家に入ってきて姿を消した場合、探しても無駄です。
ただ時間を浪費するだけで、見つけられずに終わることでしょう。
なぜならヤツらは"かくれんぼの天才"だからです。
蛾は夜行性のようなので、こちらから探すのではなく、夜になってヤツが活動し始めるまで待つのが賢明です。
ただし、殺虫剤だけが手元にあっても役に立ちません。
というのも、あなたが極度の虫嫌いであれば、「ドアの向こうにいる蛾に殺虫剤を浴びせる」ことができないからです(そもそも怖くてドアが開けられない)。
そこで殺虫剤にくわえて、マスクと手袋、長袖・長ズボンの服、靴下、帽子などを準備しておくことをおすすめします。
"絶対に蛾が肌に触れない安心感"が、殺虫剤を握ったあなたに「ドアを開ける勇気」を与えてくれるはずです。
蛾を見つけて退治するまでは、家庭に平和が戻るまでは、手が届く範囲に上の"装備"を置いておきましょう。
ネット通販サイトAmazonでは、自宅に出た虫を捕まえられる家虫キャッチャーを販売しています。
虫を生かしたまま逃がしたい方、虫に近づきたくない方におすすめです。
(注文しても)今回の蛾の件には間に合わないかもしれませんが、虫嫌いなら、自宅に置いてあると心強い便利グッズです。
蛾がどの部屋に潜んでいるか特定できる場合には、虫コロリアース 一撃必殺 くん煙剤を焚くのもアリです。
ミクロの殺虫粒子が部屋の隅々まで行き渡るので、隠れている蛾を炙り出すことができるでしょう(苦しくなれば暴れて出てくるはず)。
以上、家の中に入ってきた蛾がいなくなった体験談でした。
【結論】井上陽水がいってたことは本当。カバンの中も机の中も探しても見つからない。けれど探すのをやめたとき、蛾は見つかる。蛾を倒すには殺虫剤を吹きかけなければならないが、殺虫剤をお見舞いするには、蛾と対峙する必要がある。そんなのはイヤダ。だけど家に蛾がいるのもイヤダ。これが最大のジレンマ。110番に通報するわけにもいかないので、マスクや手袋で肌を隠して立ち向かうしかない。