2022年10月実施のマイナーチェンジに伴い、ホンダ・フィットに、約2年ぶりとなる「RS」グレードが設定されました。
なお、RSヘバトンタッチする形で、フィットモデューロXは2022年9月をもって生産終了しています。
ホンダのRSは「ロード・セーリング(滑らかに走り抜ける意)」に由来しており、「レーシング・スポーツ」の略ではありません。
したがって、スイフトスポーツやアバルト595のようなホットハッチ的キャラに期待すると、イメージとのギャップに物足りなさを感じる恐れがあります。
「でも、RSはフィットのなかでスポーティな位置付けなのでは?」
と疑問に思う方もいることでしょう。
たしかにRSは、専用のグリルやバンパーでスポーティさが強調され、サスペンションとホイールも差別化されています。
走行モードで「スポーツ」が選べるのもRSだけです。
がしかし、RSの馬力やトルクは、フィットのほかのグレードと変わりません。
つまり、フィットの全グレードのなかで"RSだけがダントツで速い"わけではないのです。
加速性能に関していえば、フィットRSもBASICも、HOMEもLUXEもおなじです。
RSの特徴はスピードではなく、「スポーティな見た目と乗り味」だといえるでしょう。
この記事では、
- フィットRSのスペック
- ほかのグレードとの比較
- ほかのホットハッチとの比較
など、「ホンダ・フィットRSは速いのか遅いのか」をわかりやすく解説します。
ぜひクルマ選びの参考にしてみてください。
ホンダ・フィットRSは速いのか遅いのか
ホンダ・フィット(4代目)のRSグレードは速いのでしょうか、それとも遅いのでしょうか。
感じ方は人それぞれ違うため、一概に「速い/遅い」とはいえません。
たとえばN-BOXのオーナーは、フィットRSを"速いクルマ"だと感じるはずです。
それにたいして、シビックタイプRのオーナーは"遅いクルマ"だと評価することでしょう。
だから結局のところ、ほかのホットハッチやスポーツカーを含め、自ら試乗して判断するのがイチバンです。
とはいえ、「自分で乗って確かめよう」では参考になりません。
フィットRSの速さをあえて表現するなら、"並のコンパクトカーレベル"といったところです(これが速いか遅いかは人それぞれの感じ方しだい)。
理由は単純で、フィットRSのスペックが、ほかのグレード(BASICやHOME)と変わらないからです。
家電でたとえると、
- ドライヤーA
- ドライヤーA(ドレスアップver.)
両者の見た目は違っても、風力は変わらないようなものだとお考えください。
フィットRSとほかのグレードも同様で、一番の違いは、速さではなく見た目です。
フィットRSの馬力・トルク
フィットRSの馬力とトルクは以下のとおりです(ほかのグレードもおなじ数値)。
【1.5Lガソリンモデル RS】
- 最高出力:118ps
- 最大トルク:142Nm
【1.5L e:HEV RS】
- エンジン最高出力:106ps
- エンジン最大トルク:127Nm
- モーター最高出力:123ps
- モーター最大トルク:253Nm
なお、2022年10月のマイナーチェンジにより、ガソリン車のエンジンは1.3Lから1.5Lへ、e:HEV用モーターの最高出力は109psから123psへ、それぞれ引き上げられました。
したがって、フィット自体がマイナーチェンジ前よりも速くなったのは事実です。
がしかし、新たに追加されたRSが、ほかのグレードよりも速いわけではありません。
スイフトスポーツはスイフトよりも速く、GRヤリスはヤリスよりもパワフルに設計されていますが、フィットに関しては、RSもほかのグレードも同等です。
フィットBASICやHOME、LUXEと加速性能が変わらないRSは、いわば"見かけ倒しのホットハッチ"に過ぎず、乗っているうちに気分が萎えるかもしれません。
なぜなら、スポーティ然とした見た目に、中身が伴っていないからです。
フィットRSを購入した暁には、まるで"偽物のブランド品を持っているかのような肩身の狭さ"を味わうことになるでしょう。
本当は高くないけどね……本当は速くないけどね……という具合です。
速さではなく見た目のカッコよさで選ぶグレード、それがRSです(ちなみにフィットの受注のうち約4分の1がRS)。
なお、スペックこそ変わらないものの、RSにはいくつかの専用装備が与えられています。
具体的にはつぎのとおりです。
- RS専用サスペンション
- ドライブモードスイッチ(e:HEVのみ)
- 減速セレクター(e:HEVのみ)
- RS専用本革巻ステアリングホイール
- RS専用グリル
- RS専用バンパー(フロント、サイド、リア)
- ブラック塗装ドアミラー
- RS専用デザイン16インチアルミホイール
RSはサスペンションに手が加えられているため、ほかのグレードよりも走りがスポーティに感じられるかもしれません(RS以外はロールが大きめ)。
ちなみに、クルマが少しでも速いほうが良い場合は、ガソリン車ではなくe:HEV(ハイブリッド)を選ぶことをおすすめします。
というのも、モーターならではの気持ち良い加速感を味わえるからです。
「RSなのに普通のフィットとおなじ加速力じゃ物足りない」という方は、ぜひほかのホットハッチやスポーツカーを検討してみてください。
ほかの車と速さを比較
では、フィットRSとライバル車の速さを比較してみましょう。
まずチェックするのは、国産ホットハッチの代表「スズキ・スイフトスポーツ」です。
スイフトスポーツ(1.4Lターボ)のスペックは以下のとおりです。
- 最高出力:140ps
- 最大トルク:230Nm
スイスポにはハイブリッドの設定がないため、ガソリン車のフィットRSと比較します。
フィットRSガソリンモデル(1.5L自然吸気)のスペックは以下です。
- 最高出力:118ps(-22)
- 最大トルク:142Nm(-88)
括弧内の数字はスイスポとの比較です。
スイフトスポーツはフィットRSよりもパワーがあるだけでなく、車両重量が100kg以上軽いため、運転するとエンジンスペックの差以上に「速く」感じられることでしょう。
それでいて車両価格はほとんど変わらず、しかもスイフトスポーツならMTも選択できます(フィットRSにMTはない)。
「速さ」を重視する方は、フィットRSではなく、スイフトスポーツを買ったほうが満足できるに違いありません。
もちろんクルマは速さがすべてではないので、フィットRSのデザインのほうが好みであれば、RSを買うのもアリです。
それから、国産ホットハッチとしてはGRヤリスも挙げられます。
"本気"の上級グレードは価格が400万円以上するため、エントリーモデルのRSと比較してみましょう。
なお、RSの車両価格は265万円です。
GRヤリスRS(1.5L自然吸気)のスペックはつぎのとおりです。
- 最高出力:120ps(+2)
- 最大トルク:145Nm(+3)
括弧内の数字はフィットRSガソリンモデルとの比較を表しています。
「フィットRSより価格が70万円近く高い割に大したことないな……」
と思った方がいるかもしれませんが、ラリー参戦のために作られたGRヤリスは、ボディ剛性がフィットRSの比ではありません。
エントリーモデルとはいえ、GRヤリスRSは本物のレーシングカーです(フェンダーの膨らみやドアの枚数を見ればわかるように素のヤリスとは別物)。
フィットRSを検討しているなら、ぜひスイフトスポーツおよびGRヤリスRSにも試乗して、3台を乗り比べてみてください。
さらにe:HEVを考えている方は日産ノート(EVに近い走り)に、輸入車でもOKな方は、アバルト595(かなり刺激的)にも試乗してみることをおすすめします。
そうすればフィットRSが速いのか遅いのか、アタマではなくカラダで理解できるはずです。
ほかのクルマに試乗せずフィットRSを買った場合、視野が狭かったことに気づき、購入を後悔するかもしれません。
まとめ
2022年10月実施のマイナーチェンジにより、フィット(4代目)に約2年ぶりとなるRSグレードが設定されました。
ただし、RSのパワートレインはほかのグレードと共通です。
RSだけ車両が軽量化されているわけでもありません。
したがって、フィットRSとほかのグレードは、パワーがおなじで車両重量もおなじ、ボディ形状もおなじゆえに、速さもまた「おなじ」です。
何と速さを比較するかにもよりますが、ほかのフィットとくらべるなら、RSはけっして速くないといえます。
たとえば高速道路でフィットe:HEV HOMEが前方を走っていたとして、「こっちはフィットe:HEV RSだから余裕で抜かせるぜ」とはならない、ということです(アクセルペダルの踏み加減しだい)。
フィットRSのエクステリアデザインに惚れた方は、フィットRSを買うのが良いでしょう。
フィットRSの燃費や実用性を気に入った方も、フィットRSを買うのが正解です。
がしかし、クルマの「速さ」が気になる方は、スイフトスポーツやGRヤリスRSも検討すべきです。
なぜなら、いずれもフィットRSより速いからです。
「どれくらい速さに違いがあるか」は、ぜひ試乗してご確認ください。
運転が好きなら、ホットハッチに限らず、GR86などのスポーツカーに試乗するのもおすすめです。
なお、試乗予約はそれぞれの自動車メーカーのWebサイトから行えます。
事前にネット予約を入れておけば、当日はスムーズに対応してもらえることでしょう(近所のディーラーにフィットRSがあるかどうかはサイト上で要確認)。
クルマの下取り・売却で損をしないためのポイント
クルマの下取りや売却で損をしないために大切なのは、一社ではなく、複数の買取業者に査定してもらうことです。
実際、私がコペンローブを売却した際には、業者によって査定額に31万円の差がありました。
想定を超える査定額が出たら、
- グレードを上げる
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など、つぎのクルマ選びで贅沢ができるかもしれません。
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一括査定:電話ラッシュを避けるには?
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以上、ホンダ・フィットRSは速いのか、でした。
【結論】ほかのフィットとおなじ速さ。つまり一般的なコンパクトカーレベル。スイフトスポーツやGRヤリスRS、アバルト595、GR86にくらべたら遅い。そもそもフィットRSの「RS」はロード・セーリング(滑らかに走る抜ける)の意であり、スポーツとは謳っていない。だからフィットRSに速さを期待するのは"お門違い"だといえる。結局のところRSは、"スポーティに装飾したふつうのフィット"だと認識しておきたい。
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ホンダコネクト(Honda Total Care)の機能と必要性について、当サイトにはこんな記事があります。