この記事では「コンクリートの耐用年数」を解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
コンクリートの耐用年数はわからない
コンクリートの耐用年数はハッキリとわかっていません。
なぜなら、現代のコンクリートが実用化されてからまだ100年程度しか経っていないからです。
歴史が浅いため、具体的に何年もつのか実証されていない、というのが現状です。
ただ、木材や金属にくらべてコンクリートが化学的に安定した材料であることはまちがいありません。
そのためコンクリートは、長期にわたって使用される建築物に広く使われています。
鉄筋コンクリート建築がダメになるとき
では、鉄筋コンクリート建築がダメになるとき、とはいつでしょう?
それはコンクリートの内部に埋め込まれている鉄筋が錆びてしまったときです。
コンクリートは完成とどうじに中性化が始まります(もとは強アルカリ性)。
コンクリートの外側から内部へ向けて徐々に中性化が進み(侵食)、これが内部に埋められた鉄筋にまで達すると、鉄筋が錆びるのです。
このタイミングが耐用年数だと考えられています。
なぜ鉄筋の錆びがマズいのか
ところで、どうして内部の鉄筋が錆びるとマズいのでしょうか。
それは、錆びた鉄筋が膨張し、コンクリートにヒビが入ってしまうからなんです(これを鉄筋爆裂といいます。大げさなネーミング!)。
コンクリートの耐久性を阻害するもっとも大きな要因がヒビ割れです。
ヒビ割れてしまったコンクリートは崩壊のリスクが高まるため、そのまま使用するのは危険であるといえます。
だから「鉄筋の錆び=鉄筋コンクリート建築の寿命」なんですね。
(ヒビから内部に水が入りこみ、よりいっそう鉄筋が錆びてしまうという悪循環)
ここまでの内容をまとめてみましょう。
コンクリートは徐々に中性化し、やがて内部の鉄筋に達し、鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートにヒビが入る(崩壊や崩落のリスク増)。
これがコンクリートの寿命です。
ただし寿命について、具体的な年数はわかっていないのが現状です。
耐用年数の目安は100年程度か
はっきりとはわかっていないものの、「コンクリートの耐用年数は100 年程度である」との見方が有力です。
ただ、なかには120年もつとする専門家の意見もあり、結局のところよくわからないのです。
これは現代のコンクリートが実用化されて100年程度しか経っていないことが原因なので、時が経てばやがて解明されるでしょう。
コンクリートの法定耐用年数47年ってなに?
鉄筋コンクリート建築(住宅用のもの)に関して「法定耐用年数47年」という数字を見て、「コンクリート建築は47年しかもたないんだ」と考える方がいますが、これは誤りです。
先述のとおり、鉄筋コンクリート建築は(物にもよりますが)100年程度もつとされています。
法定耐用年数というのは、あくまでも国が定めた減価償却の期間に過ぎません。
つまり会計上の数字であり、コンクリートの物理的な耐用年数とは関係ないのです。
もしコンクリートの耐用年数が47年だとしたら、築50年を超える鉄筋コンクリートのアパートに住んでいる私は、なかなかマズいといえますね。
(まだまだ住むつもりなのに……)
築47年を経過すると会計上の価値がなくなるだけで、物理的な寿命を迎えるわけではありませんので、混同しないようご注意ください。
ちなみに、木造(住宅用のもの)の耐用年数は22年です。
まとめ
ここまでの内容をザックリまとめると、鉄筋コンクリート建築は100年程度もつ、となります。
コンクリートの厚さにもよるので一概にはいえませんが。
ちなみに、鉄筋が表面から2センチのところに埋められている場合、侵食にかかる年数は60年です。60年経つと、鉄筋が錆びてしまうわけです。
中性化したコンクリートの強度が下がるわけではなく、錆びた鉄筋によるヒビ割れが問題なのです。
そう考えると、コンクリート自体はかなり耐久性が高いといえますね。
以上、コンクリートの耐用年数についてでした。
いくら100年もつといわれても、さすがに築90年の物件は避けたいですよね(そんな住居あるのだろうか?)。
物件選びの参考になれば幸いです。
築50年越えの鉄筋コンクリート造アパートに住んでみた感想はこちらです。