シャンプーを使わない洗髪、いわゆる「湯シャン」をつづけているとハゲるリスクが高まるのでしょうか。
「お湯だけでは皮脂がじゅうぶんに落ちないから、頭皮の環境が悪くなって薄毛に……」
そう心配している方がいるかもしれません。
が、シャンプーを使わないからといって、ハゲに怯える必要はないといえます。
なぜなら、薄毛になるかどうかは、シャンプーの有無ではなく、体質によるところが大きいとされているからです。
早い話が、シャンプーを使っていてもハゲる人はハゲるし、湯シャンでもハゲない人はハゲない、ということです。
入浴をサッと済ませたいなら、シャンプーを使わず、シャワーのお湯で髪の毛や頭皮を洗い流すだけでも良いでしょう。
むしろ世の中には「シャンプーをやめれば抜け毛が減る」と主張する専門家もいるくらいです。
この記事では、
- 薄毛を左右する2つの要素
- シャンプーを使わないと禿げる?
- むしろシャンプー使用で抜け毛が増える?
など、「シャンプーを使わない洗髪と薄毛の関係」をわかりやすく解説します。
ハゲの原因と対策を知るため、ぜひ参考にしてみてください。
シャンプーを使わない洗髪と薄毛の関係
シャンプー不使用の湯シャンをつづけているとハゲるリスクが高まる……そう科学的に証明されているわけではありません。
したがってシャンプーは、使っても使わなくてもどちらでも問題ないといえます。
「シャンプー代も髪を洗う時間も節約したいけど、もし10年後に薄毛になったら……」
などと心配する必要はない、ということです。
事実、世の中には「シャンプーをいっさい使わない」のに髪がフサフサの男性がいます。
もしシャンプーが薄毛対策の"必須項目"だとしたら、30年以上にわたって湯シャンを貫いている彼の頭は、とっくに禿げているはずです。
実際のところ、シャンプーを使わない湯シャンでも皮脂は落とせますし、髪のテカリや頭皮の痒み、ニオイやフケなども抑えられます。
ですので、シャンプーを使いたくない事情があるなら、無理をしてまでシャンプーで髪を洗う必要はありません(むしろ精神的ストレスになる)。
「シャンプーが関係ないとしたら、薄毛になるかどうかは何によって決まるの?」
そう疑問に感じているかもしれません。
私たちが将来ハゲるかどうかは、先述のとおり、体質によるところが大きいとされています。
薄毛とは関係がない行為や習慣にビクビクしないためにも、「ハゲる要因」をここで確認しておきましょう。
鍵を握るのはシャンプーでなく体質
私たちがいずれハゲる運命にあるかどうかは、体質しだいです。
- 薄毛になりやすい体質:ハゲる
- 薄毛になりにくい体質:ハゲない
ご覧のとおり単純明快な理論です。
ちょうど、
- アレルギー体質:症状が出る
- 非アレルギー体質:症状が出ない
これとおなじで、今この瞬間から努力してどうにかできる問題ではありません。
まず、ひとことで「薄毛」といっても、
- 円形脱毛症
- 老人性脱毛症
- 薬剤による脱毛症
- 感染症による脱毛症
- 亜鉛不足による脱毛症
など、さまざまな種類があります。
そして、薄毛に悩む男性のおよそ8割がAGA(男性型脱毛症)に該当すると考えられています。
ハゲすなわちAGAと考えて良いでしょう。
AGAを発症するかどうかは、
- 男性ホルモンを活性化する酵素の強さ
- 男性ホルモンにたいする毛包の感受性
これらの要素(体質)に大きく左右されます。
AGAの主な原因となるのがジヒドロテストステロン(DHT)で、これは男性ホルモンのテストステロンから5α-リダクターゼという還元酵素によって作られます。
この還元酵素の働きが強いのか弱いのか、すなわち悪玉のジヒドロテストステロンが大量に作られるか否か、これがハゲを左右する一つ目の要素です。
二つ目の要素は、ジヒドロテストステロンにたいする毛乳頭および毛母細胞の感受性です。
ちょうど、くすぐりに弱い人もいれば平気な人もいるように、DHTへの感度には個人差があります。
毛乳頭や毛母細胞といった受容体の感度が高い場合には、少量のジヒドロテストステロンにも反応してAGAが進むとされています。
もはや「シャンプーを使って髪を洗う」どうこうの次元の話ではありません。
したがって私たちにできることはただ一つ、ハゲにくい体質であることを祈るのみです。
ちなみに、「父親が禿げているから自分も禿げる」というほど単純な話でもないため(親と子の遺伝情報は異なる)、親の頭を見て憂うこともないといえます。
たとえるなら、父親が濃い味の料理を好むからといって、自分も濃い味付けを好むとは限らないようなものです。
私たちは"父親の分身"ではないのです。
ただしこれは、裏を返せば「父親がフサフサでも自分は禿げる可能性がある」ことも意味しているため、油断はできません。
もし薄毛が気になり出したら……なるべくすみやかに医療機関を受診しましょう。
AGAは内服薬や塗り薬で治療できます。
火災の消火活動とおなじで、薄毛治療においても大切なのは、初動の速さです。
モタモタしていると取り返しのつかない事態になる恐れがあるため、ご注意ください。
薄毛が気になり出したら1日でも早く病院やクリニックに行く、それがAGA治療の鉄則です。
湯シャン推奨派の意見
世の中には、「シャンプーをやめれば髪の毛が増える」と主張する専門家がいます。
というのも、
- 薄毛
- 抜け毛
- 髪のパサつき
といったトラブルは、頭の洗いすぎが原因となっているケースがあるから、だそうです。
専門家(アンチエイジング治療専門の美容整形外科医)が指摘する「シャンプーを使って洗髪するデメリット」は以下のとおりです。
- 皮脂量が増える
- 新陳代謝が衰え皮膚が薄くなる
- 毛髪を傷める
- 防腐剤が頭皮の常在菌を殺す
- 毛穴から化学物質が入る
こうしたダメージが頭皮や髪に蓄積されて、抜け毛や薄毛につながる、というわけです。
解決方法はいたってシンプルで、ただシャンプーの使用をやめるだけでOKです。
「シャンプーを使わないと頭皮や髪が皮脂でベタつくのでは?」
そう心配している方もいるでしょう。
専門家曰く「ベタつきは最初のうちだけ」だといいます。
なぜなら、シャンプーで根こそぎ落としていたせいで最初は皮脂の分泌量が増えているが、湯シャンをつづけるうちにだんだん適正な分泌量に落ち着くから、です。
ですので、シャンプーをやめて湯シャンに切り替えるなら、1日で良し悪しを判断せず、1週間程度のスパンで見るのが良いでしょう。
ただしこれは「シャンプーを使わないほうが良いとする意見もある」というだけの話で、唯一絶対の正解ではありません。
専門家のなかには反対に「薄毛を避けたいならシャンプーを使うべき」と主張する人もいますので、あくまで参考として捉えてください。
すでにお伝えしたとおり、実際には「体質」によるところが大きいため、シャンプーを使う/使わないにこだわり過ぎる必要はなさそうです。
- シャンプーを使うとハゲる
- シャンプーを使わないとハゲる
いずれも実証されたわけではなく、それぞれの専門家の「個人的な見解」に過ぎません。
まとめ
シャンプー反対派の専門家をはじめ、世の中には「シャンプーを使っていない」けど髪がフサフサの男性がいます。
ですので、風呂場で毎日湯シャンをしているからといって、ハゲに怯える必要はありません。
薄毛(AGA)になるかどうかは、
- 男性ホルモンを活性化する酵素の強さ
- 男性ホルモンにたいする毛包の感受性
これらの「体質」によって決まるところが大きいとされています。
禿げやすい体質でないことを祈りましょう。
もしも髪の生え際や頭頂部が薄くなってきたと感じたら、すぐに医療機関を受診することです。
AGAは治療が可能ですので、医師に相談してみて損はありません。
「気のせい、気のせい……」と自分をごまかしたところで、どんどん薄毛が進行し、治療のハードルが上がるだけです。
異変に気づいたら即行動しましょう。
スマートフォンで検索すれば、近所でAGAの治療を行なっている医療機関を探せます(たとえばAGA専門クリニックや皮膚科)。
それからもし、
- 髪のベタつきがおさまらない
- シャンプーを使わないと気持ち悪い
- 頭皮が痒くなった
などの理由で「やっぱりシャンプーを使う」ことにした場合には、なるべく信頼できそうな商品を買うことをおすすめします。
というのも、万が一将来ハゲたときに「あんな安物のシャンプーを使っていなければもしかしたら……」などと後悔しなくて済むからです。
高級シャンプーを使ってもダメだったなら仕方ない、どうせ俺はハゲる運命だったんだ、ってなもんで、現実を受け入れられます。
たとえば、ネット通販サイトAmazonでは、ANGFAのスカルプDが売れています。
スーパーやドラッグストアでは見かけない「高価格帯」のシャンプーです。
がしかし、ハゲて薄毛治療に月々ウン万円を出費すると思えば、先行投資としてシャンプーにお金をかけるのも悪くないはずです。
Amazonでは、MARO17のマイルドタイプも売れています。
こちらは通常タイプよりも洗浄力が抑えられているため、皮脂の取り過ぎによる乾燥や、髪のパサつきを防げます。
シャンプーを使う/使わないの中間的な解決策、それが洗浄力を抑えたシャンプーです。
- シャンプーあり
- シャンプーなし
- 洗浄力を落としたシャンプーを使う
第3の選択肢、試してみませんか?
以上、シャンプー無しの湯シャンは薄毛のリスクを高めるのか、でした。
【結論】リスクを高めるとも高めないともいえない。科学的根拠のある結論が出ているわけではないので。薄毛にもっとも関係するのは体質であり、私たちにできることはない。ハゲたら治療するのみ。シャンプーを使う、使わないは自由だが、使うなら品質にはこだわりたい。「良質なシャンプーを使っている」という安心感が得られるし、ハゲても後悔しなくて済むから。
シャンプーを使わない洗髪方法はこちらの本に詳しく載っています。
紙の本にくわえて、AmazonではKindle版(電子書籍)もご購入いただけます。
【参考文献】
宇津木龍一『シャンプーをやめると、髪が増える』角川書店、2013年
花房火月『ぜんぶ毛包のせい。』雷鳥社、2019年
小林一広『病はケから 老けない体と心の作り方』幻冬舎、2014年