急いでも、ロクなことになりません。
たとえばせっかちな人間は、車を運転していてスピード違反で警察の取り締まりを受けたり、ムリな右折をして直進車と衝突したりします。
というのも、つねに慌てているからです。
マイペースな人間はこんなヘマをしません。
落ち着いて、いつでも冷静に行動します。
マイペースな性格は世間からしばしば"短所"として扱われがちですが、ほんとうにダメなのでしょうか。
答えはノーです。
マイペースを「短所」に分類するのは、まるで牛肉をスーパーの果物コーナーに陳列するようなもので、正しくありません。
間違っています。
むしろ、ゆっくりのんびり生きてこそ幸せな人生を歩めます。
ですので、マイペースな性格に自信と誇りを持つべきです。改善する必要はありません。
この記事では、
- 精神的ストレスを受けにくい
- 魅力がある
- 遅いとなにが困るのか
など、「マイペースな性格の長所」をわかりやすく解説します。
胸を張ってゆっくり生きるため、ぜひ参考にしてみてください。
マイペースな性格に3つの長所
のんびりとしたマイペースな性格は、短所ではありません。
むしろ長所です。
では、どうして世間では「遅いこと」がまるで「いけないこと」のように考えられているのでしょうか。
原因のひとつに、生産性が低さが挙げられます。
たとえば「仕事が遅い」は、褒め言葉ではなく悪口です。
- 1時間で10個の製品を梱包できるAさん
- 1時間で30個の製品を梱包できるBさん
こんな2人の従業員がいたら、会社にとって"使える"のがBさんなのは明らかです。
決まった時間内でたくさんの仕事ができるから、つまり会社にとって役立つ人材だからです。
のんびり屋のAさんは、Bさんほど手際が良くありません。
が、それがなんだというのでしょう。
急いでものんびりしていても月給は変わらないため(仕事が遅くても減給されたりクビになったりしない)、あくせく働く必要はないのです。
マイペースな人間は、塾講師やクリエイターなどスピードが求められない仕事に就けば、天性の創造性を発揮できます。
1. 精神的ストレスが少ない
マイペースな人間は、時間に追われてイライラすることがありません。
というのも、ほとんど時間を気にしていないからです。
「いま行っていること」だけに集中し、それを上手く、丁寧に、ミスを犯さないよう終えることだけを考えています。
時間に急き立てられていないので、ストレスもプレッシャーもありません。
せっかちな人間はこの真逆です。
いつでも時間と闘って、ピリピリしています。車の運転などその最たるものでしょう。
一分一秒を競って生きているため、せっかちな人間の心には余裕がありません。
イラついた感情でマイペースな他人を見ては、
- なぜそんなに遅い?
- 今日中に終わらせる気ある?
- チンタラチンタラしやがって
といって腹を立てます。憐れなことです。
たとえ私たちの動作がノロいためにせっかちな人間をイラつかせようとも、こちらには関係ありません。
知ったことではない、ということです。
早送りみたいなスピードで生きている心にゆとりのない人間は、放っておきましょう。
スピードは不要
私たちはF1レーサーでもなければ、100メートル走を専門とする陸上選手でもありません。
「速くなければ意味がない世界」で暮らしているわけではないため、せかせかしなくても大丈夫です。
われわれとは正反対のそそっかしい人間は、いつでも時間に追いかけられています。
これはクモやサソリに四六時中追い回されているようなもので、心を落ち着けるヒマがありません。
だからメンタルが緊張して疲れ、余裕が失われ、キレやすくなるのは当然です。
私たちは現状のスタイルを崩すことなく、リラックスして、これからもゆっくりのんびり優雅に生きましょう。
国道を時速140kmでかっ飛ばしたらクラッシュして死にますし、早食いは肥満のもとですし、なんでもかんでも速ければ良い、というわけではないのです。
ちなみにストレスは、われわれの脳細胞に損傷を与えます。
お金と違って、ストレスを溜めてもロクなことがありません。
2. 幸福度が高い
マイペースな人間は概して幸せです。
なぜかというと、「いまここ」に集中して生きているからです。
生まれながらにしてマインドフルネスの達人だといえるでしょう。
だから私たちは、わざわざお金を払ってマインドフルネスの書籍を買う必要がありません。
だいいちせっかちな人間は、どうしていつもドタバタと慌ただしいのでしょうか。
それは、つねに「次のこと」を考えているからです。
たとえば車を運転しながら、スーパーで買う食材のことを考えています。
レジで並びながら、つぎに立ち寄る店について考えています。
いわば肉体を置いてきぼりにして、精神だけ先走っている状態です。
肉体と精神がズレていて、精神だけが一歩も二歩も先を進み、「やることがいっぱいある」といって焦りを感じています。
だからせっかちな人間は、目の前のことをサッサと終わらせようとします。
心が「今ここ」にありません。
先のことばかり考えているので、ほんとうに生きている「今」を疎かにします。
たとえるなら、自宅で映画を見ながら、夕食のメニューを考えているようなものです。
集中できていなければ、映画を楽しめないのは当然でしょう。
マインドフルネスの達人
マインドフルネスとは、今ここに意識を向けて生きることをいいます。
そして私たちマイペースな人間は、生まれながらにしてマインドフルネスの達人です。
「いまここ」に集中するプロフェッショナルで、むしろ、目の前のことしか考えていません。
この後なにをするのかは、いま行っていることが終わってから考えます。
過去にも未来にも縛られることなく、現在を生きています。
次の予定に急き立てられていないので、焦る必要がなく、「今ここ」に没頭できます。
時間を忘れるほど夢中になっている状態を「フロー」といい、このフロー状態にある時間が長いほど、幸福度や充実感、満足度が高まるとされています。
というのも、楽しむ心は「集中」からしか生まれないからです。
だから胸を張ってゆっくり生きましょう。
「もっと早くしろ。もっと急げ。予定がたくさんある」とプレッシャーをかけてくる連中の声に耳をかすことはありません。
もちろん、鬼のような形相をしている後続車のドライバーも、無視して構いません。
落ち着いた心で「今ここ」を生きている限り、私たちは幸せでいられます。
3. 魅力的な雰囲気がある
そそっかしい人間には魅力がありません。
なぜなら、あくせくしていて落ち着きがなく、心の余裕が感じられないからです。
たとえば、エスカレーターを駆け上がっていく人を見て、誰も「美しい」とは思いません。
追越車線を爆走する軽自動車を見て「カッコいい」と感心する人もいません。
早い話が、せかせかしていると小者に見える、ということです。
いつでも小走りの王様がいたら、威厳もへったくれもあったものではありません。
貫禄や美しさ、優雅さとも無縁です。
マイペースな人間は、この真逆です。
いつでも落ち着いていて、冷静で、知的な印象を周囲に与えます。
たとえるなら、高速道路をかっ飛ばすベンツよりも、ゆったり流すベンツのほうがエレガントで、大人で、経済的余裕や精神的余裕を感じさせるのとおなじです。
マイペースな性格が醸し出す魅力、芯がありそうな雰囲気、堂々とした静かな落ち着き、私たちはこれらを失わないようにしましょう。
実際にはただノロいだけですが、ずいぶん得をしています。
食べるスピードが遅いとしても、
- 品がある
- 育ちが良い
- 貴族的だ
- 太りにくい
- よく噛んでいて健康的
こんなふうに自己解釈して、長所へと変えましょう。
事実、早食いは下品です。
エサに喰らいつく家畜と大差ありません。
まとめ
マイペースな性格は、人生を楽しむ上で有利にはたらきます。
たとえるなら、みんなが箸でてこずりながらカレーを食べているなか、私たちにだけスプーンが与えられているようなものです。
すでにお伝えしたとおり、マイペースな性格に「短所」というレッテルを貼りつけてくる主犯は、会社組織です。
「資本で労働力を買っているんだから、時間いっぱいたっぷり働いてもらわにゃ困る」というわけです。
ただし、仕事は人生の一部でしかありません。
それに、たとえば自営業など、時間に追われない職種で成功しているマイペースな人間は世の中にいくらでもいます。
だから無理してテキパキ動こうとせず、
- 精神的ストレスが少ない
- 幸福度が高い
- 魅力的だ
こうした私たちの資質を喜びましょう。
前向きにゆっくりのんびり生きましょう。
人生100年とも言われる時代、そう生き急ぐことはありません。
以上、マイペースな性格の長所3選でした。
【結論】イライラしにくい。ワクワクしやすい。そしてつくづくエレガント。マインドフルネスや瞑想の人気を見ればわかる通り、みんな、のんびり屋に憧れている。私たちに必要なのは、すべてが遅い自分を認めてあげる自己肯定感だけ。
ゆっくりとした生き方について、Amazonではこちらの本が評価されています。
読み終えたら以降は、長所の欄に「マイペースな性格」と書きたくなるかもしれません。