ハーゲンダッツは高級なアイスです。
では、どうして他のアイスにくらべて値段が高いのでしょう。
それは、ハーゲンダッツが、アイスのなかでも健康的な部類だからです。
もし少しでも体にとって害のないアイスが食べたいなら、他の商品ではなく、ハーゲンダッツを選ぶのが良いでしょう。
ハーゲンダッツには、高級たる理由があります。
この記事では、
- アイスミルクとラクトアイス
- トランス脂肪酸がもたらす害
- アイスクリームのなかでもトップ
など、「ハーゲンダッツの値段が高い理由」をわかりやすく解説します。
安さだけでアイスを選ばないよう、ぜひ参考にしてみてください。
どうしてハーゲンダッツは値段が高いのか?
ルイ・ヴィトンといった高級ブランドバッグの値段が高いのは、生地として、高級な素材(レザー)が使われているからです。
高級ステーキの値段が高いのは、高価な牛肉を焼いているからです。
ハーゲンダッツもおなじです。
ハーゲンダッツの価格が高いのは、他のアイスよりも「高価な原材料」を使って作られているからです。
高価な原材料というのは、具体的に、動物のミルクのことを指します。
つまりハーゲンダッツは、ミルクをたっぷり含んでいるから値段が高い、ということです。
アイスには3つのランクがある
スーパーやコンビニで売っているアイスは、じつは3種類に分けることができます。
たとえるなら、カレーに甘口、中辛、辛口の3タイプが存在しているようなものです。
アイスの場合は、
- アイスクリーム
- アイスミルク
- ラクトアイス
これら3つに分類できます。
どうやってアイスを分類するかといえば、成分によって、です。
3つの違いは、ミルク(乳)の含有割合です。
ある商品がアイスクリームを名乗るためには、
- 乳固形分:15%以上
- うち乳脂肪分:8%以上
この条件を満たしていなければなりません。
ハーゲンダッツは、もっとも乳成分が多い「アイスクリーム」に該当します。
アイスクリームの下に位置するのが、アイスミルクです。
アイスミルクは、
- 乳脂肪分:10%以上
- うち乳脂肪分:3%以上
このように定義されています。
早い話がアイスミルクは、アイスクリームよりもミルク(人工的に作れないので高価)の含有割合が少ない、ということです。
アイスクリームを「高級寿司店で提供されるイクラ軍艦」だとするなら、アイスミルクは、100円回転寿司で出てくる「キュウリが載っていてイクラ(高価)が少ないイクラ軍艦」だといえるでしょう。
ミルクの使用量が少ない代わりに、アイスミルクは、安い価格で販売できます。
高価なミルクをアイスクリームほどたくさん使っていないから、です。
そして、3段ピラミッドの最下層にあたるのが、ラクトアイスです。
「乳固形分3%以上」であれば、ラクトアイスと表記できます。
つまり、アイスのなかでもっとも乳成分が少ないのがラクトアイスだ、ということです。
アイスミルク/ラクトアイスの不都合な真実
「乳脂肪分が少ないラクトアイスが1番ヘルシーで健康的」
世の中にはこう考える人もいますが、誤りです。
健康的どころか、ラクトアイスは、3つのなかでもっとも不健康だといえます。
どうしてかというと、アイスミスクやラクトアイスは乳成分が少ない代わりに、植物油脂を足して、アイスクリームに近い風味を出していることがほとんどだからです。
植物油脂は安価な油ですが、健康面に関していえば、トランス脂肪酸という体に悪い物質を含んでいます。
トランス脂肪酸を摂取すると、心疾患のリスクを高めることがわかっています。
つまり、アイスミルクやラクトアイスに含まれているトランス脂肪酸は、私たちの心臓に負担をかける、ということです(しかもトランス脂肪酸はなかなか分解・排泄されない)。
ですので、どうせアイスを食べるなら、アイスクリームを選ぶべきです。
アイスクリームには、基本的に植物油脂(トランス脂肪酸)が使われていません。
もちろん例外はあるので、パッケージの成分表示をご確認ください。
少なくとも、ハーゲンダッツには植物油脂が含まれていません。
ちょっとくらい値段が高くても、カラダのためにハーゲンダッツを選びましょう。
安いアイスミルクやラクトアイスを毎日バクバク食べるよりは、ときどき高級なハーゲンダッツを食べるほうが、よほど健康的です。
ちなみにトランス脂肪酸はマーガリンやショートニング(揚げ物をサクサク食感にする)にも含まれていて、
- 狂った脂肪
- 食べるプラスチック
などと呼ばれています。
アイスに限らず、食品を買う際には「植物油脂(マーガリン/ショートニング)が使われていないかどうか」にご注意ください。
激痛が生じた心臓を押さえ、フローリングに倒れてから後悔しても、手遅れです。
不健康な油を口に入れないようにしましょう。
アイスなら、ハーゲンダッツがもっとも信用できます。
アイスクリームのなかでも別格
ある商品がアイスクリームを名乗るために、
- 乳固形分:15%以上
- うち乳脂肪分:8%以上
これらの基準をクリアしていなければならないのは、すでにお伝えしたとおりです。
上の条件を満たしていれば、パッケージに「アイスクリーム」と表記できます。
基準をギリギリクリアしていても、余裕で上回っていても、すべて「アイスクリーム」です。
たとえるなら、紙一重のギリギリで合格しても、トップの成績で受かっても、まとめて「東大生」みたいなものです。
もちろんハーゲンダッツは、アイスクリームの基準を軽くクリアしています。
乳成分の含有量が高い、ということです。
ハーゲンダッツの原材料に、植物油脂(トランス脂肪酸を含むNGな油)は使われていません。
商品を手に取ってパッケージを見れば確認できます。
おなじアイスクリームでも、たとえば森永乳業が販売している「パルム」という商品は、チョコレートコーティングに植物油脂が使われています。
おまけにパルムの乳成分はハーゲンダッツよりも低く、アイスクリームの基準をギリギリ満たしていることがわかります。
ですのでパルムは、アイスミルクに近い、アイスミルク寄りのアイスクリームだといって良いでしょう。
ミルクの含有割合が低いため、パルムは、ハーゲンダッツよりも安い価格で売られています。
乳成分(高価)の使用量が少ないから、です。
まとめ
ハーゲンダッツは、けっして"高級ブランドだから高い"わけではありません。
高価なミルクをたっぷり使っているぶん、原材料にかかるコストが販売価格に反映されているだけです。
もしアイスを食べるとしたら、ハーゲンダッツで決まりです。
なぜかというと、たいていのスーパーやコンビニで売っているアイスのなかで、もっとも乳成分が多いのがハーゲンダッツだからです。
ミルクが多いということは、ハーゲンダッツには余計なものが含まれていない、ということです。
余計なものとはたとえば、アイスクリームならではの濃厚なミルク感に似せようとして使われる「植物油脂」を指します。
植物油脂にはトランス脂肪酸が含まれており、これは心疾患のリスクを高めるなど、私たちの体に悪さをします。
ゆえに、狂った脂肪だとか、食べるプラスチックだとか、およそ食べ物とは思えないニックネームが、専門家によってつけられています。
高級ホテルの客室が豪華であるように、高級車の安全性がズバ抜けているように、高級化粧水にとっておきの成分が含まれているように、高級アイス・ハーゲンダッツにも、高級たる理由があります。
無闇やたらに高いわけではありません。
カラダに優しい自然な原材料(動物のミルク)を使っているから、コストがかかり、値段が高くなっているのです。
もちろん、そのぶん濃厚な味わいに仕上がっていて、「アイスはハーゲンダッツしか食べない。他のは美味しくない」という熱烈なファンも存在しています。
ぜひ納得した上で、ハーゲンダッツを買ってみませんか?
ハーゲンダッツは、高いお金を出すだけの価値があるアイスクリームです。
デメリットは値段が高いこと、それだけです。
以上、なぜハーゲンダッツの値段は高いのか、でした。
【結論】植物油脂は人工的にいくらでも作れるが、ミルクは動物の乳なので、限度がある。そしてミルクは高い。だからたいていのアイスは「ミルクを減らしつつ、ミルクっぽい味わいを出す」ことに心血を注いでいるが(価格競争のため。そして植物油脂に手を出す)、ハーゲンダッツは、惜しげもなくミルクを使っている。価値がわかる人にだけ選ばれるアイス、それがハーゲンダッツ。
【参考文献】
牧田善二『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』ダイヤモンド社、2017年
金沢和樹『まちがいだらけのサプリ選び』双葉社、2011年