「菜根譚」というのは、中国最高傑作と名高い処世術のことをいいます。
料理本のようなタイトルですが、けっして根菜のレシピ本ではありません。
この記事では、段文凝著『「菜根譚」が教えてくれた 一度きりの人生をまっとうするコツ100』の要約と感想をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
『「菜根譚」が教えてくれた 一度きりの人生をまっとうするコツ100』の要約と感想
まずは本書の要約から。
「菜根譚」は洪自誠というエリート官僚が記した中国の古典である。
菜根には、堅い菜根を噛みしめるように苦しい境遇に耐えれば、多くのことが成し遂げられる、という意味が込められている。
とはいえ、スパルタや根性論ではない。
全360条あるなかから、著者が心を動かされた100条を抜粋し、原文と日本語訳を紹介する。
以上がおもな内容です。
日本において「菜根譚」は、江戸時代にベストセラーとなり、昭和30年ごろまでよく読まれていたといいます。
何かを成し遂げたい志のある方に本書はおすすめです。
中国古典が読みやすく解説されている
「菜根譚」の原文が載っていて、その隣に日本語訳が載っている、というスタイルです。
日本語訳には著者の経験談なども交えてあるため、「解説」という表現のほうが適切かもしれません。
まず原文を読んで自分なりに意味を推測してみるのが、おすすめの読み方です。
たとえば「虚生の憂いを懐かざるべからず」から、その意味する内容を考えてみるわけです。
高校で習った漢文の授業を思い出しながら読んでみると、案外その内容が理解でき、楽しめます。
中国語が理解できている!すごい、私!みたいな。
ビジネスパーソン向け
本書の内容はビジネスパーソン向けです。
段文凝も「バリバリ現役向け」だと述べています。
というのも、「菜根譚」に記されている360条のなかには「引退後の心得」なども多く書かれているのだといいます。
ですが、段文凝が20代と若いこともあり、本書では現役世代向けのメッセージ100条が抜粋してありました。
「引退後の心得」(いっさい載っていない)を期待して本書を読むと、期待外れに終わるでしょう。
本書の具体的な内容としては、
- 妬みの力を甘く見てはいけない
- シンプルで長続きするものが最良
- 目の前のことに集中する重要性
- なぜ才能を隠しておくべきなのか
など、「人生や仕事の本質」について書かれていました。
さすがは中国の古典。メッセージが深い。
なかでも多かったのが「驕るな」という戒めです。
本書のなかで再三にわたって「謙虚であれ」という教えが説かれています。
これはそのまま、「成功したときに謙虚であることの難しさ」を表しているのではないでしょうか。
SNSでの充実アピール、幸せアピール、お金持ちアピールなど、「菜根譚」の視点から見れば言語道断です。
まとめ
一度きりの人生をどのように生きたら良いのか、あなたはもう、答えを見つけられていますか?
生き方について模索中だとしたら、本書を読むことをおすすめします。
今も昔も変わらない、本質的な人生の指針を手に入れられるからです。
なかには中国にたいしてネガティブな感情を抱いている人もいるでしょうが、それとこれとは話が別です。
「中国人は嫌いだから」という理由だけで「菜根譚」を避けてしまうのは、もったいないのではないでしょうか。
中国人は嫌いだから、という理由でエビチリや麻婆豆腐を食べずに生きるようなもの。もったいない。
あなたが男性であれば、まず段文凝さんをネットで画像検索してみてください。
読むかどうか、彼女の写真を見てから判断しても遅くはありません。
以上、段文凝著『「菜根譚」が教えてくれた 一度きりの人生をまっとうするコツ100』の要約と感想でした。
結論。お金、欲望、悪口、病気、才能、知識、地位など、人生についてあらゆるアドバイスが載っている本。16〜17世紀の明代末期に生きたエリート官僚・洪自誠から、人生の本質を学べる。